アイブライトの特徴
- 小さな白い花を咲かせる高山植物
- 眼精疲労やアレルギーの改善に効果大
- 昔から使われてきた眼病の特効薬
ゴマノハグサ科の一年草でヨーロッパ原産とされていますが、アジアの西部や北アメリカの一部でも自生しています。
「目」+「光」という名の通り、目の疲れや眼精疲労に良い効果をもたらすといわれるハーブです。
植物の特徴
日本でも見かける高山植物で、高さは30㎝ほど、葉は楕円で周囲にギザギザの突起があります。
夏から秋にかけて、花弁に紫色の筋のある小さな白い花を咲かせます。この花には黄色い斑があり、赤い脈が入るため、古くは「充血した目」に見立てられることもあります。
アイブライトは宿主植物の根に取り付き、栄養分を吸収しながら育つ半寄生性の植物です。和名をセイヨウコゴメグサといい、日本では南アルプスや八ヶ岳、秩父山地などに分布します。
ミヤマコゴメグサ、ホソバコゴメグサなど数種類の近縁種がありますが、いずれも低地での栽培は難しいとされています。
効果・効能
アイブライトは眼精疲労や目の痛みに効果的なハーブで、アイブライトの浸出液で目を洗うと目の疲れ・トラブルが緩和されるといわれています。
ハーブティーでも同様の効果があり、抗アレルギー作用により花粉症、結膜炎や、そこから引き起こされる目のかゆみや鼻水を改善するのにも役立ちます。
また、タンニンが含まれているため、皮膚の引き締めや粘膜の保護、殺菌、肝臓の胆汁分泌などの効果も期待でき、結膜炎やもらいなどの感染症の症状を和らげます。
その他アピゲニンによる鎮痙作用、抗不安作用、ケセルチンによる強い抗酸化作用、抗炎症作用、降圧作用などの効能が期待できます。一説には、アイブライトは視力低下を防ぐ効果を持つといわれています。
眼精疲労、目の痛み、花粉症予防、アレルギー症状、結膜炎など
主な作用
- 強壮作用
- 抗炎症作用
- 収れん作用
- 殺菌作用
- 抗ヒスタミン作用
禁忌・副作用
通常の範囲内での使用に限り、安全性が認められています。
安全性・相互作用
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
安全性 | クラスⅠ…適切な使用において安全 |
アイブライトの主な使い方
- 地上部(主に葉・茎)
アイブライトは主にハーブティー、湿布などの外用に使用されています。
ハーブティー
ハーブティーは苦味があり、若干癖のある味で草の香りがします。オーストラリアの伝統的医学ではに目と胃腸管の障害の治療のためアイブライトのお茶が飲まれてきました。
ドライの葉以外にサプリの材料になることもあり、ビルベリーやブルーベリー、カシスなど、目に働きかけるアントシアニンが豊富なベリー類などとブレンドされたサプリが販売されています。
薬用
肌を引き締める効果や殺菌効果があるため、外用としてチンキ剤、温湿布に使われています。
アイウォッシュの作り方
目のかゆみや疲れ目などのトラブルに、アイブライトのティーを使って目を洗う合いウォッシュがおすすめです。
- 目の細かいお茶パックにアイブライトを入れて、熱湯を注ぎ蓋をして10分ほど待ちます。(通常3~5分ほどですが濃いめに入れます)
- 温度がぬるくなるまで待ち、清潔なアイウォッシュキャップなどの容器に入れ、 目を浸して洗眼します。
味・香り
ほのかに草の香りがあり、やや苦みのある味
アイブライトの基本情報
学名 | Euphrasia officinalis |
英名 | eye bright |
和名・別名 | コゴメグサ(小米草) |
科名 | ゴマノハグサ科、コゴメグサ属 |
分類 | 一年草 |
原産地 | ヨーロッパ |
使用部位 | 地上部 |
主要成分 | ビタミ類、ヨウ素、ミネラル、ケイ素、ナトリウム、タンニン、亜鉛、銅など |
作用 | 強壮・抗炎症・収れん・殺菌・抗ヒスタミン |
適応 | 眼精疲労、目の痛み、花粉症予防、アレルギー症状、結膜炎など |
起源・由来
属名のEuphrasiaは、ギリシャ語で「陽気、爽快」を意味し、視力に対する薬効効果を讃えたことに由来します。ギリシャ神話でアフロディテに仕える三美神の一人で、喜びの女神・エウプロシュネの名でもあります。
種小名のofficinalisには「薬用の」という意味があります。
英名のeye brightは、eye「目」とbright「輝く」を組み合わせたもので、目が輝くようにきれいになるという意味があります。和名のセイヨウコゴメグサ(西洋小米草)は、とても小さな白い花が米粒のように見えることからこの名が付きました。
歴史・エピソード他
ギリシャ神話では、盲目の少女が毒草に触れそうになった時に、喜びの女神エウプロシュネが毒草を眼病に効く薬草に変え少女の目を治したという伝説があります。
このような物語があるように、ギリシャ時代には既にその薬効が知られており、ギリシャの哲学者・博物学者テオフラストスは目の感染症のために浸剤を処方していたという記録があります。
中世になるとドイツ薬草学の祖ヒルデガルトが様々な眼病に効く外用治療薬として紹介し、アイブライトの効能が広く知られるようになりました。14世紀ごろには、実際にものもらいや眼臉炎の薬として外用されていました。
有名な話に、17世紀イギリスの植物療法家・カルペパーが言った「もし、このハーブがもっとよく利用されていたら、めがね製造業者の半分は倒産していただろう」という言葉があり、視力回復だけでなく記憶力向上にも用いられたそうです。
ヨーロッパではアイブライトの抽出エキスを、ビールやワインに入れて飲むこともあります。