キャットニップの特徴・形状
- 猫の好むハーブでハッカの香りがする
- 心をリラックスさせ、生理痛など女性特有の悩みを解決する
- 古代から高く評価され、アメリカのインディアンも活用した
キャットニップは、ヨーロッパ、中国、朝鮮半島、西アジアなどユーラシアを原産とするシソ科イヌハッカ属の多年草です。
別名を「西洋マタタビ」といい、マタタビのように猫が好むハーブとして知られています。
全草がハッカ(ミント)の香りを持つため、和名ではイヌハッカ、チクマハッカと呼ばれ、日本に帰化したものが長野県筑摩郡で発見されました。
植物的な特徴
高さ50㎝~80㎝ほどに育つ植物で、茎や葉には細かく白い毛が生えています。茎はよく枝分かれし、葉は2~6cm、鋸歯(ギザギザ)を持った楕円形で葉先が尖っており、茎から対生します。
6月~9月にかけて、香りのよい、白地に赤紫色のある花を輪散花序(茎の周りを取り囲むように花が咲く)で咲かせます。
効果・効能
キャットニップは、主に鎮静作用と筋肉の弛緩作用で高く評価されています。
リラックス効果
キャットニップに含まれる精油成分(シトロネオールなど)には、神経性の不安や緊張を和らげ、心を落ち着かせる働きがあります。そのため、不眠の時や気分が落ち着かないときや、神経性の頭痛があるときにハーブティーを飲むとリラックス効果が得られるかもしれません。
痛みを鎮める
また、通経、弛緩作用に加えて鎮痛作用があるため、生理不順、月経痛や月経前症候群(PMS)などの症状緩和にも役立ちます。
消化不良、胃痛の解消
その他、胃の健康を維持する働きがあり、消化不良や胃の痛みといった消化器系の不調や、腹痛にも効果があるといわれています。
風邪時の熱がつらい時に
キャットニップにはビタミンCが豊富に含まれており、風邪などで体力が落ちている時にも有効です。
防虫効果
キャットニップ特有の成分に、ネペタラクトンという精油があります。この成分には防虫作用があるため、キャットニップは蚊やハエなどの忌避剤としても利用されてきました。
熱があるとき、不安、胃の不調、腹痛、頭痛、月経痛など
主な作用
- 解熱作用
- 発汗作用
- 健胃作用
- 催眠作用
- 鎮痙作用
- 鎮静作用
- 通経作用
- 弛緩作用
禁忌・副作用
- 小さな子供、妊娠中や授乳中の人は使用を避けること。
安全性・相互作用
安全性 | クラスA…相互作用が予測されない |
相互作用 | クラスⅠ…適切な使用において安全 |
キャットニップの主な使い方
- 地上部(葉・茎など)
キャットニップは主にハーブティー、料理に使用されています。
料理・ハーブティー
日本ではほとんど見かけませんが、ミントやタイムのような香りの若葉は食用でき、サラダに加えてそのまま食べられるそうです。
キャッとニップは肉料理の香りづけ、ハーブティーなどに使うのが一般的。ドライの葉をティーにすると、ミントのようなさわやかな香りが出てきます。
その他
乾燥した葉を小さなぬいぐるみなどに加えて、猫のおもちゃに使うことができます。(海外では実際に販売されています) また、鎮静作用のある精油を含むので、ハーバルバスなどに使用してリラックス効果を高めるのもおすすめです。
味・香り
ほんのりミントに似た清涼感のある香り・味。
キャットニップの基本情報
学名 | Nepeta cataria |
英名 | Catnip |
和名・別名 | イヌハッカ(犬薄荷)、チクマハッカ(筑摩薄荷)、catswort,、catwort、catmint |
科名 | シソ科イヌハッカ属 |
分類 | 多年草 |
原産地 | ヨーロッパ、中国、朝鮮半島、西アジア |
使用部位 | 地上部 |
主要成分 | タンニン、苦味質、精油(ネペタラクトン、カルバクロール、シトロネオール、ゲラニオール、チモールなど) |
作用 | 解熱、発汗促進、催眠、鎮痙、鎮静、健胃、駆風、通経、弛緩など |
適応 | 不安、胃の不調、腹痛、頭痛、月経痛など |
語源・由来
学名のうち属名のNepetaは、古代のイタリア南部にあった都市国家・エトルリアの都市「Nepeti」が、種小名のcatariaは「猫の」が由来です。
また、英名の キャットニップ(Catnip )には「猫が噛む草」という意味があります。和名ではイヌハッカとも呼ばれますが、「犬」ではなく「否ぬ」という意味で、役に立たないものというニュアンスがあります。ハッカに対してイヌハッカと名付けられました。
歴史・エピソード他
キャットニップの歴史は古く、古代エトルリアの都市ネプティック(現在はビテルボ県のネピの町)の特産品として知られ、その頃から調味料や薬用に用いられていました。その後を継いだ古代ローマ人もまたキャットニップを高く評価し、栽培して料理や薬草として利用したそうです。
中世では、キャットミントまたは「ネップ」と呼ばれ、同じく料理や薬に活用されました。
18世紀頃にアメリカの入植者によってにキャットニップが持ち込まれると、ネイティブアメリカンはこの植物を自分たちの伝統療法に加え、咳、風邪、肺炎、喉の痛み、発熱、消化不良、胃のけいれんなどの症状に薬草として用いました。部族の1つ、モヒガン族はキャットニップのハーブティーで乳児疝痛の症状を和らげたそうです。
ミントのような香りがするキャットニップは、紅茶が登場するまで、刺激的な飲み物として人気を集めていました。
英名ではネペタ・カタリナ(Nepeta cataria)がキャットミントですが、日本ではネペタ・ファーセニー(Nepeta faassenii)がキャットミントと呼ばれます。