イエロードッグの特徴
- 直立する茎に黄緑色の小花がたくさん咲く
- 抗菌力があり、皮膚や口内の殺菌に役立つ
- ネイティブアメリカンも使っていたハーブ
イエロードッグはカーリードック、カールドックとも呼ばれるタデ科、ギシギシ属の多年草です。
原産地はヨーロッパ~西アジアですが日本にも帰化しており、和名の「ナガバギシギシ」の名で呼ばれることもあります。このギシギシ類は繁殖力が強く交雑しやすいため、全国各地の山野に分布しているそう。
近縁種で、Japanese dockと呼ばれるギシギシは生薬の一つとされています。
「羊蹄」「羊蹄根」として根を砕いたものを皮膚病全般に使用したり、服用して便秘、高血圧、動脈硬化などの対策に活用されています。
植物の特徴
草の高さは50〜150cmほどで、茎は直立し、葉は根の近くにある茎から広がって生えるのが特徴です。
葉の形は先端のとがった楕円形で波打っており、5~7月になるとほぼ緑色の小さな花弁を茎の周りに多数つけます。花は果実を取り巻いておりハートのような形をしています。
効果・効能
タンニンが含まれており抗菌力が強いためニキビ、かゆみ、かぶれ、ただれなどの皮膚病・疾患に良い効果があるとされます。利尿作用もあり体内の毒素を排出するため、体の内側から皮膚疾患の改善を目指せます。
また、イエロードッグを使ったハーブティーをうがいに使えば、抗菌作用により口内炎・口臭などの口腔トラブルの改善に役立てることができるでしょう。
イエロードッグに含まれるアントラキノンという成分には、腸を刺激する作用があり便通を良くする働き(緩下作用)があります。アロエやセンナといった植物にもアントラキノンが含まれるので、同様の緩下作用が期待できます。
そのほか胆汁分泌作用が肝臓の不調や肝機能の強化に役立ちます。鉄分も多く含まれており、貧血・疲労回復などにも良いとされています。
かぶれ、かゆみ、湿疹、黄疸、皮膚疾患、便秘、肉体疲労、病後の回復
主な作用
- 浄化作用
- 緩下作用
- 胆汁分泌促進作用
- 収れん作用
- 抗菌作用
- 抗炎症作用
- 利尿作用
- 強壮作用
禁忌・副作用
- シュウ酸を含むため、過去に腎臓結石を患ったことがある場合は使用を控えます。
- タデ科植物のアレルギーがある場合は使用に注意が必要です。
安全性・相互作用
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
安全性 | クラスⅠ…適切な使用において安全 |
主な使い方
- 根
ハーブティー
根(ルート)の部分を利用するためイエロードッグルートティーと呼ばれます。使用部位は根なので抽出する際には5分以上時間を置くようにします。やや渋味や苦みを感じる味です。
便秘や腹部の不快感がある時、お酒を飲んだ後などに飲んでみるとよいでしょう。
食用
ハーブとして使うのは根の部分ですが、イエロードッグの若葉は葉野菜として食べることができます。
体の中で老廃物になるシュウ酸が含まれるため、何度か洗って沸騰させてから食べるのが良いとされます。栄養素にはビタミンA、ビタミンC、鉄分、カリウムなどが含まれます。
薬用
葉部は肌荒れやかゆみ、腫れといった皮膚疾患に効果があるとされます。直接肌に葉をあてるほか、コットンなどをティーに浸して作った湿布、チンキ、浸出油などを塗ることで症状の改善が期待できます。
味・香り
土の香りが感じられ、酸味と苦みの含まれる味
イエロードッグの基本情報
学名 | Rumex crispus |
英名 | Yellowe dock root |
和名・別名 | ナガバギシギシ(長葉ギシギシ)、ヨウテイ(羊蹄)、牛耳大黄(ギュウジダイオウ)、カーリードッグなど |
科名 | タデ科、ギシギシ属 |
分類 | 多年草 |
原産地 | ヨーロッパおよび西アジア |
使用部位 | 根 |
主要成分 | シュウ酸、タンニン、鉄、アントラキノン配糖体など |
作用 | 浄化、緩下、胆汁分泌促進、収れん、利尿、強壮、抗菌 |
適応 | かぶれやかゆみ、ニキビなどの皮膚疾患、便秘、肉体疲労、病後の回復 |
語源・由来
学名のうち属名のRumexは「槍」の意味があり、イエロードッグの縦に長く伸びる形状が槍に見えたことに由来します。crispusは「縮れた・シワのある」という意味で波状の葉を形容したものと考えられています。
英名のYellowは根の黄色い部分を、dockはギシギシ属のことを指します。
和名のギシギシにはいくつかの由来があり、有名な説としてはこの草の茎と茎をこすり合わせた時に「ギシギシ」と音がなり、子供がこの音を出して遊んだためといわれています。
歴史・エピソード他
イエロードッグはお通じの促進や腸の調子を整えるための薬草として、長い歴史の中で使われてきました。薬用ハーブとして原産であるヨーロッパだけでなく、ネイティブアメリカンにも利用されていました。
北米では、1700年から1900年にかけてイギリスやスウェーデンからの移民によって香味野菜として食事に取り入れられていたそうです。