ネトル|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

ネトル|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

ネトルの特徴・形状

  • 葉にはトゲがあり、肌に刺さるとかゆみが起きる
  • 花粉症などのアレルギー症状の予防に活用されている
  • ミネラルやビタミン、葉酸など栄養素が豊富に含まれる

ネトルはヨーロッパ~アジアを原産地とするイラクサ科イラクサ属の多年草で、日本では関東よりも南の本州や四国、九州に自生します。

ネトルは和名を西洋イラクサといい、葉のトゲに触れることで起こる炎症が「蕁麻疹(じんましん)」の由来になった植物です。トゲの先から出る、ギ酸とヒスタミンがアレルギー反応を引き起こします。

植物的な特徴

草丈は約30~50cmで、葉は5~15㎝の楕円形~卵型で縁に鋸歯(ギザギザ)があります。茎や葉の表面が刺毛に覆われていますが、この毛に触れると激痛で皮膚が赤く腫れるため、扱いには注意が必要です。

6月~9月頃に葉腋(茎の付け根)から穂状の小さな花が咲きます。緑白色の雄花と淡緑色の雌花による構成で、茎の先端に雌花穂が付きます。ネトルの根や茎は匍匐性で繁殖力が強く、茎は2mほど伸びて地面に広がります。

効果・効能

ネトルはアトピーや花粉症、リウマチなどのアレルギー疾患に良く用いられるハーブです。抗ヒスタミン成分を持つため、ドイツなどでは春先のアレルギー対策(春季療法)として体質改善に利用されています。

ネトルに含まれる含有成分の1つ・クロロフィルは血液(赤色色素)によく似た分子構造があり、「植物の血液」とも呼ばれます。さらに赤血球の生産を助ける鉄分やビタミンC、葉酸を含むため、ネトルは貧血予防や血液の浄化にも役立ちます。

毒素の排出に役立つフラボノイド類、カリウムやケイ素を含むことから優れた利尿効果もあり、体内の老廃物や余分な水分の排出してくれます。そのため、痛風や尿道炎の症状にも用いられます、その他、血行を良くする働きがあり、疲労回復、冷えやリウマチ、関節炎などにも有効です。

そのほか、消炎・抗炎症作用があるとされます。この作用は男性の前立腺肥大にも有効といわれます。また、ビタミンやミネラルが多く含まれるため、美容効果も期待できます。

適応

貧血予防、血液浄化、アトピー・花粉症などのアレルギー、痛風、尿道炎、リウマチなど

一般的にハーブは穏やかな作用を持ち、体に無理なく影響を与えますが、必ず効果が表れるものではありません。妊娠中・授乳中、持病がある場合や医薬品を常用している場合はハーブの使用を控えるか、事前に医師の判断を仰ぐようにしてください。

主な作用

  • 利尿作用
  • 抗アレルギー作用
  • 血行促進作用
  • 血液浄化作用
  • 造血作用
  • 消炎作用
  • 収れん作用

禁忌・副作用

  • 妊娠中、幼児の使用は避けるようにします。
  • 生の葉には刺毛があるため、素手で触ると刺激で赤く腫れることがあります。生では食べないようにしてください。

安全性・相互作用

安全性クラスⅠ…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

ネトルの主な使い方

使用部位

ネトルは主に料理、ハーブティー、繊維に使用されています。

料理

ネトルは料理にも使われ、煮込み料理やリゾットのほかロシアではスープの具として活用されます。生葉はトゲがあって食べられないため、加熱または乾燥させてから使います。

ハーブティー

アレルギーや花粉症が気になるときに飲むとよいでしょう。ネトルのハーブティーを花粉症のシーズン前から飲み始めると効果を発揮します。

また、ネトルはビタミンやミネラル類、β-カロテンなどの栄養素、フラボノイドやクロロフィルなどの植物成分を豊富に含みます。「天然のマルチビタミン」とも呼ばれており、手軽な栄養補給としてもおすすめです。

薬用

葉・茎から根まで全草が薬用できます。鼻時や痔疾、皮膚の炎症などに湿布剤やパウダー剤が使われます。

その他

ネトルの茎は古くから繊維としても利用されており、白く滑らかでリネンのような使われ方をします。ヨーロッパでは3000年以上にわたって、衣類を作るためにこの繊維が利用されていました。また、草木染の染料にも利用でき、根を使うと黄色、葉は黄緑色に染められます。

味・香り

ほのかに草の香りがあり、緑茶のような味がする。

ネトルの基本情報

学名Urtica thunbergiana
英名Nettle
和名・別名イラクサ(刺草)、蕁麻
科名イラクサ科イラクサ属
分類多年草
原産地ヨーロッパ~アジア
使用部位
主要成分フラボノイド(クエルセチン)、フラボノイド配糖体(ルチン)、クロロフィル、フィトステロール(β-シトステロールなど)、ヒスタミン、ミネラル(ケイ素、カルシウム、マグネシウム、鉄)、ビタミンC、β-カロテン、葉酸など
作用利尿、抗アレルギー、血行促進、血液浄化、消炎、収れん
適応貧血予防、血液浄化、アトピー・花粉症などのアレルギー、痛風、尿道炎など

語源・由来

属名Urticaはuro「チクチクする」というラテン語の古名に由来し、イラクサ科のことを指します。種小名のthunbergianaは「雌雄異株の」という意味があります。

英名のネトル(Nettle)は、needle「針」から来ているといわれ、イライラしたり怒ったりすることを意味する英単語・nettledはネトルに由来します。

歴史・エピソード他

ネトルは青銅器時代(紀元前3000年~紀元前1200年)には既に使用されており、デンマークにある古い墳墓からネトルの繊維を使った織物が発見されています。

古代ギリシャ・ローマ時代には野菜という位置づけもあって、現在と同じようにネトルを煮込みスープに加えたそうです。薬用もされており、1世紀ローマの医師ディオスコリデスはネトルの種をワインで煮た催淫剤を作り、軍人・著述家の大プリニウスは病気を予防する野菜として評価しました。

イギリスへはローマ時代にシーザー(カエサル)の軍隊が持ち込んだといわれ、ローマ軍によるイギリス遠征があった西暦前58年~45年ごろに、長く困難な作戦中ネトルの刺し傷(痛み)に頼って目を覚まし警戒を怠らないようにしていたそうです。

中世ドイツのハーブ療法家・聖ヒルデガルトは、胃に易しい野菜としてネトルを摂取するよう勧めました。ネトルにオリーブオイルを加えると物忘れが改善すると述べています。

北アメリカではネイティブアメリカンによって収穫され、他の食用植物が不足していた春に調理されて食べられていました。奈良公園にあるネトルは、シカから食べられないよう毒のあるトゲが増えており、通常のネトルよりも進化しているそうです。

参考文献

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