レモンバーム(メリッサ)|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

レモンバーム(メリッサ)|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

レモンバームの特徴・形状

  • レモンの香りを持ち、ミツバチが好むハーブ
  • 神経の緊張を鎮めて、心を落ち着かせる
  • 消化不良などの不調にも効果的

レモンバームはシソ科コウスイハッカ属の多年草で、南ヨーロッパが原産地。フレッシュなレモンの香りを持ち、ミツバチが好むハーブとして知られています。

別名をメリッサといい、和名ではコウスイハッカ(香水薄荷)や、セイヨウヤマハッカ(西洋山薄荷)と呼ばれます。

植物的な特徴

高さは20~50cmほどで、茎には卵のような形をした葉が対生します。葉の大きさは8~10㎝、葉の縁に鋸歯(ギザギザ)があり、表面全体には白い細かな毛が生えています。さらに、葉脈がはっきりしていて、触るとざらっとした感触です。葉をもむとレモンの香りが漂います。

6月~8月頃になると、茎の上部に輪散花序(葉の付け根に花が集まる)の、白くて小さな花が複数咲きます。花は二唇形で蜜が多く含まれます。

効果・効能

レモンバームは精神の落ち着きを取り戻す鎮静系ハーブの1つで、神経系を強化して気分を改善させるほか、うつ病などにも有効とされています。

レモンバームの作用をざっくり紹介

①リラックス効果

神経の乱れから起こる不眠やうつ、緊張、神経性の肩こりや筋肉痛、生理痛などを改善させる作用があり、心身の不調を調整して正常な状態へ戻すのに役立ちます。緊張による血液の収縮を緩和して、高血圧、冷え症などを防ぐ働きもあります。

②消化器の不調を改善する

消化器の不調にも良く、神経性の胃炎や胃痛、食欲不振のほか、胃腸の機能がうまく働かないときにも用いられます。便秘や腸内ガスのある時にも良いでしょう。

③抗菌作用があり、風邪・感染症予防に役立つ

また、レモンバームに含まれる精油成分のシトラールや、植物成分のタンニンには抗菌力があるため、口内や消化器を清潔にして風邪や感染症を予防します。

④その他の働き

それ以外では、フラボノイドによる発汗・利尿作用も期待でき、解熱やデトックスに役立つほか、ローズマリーなどに含まれるロスマリン酸が含まれ、抗酸化力が期待できます。

アトピーなどのアレルギー反応にも良い効果をもたらすといわれています。

適応

不安、緊張、風邪、消化不良、便秘、冷え性など

効果については人によって感じ方が少しずつ異なります。ハーブの使用について、妊娠中・授乳中、持病がある、薬を常用しているなどの場合、注意が必要になることがあります。

主な作用

  • 鎮静作用
  • 抗うつ作用
  • 抗菌作用
  • 神経強壮作用
  • 発汗作用
  • 消化促進作用
  • 駆風作用

禁忌・副作用

特に知られていません。

安全性・相互作用

安全性クラス1…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

レモンバームの主な使い方

使用部位
  • 地上部

レモンバームは主にハーブティー、薬用酒、料理、観賞用に使用されています。

料理

レモンバームの葉は生でも食用でき、サラダやソース、鶏・豚肉料理や魚料理などに加えられます。ワイン、ビネガー、オイルに加えると風味が移り、香ばしくなります。

その他、アイスクリームにフレッシュの葉をのせて香りづけができます。

ハーブティー

神経の高ぶりを鎮めて心を落ち着かせ、記憶力が良くなるといわれることから、古代ギリシャでは「長寿のハーブ」といわれました。

不眠の時や精神の疲れを感じる時、食後などに飲用すると、体に対して穏やかに作用します。

フレッシュの方が芳香が良くレモンの香りがあるので、他のハーブでティーを作る時の味付けにも役立ちます。

精油

レモンバームの精油には鎮静、血圧降下、抗菌、抗ウイルス作用があるといわれます。レモンバームに含まれる精油成分は少ないため、抽出には大量の植物が必要になります。高価な精油の1つです。

その他

ドライの葉はポプリやハーブピロ―に利用でき、浸出剤は虫刺されなどに使えます。

味・香り

レモンの香りがする。味は少し甘みがあってまろやか。

レモンバームの基本情報

学名Melissa officinalis
英名Lemon balm
和名・別名コウスイハッカ(香水薄荷)、セイヨウヤマハッカ(西洋山薄荷)、メリッサ、スイートバーム
科名シソ科コウスイハッカ属
分類多年生
原産地南ヨーロッパ
使用部位地上部
主要成分タンニン、フラボノイド、苦味成分、ロスマリン酸
作用鎮静、抗うつ、抗菌、鎮痙、神経強壮、発汗、消化促進、駆風、抗酸化など
適応不安、緊張、風邪、消化不良、便秘、冷え性など

語源・由来

属名のMelissaはギリシャ語で「ミツバチ」を意味します。レモンバームはミツバチが好きなハーブとして知られており、古代ギリシャ時代からこのハーブが栽培されていました。

種小名のofficinalisには「薬用の」という意味があります。

歴史・エピソード他

レモンバームは古代ギリシャ時代から利用されていたハーブで、2000年以上からレモンバームはハチを集める蜜源植物として栽培されていました。レモンバームの蜜で作られた蜂蜜はとても美味しかったと伝えられます。

別名のメリッサはギリシャ語で「ミツバチ」という意味があり、ギリシャ神話ではクレタ王メリッセウスの娘であるメリッサが、蜂蜜で幼いゼウスを育てたといいます。

古代から薬効が知られていた

レモンバームは、1世紀ローマの医師・ディオスコリデスによる『薬物誌』で、虫による毒の解毒剤に良いとされ、大プリニウスの『博物誌』では歯痛や喘息、傷の治療薬として記されています。

その後11世紀前半、イブン・シーナ―の『医学典範』で気分を明るくする強心作用の他、健胃、強壮作用がある薬草として紹介されました。また、古くは葉がハート形をしているため、心臓や感情の傷害に良いハーブと考えられていました。

修道院で育てられ、リキュールの原料になった

12世紀ドイツの薬草療法家・聖ヒルデガルトも気分を明るくするハーブとして言及しています。中世以降「若返りの妙薬」「不死の霊薬」と考えられ、修道院医学でもあらゆる病気に効く万能薬とみなされていたようです。

17世紀初めごろからベネディクト派の修道院で栽培がおこなわれるようになり、カルメル会の修道女によって、レモンバームと他のハーブをブレンドしたリキュール「カルメルのメリッサ水」が作られると、各地でレモンバームが知られるようになりました。

参考文献

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