一般にスーパーで販売されていたり、自宅で育てた生のハーブを「フレッシュハーブ」と呼び、旬の時期に収穫し乾燥させたハーブを「ドライハーブ」と呼びます。
水分を含む生の食材は腐りやすく、乾燥した食材が長持ちしやすいというコトはよく知っていると思いますが、ハーブもフレッシュ・ドライでそれぞれ保管方法が異なります。
使用する容器や置く場所に気を付けることで長く品質の良い状態を保てるため、基本的な保管方法を覚えておくと便利です。
フレッシュハーブの保存
フレッシュハーブは基本的に野菜と同じ扱いでOK。収穫量が多く使いきれなかったときは、冷蔵庫の野菜室などに入れて保管できます。
ハーブの保存方法は、大きく分けて
- 冷蔵して保存
- 冷凍して保存
- 加工して保存
- ドライにして保存
の4つに分けられます。
購入した後に室内で保管する場合ですが、タラゴン、パセリ、ミントなどの傷みやすいハーブは涼しい場所に置くようにしましょう。
新鮮な水を入れた水差しや花瓶に差しておくことで、2~3日持たせることができますよ。
フレッシュハーブの保存方法
①冷蔵して保存
家庭菜園で収穫したハーブが一度に使い切れない時などには、冷蔵で保存しましょう。
バジルやマジョラム、ミントなど、多くのハーブは葉を茎に着けた状態でも保存ができます。
1週間くらいの内にすべて利用する予定であれば、冷蔵での保存がおすすめです。
- 初めに水で洗って汚れを落とす
- ペーパータオルなどで軽く水分を吸収する
- 湿らせたペーパータオルに茎ごとやさしく包む
- 冷蔵庫に入れる
ハーブの多くは冷風が苦手なので、冷蔵庫の中でも風が当たらない場所に置くと長持ちしやすくなります。
②冷凍して保存
フレッシュハーブは鮮度が大切な印象ですが、冷凍保存しても性質が変わらないハーブもあります。
ワイルドストロベリーなどの果実や、ミント、バジルなど生食でも食べられるハーブはこちらの方法が適しています。
最大6ヵ月ほどの長期保存ができるので、余ったハーブは冷凍するのもよさそうですね。
摘み取った葉を少量ずつラップでくるみ、冷凍庫用の密封袋に入れて保存する方法もあり。
また、水分の多い果実類の場合は、果実を冷凍室に直接入れ、凍らせてから密封袋に入れて保存します。長期保存をしたい時は冷凍の方が長持ちします。
ハーブを使ったアイスキューブの作り方
冷凍での保存方法の1つにアイスキューブがあります。
花部が食用できるハーブの場合は、花びらを加えると見た目的にも色鮮やかでおしゃれになります。
- ハーブをみじん切りにする
- オリーブオイルか水を混ぜ合わせたものを、製氷皿にスプーンで差し入れる
③加工して保存
ハーブオイル・ハーブビネガー・ハーブ酒、ハーブペーストなど食品に加工して、保存することもできます。
ハーブオイル・ハーブビネガーであれば、しばらくハーブを漬け込むだけでオイルの風味が増し、食事にもおいしく活用できます。
もう一つのハーブ酒は古くからある加工法の1つで、アーティチョークを使った肝臓用の薬用酒などが有名。こちらもハーブをワインや日本酒などに漬けるだけで、ハーブの薬効成分を使ったお酒が作れます。
ハーブペーストはオリーブオイルなどの植物油とナッツ類などを組み合わせて簡単に作れるペーストです。パスタに使われるバジルペーストが有名ですが、ルッコラなど他のハーブも活用できます。
④ハーブをドライにして保存する
摘み取ったハーブを水洗いし、水気を切ってから自然乾燥させることで、自宅でもドライハーブが作れます。
手間がかからず長期保存できるので、後でハーブティーをつくりたいときはドライにして保存するのがおすすめです。
葉・茎をドライにする場合
- ハーブを水洗いする
- 水気を切ったら、ひもなどを使って束にする
- 風通しの良い場所で逆さに吊るす
- 葉がパリパリになってきたら完成
