レモンバーベナの特徴・形状
- レモンの香りを持ち、ハーブティーで人気
- 不安や緊張を鎮めて心身をリラックスさせる
- 柑橘類と同じ香り成分が含まれ、抗菌や鎮痛などの働きもある
レモンバーベナはクマツヅラ科コウスイボク属の落葉低木で、アルゼンチン、チリの温帯地域が原産地です。
日本では「香水木」と呼ばれ、レモンよりも爽やかといわれるレモンの芳香があって、ハーブティーでも人気のあるハーブです。
実際、「ハーブティーの女王」と称されることもあり、フランスでは「ベルベーヌティー」とも呼ばれます。
植物的な特徴
草丈は約90~120㎝ですが、原産地では300㎝に育つものもあるようです。
葉は明るいライム色で、8㎝ほどで細長く線形で、先の尖った楕円形。光沢があり、触ると少しざらざらしていて葉を傷つけるとレモンの香りがします。葉に鋸歯(ギザギザ)はなく、直立する茎に輪生します。
花期は8月~9月で、茎先に白または淡桃色の小さな花が密集した円錐花序の花が咲きます。
効果・効能
レモンバーベナは、神経の興奮を抑えて心をリラックスさせる鎮静作用のあるハーブで、不安、緊張、不眠、神経性の頭痛や腹痛、生理痛などの症状を和らげてくれます。
レモンバーベナには柑橘類に含まれる精油成分のリモネンやネロールなどが含まれており、これらの成分が鎮静作用をもたらします。
また、同じくレモンの香りのもととなる精油成分のシトラール、シトラールには抗菌・鎮痛・鎮静作用などがあります。さらに、この爽やかな香りは食べ過ぎによる吐き気を鎮め、気持ちを明るくさせる働きがあります。
そのほか、レモンバーベナは消化不良にもよい効果があるとされ、胃痙攣や胃のむかつきを解消するのにも役立ちます。
フラボノイドが含まれるので、利尿・発汗作用などがあり、風邪の時の解熱などにも良いとされます。
疲労回復、不安、緊張、消化不良、食べ過ぎ、胃痙攣、吐き気など
主な作用
- 強壮作用
- 消化促進作用
- 抗炎症作用
- 鎮静作用
- 鎮痛作用
- 抗菌作用
- 解熱作用
禁忌・副作用
- 長期・多量摂取は避けてください。
安全性・相互作用
安全性 | クラスⅠ…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
レモンバーベナの主な使い方
- 葉
レモンバーベナは主にハーブティー、薬用酒、料理、観賞用に使用されています。
ハーブティー
夕食後にティーを食後に飲むと、胃腸の調子を整えて不快感を解消します。気分が落ち着かないときにもおすすめで、神経の緊張がほぐれて気持ちが穏やかになります。
レモンの香りがあるので、他のハーブの味付けに使うこともできます。不眠などには同じ鎮静系のハーブであるパッションフラワーやバレリアン、消化不良にはフェンネルやペパーミントなどが組み合わせやすいです。
料理
香りが失われにくいので、ドライでもフレッシュでも使用できます。ちぎらずそのままでも料理に使えますが、レモンの香りを楽しみたい時は細かくカットすると香りが強くなります。
葉をチキンなどの肉料理や魚料理に、サラダ、スープ、マリネ、ドレッシング、ジャム、洋菓子に加えられるほか、デザートであればゼリー、ケーキ、アイスクリームにも入れられます。
その他
精油などを香水や化粧品、石鹸に加えると癒し効果が高くなります。インクやキャンドルの材料にも加えられます。ドライのものをサシェ、ハーブピロ―などに入れて芳香を楽しむのもよいでしょう。
味・香り
柑橘系のさわやかな香りと、穏やかな甘さのある味。
レモンバーベナの基本情報
学名 | Aloysia citrodora |
英名 | lemon verbena |
和名・別名 | コウスイボク(香水木)、ボウシュウボク(防臭木)、ベルベーヌ |
科名 | クマツヅラ科コウスイボク属 |
分類 | 落葉低木 |
原産地 | アルゼンチン、チリの温帯地域 |
使用部位 | 葉 |
主要成分 | フラボノイド、精油(リモネン、ネロール、ゲラニオール、ネラール、ゲラニアールなど) |
作用 | 強壮、消化促進、抗炎症、鎮静、鎮痛、抗菌、解熱 |
適応 | 疲労回復、不安、緊張、消化不良、食べ過ぎ、胃痙攣、吐き気など |
語源・由来
属名のAloysiaはスペイン国王カルロス4世の妃マリア・ルイサにちなんでつけられました。種小名のcitrodoraは「レモンの香りがある」という意味です。
歴史・エピソード他
レモンバーベナはアルゼンチンやチリ、ペルーなど南米原産のハーブで、ペルーではアンデス高地住む人達はレモンバーベナのティーを栄養源の1つとして利用していました。
18世紀にヨーロッパへ伝わる
レモンバーベナは、1766年から1769年に世界一周を行った、フランスの植物学者フィリベール・コマーソンが最初に発見し、Aloysia triphylla(アロイシア・トリフィラ)と名付けられました。のち、1784年にスペイン人によって、南米のチリからヨーロッパにもたらされたそうです。
その後、スペイン人の教授がカール3世の息子(カール4世)と結婚したパルマのマリア・ルイサ・フランシスに敬意を示して植物名が変更され、レモンバーベナにはYerbaLuisa(イェルバ・ルイサ)という名が付きました。Yerbaはアルゼンチン系のスペイン語で「草」という意味です。
その他にもLippia citrodora(リッピア・シトリオドラ)やVerbena scitrodor(バーベナ・シリオドラ)という名で呼ばれることがあります。
日本では明治時代初期にコレラが流行したときに、「香臭木」という名でコレラ予防を目的に販売されたそうです。
『風と共に去りぬ』にも登場する
小説『風と共に去りぬ』では、スカーレット・オハラがレモンバーベナが母親のお気に入りの香りだと述べています。
レモンバーベナは歴史的に愛とロマンスと結びついており、女性向け香水のブレンドなどにも加えられることがあります。