スギナの特徴・形状
- 細くて枝のような葉がたくさんつくシダ植物の一種
- 春になると地面からつくしが生えてくる
- 利尿作用があり、デトックスやむくみ解消に役立つ
スギナは、北半球の温帯以北に広く分布するトクサ科トクサ属のシダ植物で、日本でも日当たりのよい道端や畑などで見かけるハーブ。
繁殖力が強くよく増えるため、駆除の難しい雑草のひとつとされています。
スギナの加工物としてはお茶が有名ですが、スギナの胞子茎は「ツクシ(土筆)」として食用できることでも良く知られています。
植物的な特徴
スギナは地下茎が長く伸びて節から地上茎をのばす特徴があり、地上茎には栄養茎と胞子茎の2種類が生えてきます。栄養茎の草丈は約20~40cmで、節に鞘状できれいな緑色の葉がつき、枝が輪生します。
胞子茎は10~15㎝で、円柱状をした茎の節に「はかま」と呼ばれる葉(葉鞘)が付きます。
淡い褐色で、先端に長さ2~4cmの胞子を含んだ穂を持ちます。スギナは秋になると枯れてしまいますが、地下茎や根が生きていて春先になるとこの胞子茎が出てきます。
効果・効能
スギナ(栄養茎)は古くから利尿剤として用いられ、特に夜尿症、泌尿器の不調などに活用されてきました。
スギナにはミネラルの一種であるケイ素が豊富に含まれており、カルシウムのように人間の皮膚や骨、歯、髪、爪などを健やかに保つ働きがあります。
ケイ素は人の体内では生成できないので、スギナのティーはケイ素の補給にも◯。
また、皮膚のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの結合組織を丈夫にします。そのため、美肌作用があり美容品に含まれることも多く「美のミネラル」と呼ばれることも。
さらに抗酸化作用があるため、活性酸素から体を守り、生活習慣病の予防に役立てることができます。
その他、含有成分のタンニンによる収れん作用、抗菌作用、フラボノイドによる利尿作用と合わせてのデトックス効果やむくみの解消が期待できます。それ以外にも痰を切ったり、咳を鎮めるのに役立つサポニンが含まれています。
夜尿症、泌尿器系の不調、皮膚疾患、風邪、痰、むくみなど
主な作用
- 利尿作用
- 収れん作用
- 止血作用
- 解熱作用
- 鎮咳作用
- 消炎作用
- 抗菌作用
禁忌・副作用
- 長期間の使用、子供への使用は避けてください。
- 腎臓疾患がある場合も利用を控えます。
安全性・相互作用
安全性 | クラスA…相互作用が予測されない |
相互作用 | クラス2d…腎臓疾患のある人への使用は禁じられている |
スギナの主な使い方
- 全草(主に栄養茎・胞子茎)
スギナは主に料理、ハーブティー、薬用に使用されています。
料理
ツクシ(胞子茎)は食材として利用でき、胞子を出す前の若い茎を採取して食べられます。
通常、下準備として胞子穂(頭)とはかま(鞘状の葉)を取って、茎だけを茹でて水にさらして灰汁を抜いてから、お浸しや煮物、酢の物、てんぷら、炊き込みご飯などに使います。
毒性を含むアルカロイドやチアミナーゼなどを含むため、多量摂取すると副作用が出ることがあります。そのため、心臓、腎臓の質病がある場合や妊娠中の使用は控えるようにします。
ハーブティー
若い栄養茎を乾燥して焙煎したものを使用したティーは「スギナ茶」と呼ばれます。
ミネラルやビタミン類が含まれ、むくみの解消、体調を整えたい時に役立ちます。味も強くなく飲みやすいお茶ですが、利尿効果があるので夜寝る前の飲用は避けましょう。
薬用
スギナには出血症状を抑える働きがあります。切り傷や鼻血などの際にスギナのティーに浸した冷湿布をすると止血に役立ちます。ヨーロッパでは湿疹に使われることもあります。
漢方ではスギナを「問荊(もんけい)」といい、初夏に栄養茎を刈り取って洗った後に天日乾燥したものを生薬として用います。利尿作用、去痰作用のほか、肝炎、膀胱炎、咳、むくみなどに効くとされています。
味・香り
お茶は、クセがなくすっきりしていて優しい味わい。
スギナの基本情報
学名 | Equisetum arvense |
英名 | Field Horsetail, Common Horsetail |
和名・別名 | スギナ(杉菜)、ミモチスギナ、セツゾクソウ(接続草) |
科名 | トクサ科トクサ属 |
分類 | シダ植物 |
原産地 | 北半球の温帯以北 |
使用部位 | 全草 |
主要成分 | タンニン、グルテオリン、ミネラル(珪酸、マグネシウム、アルミニウムなど)、フラボノイド(クエルセチンなど)、アルカロイド |
作用 | 利尿、収れん、止血、解熱、鎮咳、消炎、抗菌 |
適応 | 夜尿症、泌尿器系の不調、皮膚疾患、風邪、痰、むくみなど |
語源・由来
属名のEquisetumはequus「馬」とseta「動植物の剛毛」が組み合わってできた語で、形態が馬の尾に見えることからこの名が付きました。種小名のarvenseは「原野生」のという意味です。
和名のスギナは、杉のような形で春にツクシが食用されることから「杉の菜」という意味で名づけられました。
歴史・エピソード他
トクサ科の植物は約3億年前の古生代石炭紀(地質時代区分)から存在しており、現在生きている生物のうち最も古い種族の1つで、石炭のもとにもなっています。
古代ギリシャでは傷の治療や利尿剤としてスギナを用いており、ローマ人は動物や人間の食物に用いました。17世紀のハーバリスト・ニコラス・カルペパーは止血、潰瘍、腎臓結石、傷、皮膚の炎症に対するスギナの有効性について触れています。
トクサ科の植物は北米のネイティブアメリカンの間でも薬用され、チェロキー族は腎臓の疾患に利用したそうです。そのほか、部族によって利尿剤として、排尿の痛みなど、基本的には腎機能や膀胱の不調を緩和するために用いられていました。
自然療法の父と呼ばれるドイツのセバスチャン・クナイプ神父(1821~1897年)も、膀胱・腎臓の不調、結石、リウマチなどに効果があると発表しています。
漢方薬としても利用されますが、日本に伝わったのは江戸時代で、オランダやポルトガルなど西洋との交易でスギナの薬効が伝来したといわれています。