セントジョンズワートオイルの特徴
セントジョンズワートオイルは別名を「ハイペリカム油」といい、セントジョンズワートという名の植物から採れる黄色いお花やそのつぼみを使って作られます。
ハーブなどをベースオイルに浸して作る「浸出油」の一種で、2週間ほど漬け込んだのちろ過して完成させます。
セントジョンズワートオイルはやや赤みのある色ですが、これはヒぺリシンと呼ばれる植物成分が持つ色素に由来。
ヒぺリシンはセントジョンズワートオイルの特徴的な成分で、ストレスの緩和に良い効果があるといわれています。
ハーブとしてはこちらの効果が有名ですが、オイルとしては切り傷や火傷などの肌トラブル、筋肉痛への効果が知られています。
エピソード
- セントジョンズワートの黄色い花が6月24日の「セントジョン(聖ヨハネ)の日」の頃に咲くため、この呼び名になりました。
- ヨーロッパ中世の頃には、騎士たちがケガをしたときにセントジョンズワートを使ったオイルやチンキを肌に塗ったといいます。
- セントジョンズワートには、邪気から身を守る力があると考えられていました。
セントジョンズワートオイルの効果・効能
セントジョンズワートオイルは肌の炎症がある時や創傷がある時、神経痛の症状がある時などに塗ると痛みを抑える働きがあるとされます。
また、一時的に皮膚の温度を低下させて、火傷の痛みを緩和するといわれます。陽射しの強い時期に活用することで、肌へのダメージを少なくすることができるでしょう。
光感作があるので、塗った後は4~5時間ほど太陽光を浴びないよう注意が必要です。
鎮静作用により神経の興奮を抑えるため、心身の緊張感をほぐしたい時にもおすすめ。
その他、殺菌作用や肌の収れん作用があり、炎症部位の消毒や肌の引き締めにも良い効果が期待できます。
肌質は特に選びませんが、浸透性が良く肌になじみやすいので脂性肌や敏感肌にも良いオイル。
保湿効果などを期待するのであれば、ホホバオイルなど他のオイルに少量加えて用いる方がより多くの効能を得られます。
用途 | 体のマッサージ |
色 | やや赤みのある色 |
香り | 落ち着いた香り |
肌タイプ | すべての肌質に使えるが、敏感肌や脂性肌に良い |
和名 | ー |
使用時の注意点
マッサージ用にオイルを肌に塗った後、日に当たると皮膚アレルギー(光感作)が起きることがあります。
含まれる成分
セントジョンズワートオイルは不飽和脂肪酸が多く含まれています。
飽和脂肪酸 | パルミチン酸 、ステアリン酸 |
不飽和脂肪酸 | オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸 |
飽和脂肪酸とは?
飽和脂肪酸は、炭素間に二重結合を持たない脂肪酸で、肉類や乳製品などの動物性脂肪に多く、そのほかココナッツ油、やし油にも含まれている脂質です。血中のコレステロール値を上げる作用があり、適量であれば肌を滑らかにするなどの作用が得られますが、必要以上に摂取すると肥満や生活習慣病の原因になることがあります。
不飽和脂肪酸とは?
人の体内では作ることができない脂肪酸類で、食品など外部から摂取する必要があります。魚の皮や植物の種子などに含まれる油分で、多くはn-3系とn-6系のどちらかに分けられます。n-3系脂肪酸にはα-リノレン酸やDHA、EPA等があり、n-6系脂肪酸にはリノール酸、γ-リノレン酸などの種類があります。期待できる効果はアレルギーの改善、血圧やコレステロール値の改善、美肌、抗酸化などです。
セントジョンズワートオイルの使い方
- 石鹸
セントジョンズワートのオイルは後から化粧品などに加工されることは少なく、そのまま用いてマッサージで体をほぐすのに役立てたり、痛み止め的に塗って使われることが多いです。
あえて挙げるなら石鹸の基材などに活用できます。
あせも、湿疹、火傷といった肌トラブルの改善に良い効果が期待できるほか、殺菌作用があるので肌を清潔に保つ効果もあります。
オイル以外だと、セントジョンズワートのエキスが化粧品類の原料に活用されています。
- 手にオイルを数滴垂らし、肌や髪になじませて使います
- オイルのブレンドはメインが8~9:サブが2~1くらいの割合で
- 精油をブレンドする場合は、使用するキャリアオイルの1%以下の量を使うようにします
- フェイシャルの場合は0.5%以下にします
原料となる植物:セントジョンズワート
セントジョンズワートはオトギリソウ科オトギリソウ属の多年草で、原産地はヨーロッパといわれます。
聖ヨハネの日(6月24日)の頃に黄色い花を咲かせるため、「聖ジョン(ヨハネ)の草」と呼ばれるようになりました。
また、古代ケルトの世界でもその花は神聖なものとされていたそうです。
有用なメディカルハーブとして知られ、地上部の全草を乾燥させたものが抗うつや抗菌などに用いられています。
セントジョンズワートの特徴
セントジョンズワートはヨーロッパの比較的涼しい気候で育つため、耐寒性があり水はけのよい土地を好みます。
草丈は50~100㎝ほどで、直立した茎からは楕円形の葉が数多く対生します。
花は初夏6月頃に開花。5枚の黄色い花びらには黒い小さな斑点があります。ちなみに、この花びらからはヒぺリシンという赤色系の色素が採れ、染料として使うことができます。
学名 | Hypericum perforatum |
英名 | Common St. John’s wort |
科名・属名 | オトギリソウ科オトギリソウ属 |
原産地 | ヨーロッパ~アジア西部、アフリカ北部 |
使用部位 | 花 |
主なキャリアオイル
アプリコットカーネル | アボカド | アルガン |
アルニカ | イブニングプリムローズ | ウィートジャーム |
オリーブ | カメリア | カレンデュラ |
キャスター | ククイナッツ | グレープシード |
ココナッツ | サンフラワー | シアバター |
スイートアーモンド | セサミ | セントジョンズワート |
ピーチカーネル | ピーナッツ | フラックスシード |
ヘーゼルナッツ | ホホバ | ボリジ(ボラージ) |
マカダミアナッツ | ローズヒップ |