ターメリックの特徴
- カレーの黄色はターメリック色素
- 肝機能の強化、消化不良の改善、強壮など効能が多い
- アーユルヴェーダや中国伝統医学でも活用される生薬
ターメリックはインド・東南アジアを原産地とするショウガ科ウコン属の多年草です。
1,000種類以上の成分を持つため効能が多いハーブですが、主に肝臓の健康に役立てられることが多く、インドの伝統医学アーユルヴェーダでもよく用いられます。
日本では生薬名の「鬱金(ウコン)」の呼び名がなじみ深く、鮮やかな黄色色素はカレーの色味付けや布を染める時の染料として使われます。一般にこの種類は秋に収穫されるため「秋鬱金(アキウコン)」とも呼ばれます。
植物的な特徴
植物的には草丈50~1mほどに生長。長さ約40㎝ほどの葉は、厚みがあり先のとがった楕円形で根茎は多肉質です。
ターメリックは夏~秋にかけて、花弁の先端が赤紫色をした白い花を咲かせます。黄色の部分は花ではなく、「包葉(ほうよう)」と呼ばれる花を包む葉です。
ハーブとしては地下茎の部分を使用し、この地下茎を乾燥させることで、よく見かけるオレンジ色の粉末が採取できます。
効果・効能
ターメリックは消化不良、胃の不調、冷え性、貧血、二日酔いなどに活用されます。
ターメリックの主な効果・効能
①肝機能の働きを良くする
ターメリックに含まれる黄色の色素成分・クルクミンが胆汁分泌肝機能を強化し胆汁分泌を促進するため、二日酔いなど肝臓の不調を改善し、毒素を排出する働きを持ちます。
②アンチエイジングに役立つ
クルクミンには抗酸化作用もあるため、体内の老化を抑え、動脈硬化やそれに伴う諸症状の予防にも役立ちます。血管が硬くなると血流の流れが悪くなり、冷え性になりやすくなるため、手足の冷えが気になる時、食事に取り入れてみるのも良いでしょう。
③消化不良を改善する
ターメリックはドイツで消化不良への有効性が認められており、胃液の分泌を増やし胃腸の健康増進にも役立てられています。
④その他の働き
鉄分が多く含まれるため貧血対策としての鉄分補給にも活用できます。
また、抗炎症作用・鎮痛作用があり、漢方では止血や生理痛、不安などの感情障害を緩和させる時に用いられます。
その他、血中のコレステロール値の調整や肝炎予防、ガン抑制など幅広い効能があることが知られており、スパイス系ハーブの中で最も科学的な研究が進んでいる植物の一つです。
消化不良、胃の不調、冷え性、貧血、二日酔いなど
- 健胃作用
- 強肝作用
- 利胆作用
- 消炎作用
- 止血作用
- 鎮痛作用
- 抗炎症作用
- 胆汁分泌促進作用
禁忌・副作用
- 妊娠・授乳中は使用量に注意。
- 胃潰瘍、胃酸過多、胆道閉鎖、胆石の症状がある場合も使用を避けます。
- 過剰・長期摂取により肝障害が起こることがあるそうです。
安全性・相互作用
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
安全性 | クラスⅠ…適切な使用において安全 |
主な使い方
食用
ターメリックはインド~アジアを中心に、世界各国で料理に用いられています。カレー粉の原料として用いられるほか、米を色付けたターメリックライス、パエリア、ピクルス、たくあん等色付け目的で使用される場合が多いです。
クルクミンは脂溶性のため油と相性が良く、マーガリンやチーズにも使われることがあるようです。
ハーブティー
ターメリックのハーブティーとしては、沖縄で飲まれているウコン茶(うっちん茶)が有名です。春鬱金に比べると苦味がなく飲みやすい味なので、お酒を飲んだ後に摂取すれば二日酔い防止になります。
その他
草木染の染料として布や糸の色付けに用いられており、染料に布などを浸した後に、媒染剤を用いることで鮮やかな黄色~オレンジ色が現れます。また、インドや東南アジアでは、切り傷の外用や化粧用のパウダーとしても活用されています。
ターメリックが服に着いたときは
カレーなどがこぼれて服に着くと黄色いシミなったりしますよね(泣)
洗ってもなかなかきれいに落ちないという時は、洗った後に日光に当たるように干してみてください。カレーの黄色色素であるクルクミンは紫外線に当たると分解される性質があるので、シミが落ちやすくなります。
一度では消失しないときもありますが、繰り返すことでシミが目立たなくなってきます。
味・香り
ほのかに土の香りがあり、やや苦みのある漢方薬のような味。
ターメリックの基本情報
学名 | Curcuma longa |
英名 | turmeric |
和名・別名 | ウコン(鬱金、欝金、宇金、玉金) |
科名 | ショウガ科、ウコン属 |
原産地 | インド、東南アジア |
分類 | 多年草 |
使用部位 | 根茎 |
主要成分 | クルクミン(黄色色素)、鉄分、多糖類、精油 |
作用 | 健胃・強肝・利胆・消炎・止血・鎮痛・抗炎症・胆汁分泌促進 |
適応 | 消化不良、胃の不調、冷え性、貧血、二日酔いなど |
語源・由来
属名のCurcumaはアラビア語kurkum「黄色」が変化したもので、カレーなどに使用される黄色成分のことを指します。
種小名のlongaは「リュウガンの」という意味です。リュウガン(竜眼)とは漢方の生薬としても用いられるムクロジ科の植物のことです。
別名として、着色料として用いられるため「キゾメグサ」とも呼ばれます。
歴史・エピソード他
インドでは紀元前900年ごろには栽培されていたといわれ、古くから神聖な儀式に使われていました。アッシリアなど中近東にも輸出されていたようで、『アッシリア植物誌』にその名が残されています。
インドの伝統医学・アーユルヴェーダや中国伝統医学では食材のほか、薬として使われてきたハーブで、消化促進や肝機能の強化に役立つ作用が認められていました。日本では生薬名の「ウコン(鬱金)」の名でよく知られていますね。
現在でも、東南アジアのスリランカやタイなどでは僧侶の衣がターメリックで染色されます。
また、インドネシアではターメリックの色素・クルクミンが彩る黄金色はおめでたい色として、慶事やお祭りの料理に使われています。
日本での歴史
日本にターメリックが伝わった時期は平安時代など諸説ありますが、16世紀頃には東南アジア地域とも交易を行っていた琉球王国から安定した供給がもたらされていたようです。
ちなみに、琉球ではターメリックを国の専売制にして収益を上げていたそう。その後の薩摩藩も同様に販売を行っており、ターメリックが利益があげられる食材・生薬として重要視されていたことがうかがえます。
江戸時代中頃には一般に普及していたようで、ターメリックで黄色く染めた風呂敷などが販売されていました。ウコンには殺菌効果があるので、虫よけやものの鮮度を保つためにこの風呂敷で書画や衣類を包んだそうです。