ビルベリーの特徴・形状
- ブルーベリーの仲間で酸味が強い
- アントシアニンが豊富で目に良い効果があるといわれる
- ビタミン類やタンニンが含まれ美容にも〇
ビルベリーはヨーロッパや北アメリカ、グリーンランド、北アジアなど北半球の熱帯~寒帯に分布する、ツツジ科スノキ属の落葉性灌木(低木)です。ブルーベリーの仲間で、酸味が強いのが特徴です。
一般にビルベリーと呼ばれるのはセイヨウスノキ (学名:Vaccinium myrtillus )ですが、いくつかの近縁種があり、区別するために コモンブルーベリー、ホワートルベリーなどの名前で呼ばれることもあります。
植物的な特徴
樹木の一種ですが、樹高は低く20~40㎝ほどの高さしかありません。葉は卵型で葉縁に鋸歯があります。葉茎は明るい緑色で、4月~7月頃になると、淡い緑~ピンク色をしたベル型の花を茎の上部に咲かせます。スズランに似ており1つの茎に小さな花が連なります。
果実は7mmほど、皮、果肉とも紺色~紫色で、この青みはアントシアニン色素によるものです。
この成分には植物が受ける紫外線をカットする効果があり、季節によっては白夜のあるフィンランドやスウェーデンなどの北欧では、アントシアニンが多く合成されて色が濃くなります。
効果・効能
ビルベリーは微生物による下痢や赤痢、静脈瘤、静脈不全、眼精疲労などに効能を持ちます。
ビルベリーの果実には優れた収れん作用があり、タンニンなどの成分がタンパク質と結合して腸の粘膜を保護し、炎症を抑えます。そして、下痢を起こす成分を吸着し腸内の環境を整えます。
また、血管をフリーラジカル(活性酸素)から守る働きがあり、抗酸化によって静脈瘤や制脈硬化などの循環障害、痔疾に有用な働きをします。その他、インスリンの産生を増して血糖値を低下させる作用があり、糖尿病に良いとされています。
ベリー類に多いアントシアニンは眼精疲労への効果で知られていますが、ビルベリーは他のベリー類と比べて多く含まれます。ドライアイなど目の疲れを感じる時にも良いでしょう。
ビタミン類も含まれるため、抗酸化作用や美容効果も期待できます。
眼精疲労、口腔粘膜の炎症、下痢、老人性白内障など
主な作用
- 殺菌作用
- 収れん作用
- 視覚向上作用
- インスリンの産生増産作用
- 毛細血管保護作用
禁忌・副作用
- 多量摂取は控えてください。
- 血糖値降下作用があるとされるため、糖尿病などの症状がある場合は注意が必要です。
安全性・相互作用
安全性 | クラス1…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
ビルベリーの主な使い方
- 果実
ビルベリーは主に料理、サプリメントに使用されています。
料理
ビルベリーは酸味が強くて柔らかく、ジューシーな味です。生食するよりもジュースやジャムなどに加工して食べられることが多く、パイやケーキなどのお菓子にもドライのビルベリーが使われます。
ビルベリーはブルーベリー系の中で最もアントシアニンが多く「ブルーベリーの王様」と呼ばれています。通常のブルーベリーの約3倍量が含まれており、風味が良いためシロップやワインの原料に用いられます。
その他
酸味が苦手な人はサプリメントがおすすめ。
ビルベリー配合のサプリメントは、目の酸化を防ぐルテインと組み合わせられることが多く、視力の補助に役立ちます。循環障害や下痢などの症状を目的にしたものもあります。
味・香り
爽やかな草の香りで、ブルーベリーに比べると酸味が強く甘みが少ない。
ビルベリーの基本情報
学名 | Vaccinium myrtillus |
英名 | Common Bilberry、Blue Whortleberry |
和名・別名 | セイヨウスノキ(西洋酸の木)、ハイデルベリー、ワートルベリー |
科名 | ツツジ科スノキ属 |
分類 | 落葉性灌木(低木) |
原産地 | 北半球の熱帯~寒帯 |
使用部位 | 果実 |
主要成分 | カテキン型タンニン、アントシアニン、フラボノイド、ペクチン |
作用 | 殺菌、収れん、視覚向上、インスリンの産生増産、毛細血管保護など |
適応 | 眼精疲労、口腔粘膜の炎症、下痢、白内障など |
語源・由来
学名のVacciniumの語源ははっきりしませんが、「ベリー類」や「濃い色の花」からくるといわれます。
種小名のmyrtillusは、フトモモ科のギンバイカ(Myrtus communis)に由来し、この植物の果実や葉の形がビルベリーに似ているためこの名が付きました。
ビルベリー(Bilberry)という名は「ダークベリー」を意味するデンマーク語のbollebarが基になっています。
歴史・エピソード他
ビルベリーは中世の頃から1000年近く伝統的なハーブ療法で用いられており、12世紀ドイツのハーブ療法家・聖ヒルデガルトもビルベリーを利用したといわれます。その後もエリザベス朝の薬剤師が使用したそうで、当時から様々な薬効が知られていました。
17世紀イギリスのハーバリストであるニコラス・カルペパーは、「下剤としてしか使われないのが残念だが、黒いビルベリーは肝臓と胃の熱を冷まし不快感を抑える。果実で作ったシロップやジャムは同様の症状や、咳や肺の潰瘍にも良い。」と述べています。
また、第二次世界大戦中に英国空軍のパイロットが「ビルベリーのジャムを食べてると視界が良くなる」と証言したことがきっかけで、ビルベリーの視覚的効果が研究され始め、ロドプシンの再合成速度を上げるがこと解明されました。
ビルベリーに多く含まれるアントシアニンには、暗順応の機能を良くする働きがあります。
アイルランドではビルベリーは「fraughan」と呼ばれ、Fraughan Sundayと呼ばれる7月の最終日曜日に採取されるそうです。さらに、8月のルーナサ(ケルトの祭りで夏至後に行われる収穫祭)でも摘まれ、ビルベリーの収穫高でその年の残りの作物の出来を占います。