吊るすときは、壁などに吊るすと安定感が出ます。フラワーアレンジメントで見かける「スワッグ」のイメージ。
また、上記のような通常の乾燥方法だと色が落ちるため、元の色を残したまま乾燥させたい時は、ドライヤーや電子レンジ、乾燥材を使用してドライにすることもできます。
自然乾燥の方が風合いが出てきますが、短時間で作れるのでこちらも便利です。
ちぎった葉や花をドライにする場合
- ハーブを水洗いする
- ざるや新聞紙などにちぎった葉や花を置く
- 風通しの良い日陰で乾燥させる
- パリパリになってきたら完成
ドライにすると植物の持つ水分がなくなるため、乾燥後は少し縮みます。
保存については、ドライハーブと同じ方法(密閉・遮光・冷暗所に置く)です。
完全乾燥するまでの期間は量によりますが、ちぎった葉や花びらであれば3日もすればほとんど水分はなくなります。
ドライハーブの保存方法
ほとんどのハーブは乾燥させれば、その薬効成分を維持させることができます。
煮沸消毒などの方法で十分に消毒した密閉容器(できればガラス瓶の遮光瓶)にドライハーブを入れ、戸棚などの暗く乾燥した場所で保管します。
ハーブを保存した瓶にラベルを張って「ハーブの名前」「購入した年月日」を書くと、有効期限などを確認する際に役立ちます。
基本的にドライハーブの有効期限は6ヵ月~12カ月または、収穫後約1年となるため、期間が過ぎたものは処分し新しいものに入れ替えていきましょう。
保存するときに注意すること
- 乾燥させない
- 使うときに細かくする
- 遮光瓶に入れ、冷暗所で保管する
- ラベルを張って管理する
①乾燥させない
フレッシュの状態で保存したい時は、ハーブを水を入れたグラスなどに入れたり、湿らせたペーパータオルなどに包んで保存用の袋に入れ冷蔵庫の野菜室で保存するようにします。
②使うときに細かくする
ハーブは、なるべくホール(原形)状態のまま保存し、使用する際に細かくちぎったり砕いたりするのが良いとされています。
ハーブに限らずですが、基本的に空気に触れる部分が多くなることで酸化が早まります。そのため、直前に砕くことで空気による酸化を防ぎます。
酸化による品質の劣化を避けるため、保存時はなるべく原形をとどめた形で保存します。
ハーブティーであれば、ローズヒップやカレンデュラの根など堅いハーブは、お湯を入れる直前にカットまたは細かく砕きます。
粉砕することでハーブの薬効成分がよく抽出され、より高い効果が期待できます。
また、ティーでハーブを使用する場合、ハーブティー自体が日持ちしないため、フレッシュハーブを使う際は原則使う分量だけを摘むようにしましょう。
③遮光瓶に入れ、冷暗所で保管する
ハーブは光・湿度・温度の影響を受けることで、品質が劣化することがあります。
そのため、ハーブ保存の3原則は「密閉」「遮光」「冷暗所に保存」で、保存容器の材質の種類にも注意します。
できればガラス製の密閉容器(遮光瓶褐色か青色の遮光瓶)を使用しましょう。乾燥した戸棚などの冷暗所で保管すると、鮮度を保ちやすくなりますよ。
「密閉」「遮光」「冷暗所に保存」することで、
- 紫外線によるハーブの色素成分破壊
- 高温多湿による酸化・色素成分破壊
を避けることができます。
ちなみに、ハーブや野菜に含まれる色素成分には、抗酸化作用など体にうれしい効果をもたらす種類があります。色素成分を摂れなくなってしまうのはもったいないですよね。
また、ハーブはある一定の期間穂同じ容器で保存することが多いので、外部からの雑菌や雑菌繁殖を抑えるため、ハーブを入れる前に保存容器は十分に消毒(煮沸消毒がおすすめ)します。
④ラベルを張って管理する
ハーブを保存したら、保存容器にラベルシールなどを使用して「ハーブの名前」「購入した年月日」を書きます。
自分で作ったチンキや抽出湯などの製剤も、基本的には使用期限があるため、同じようにハーブ名や作った日を書いておくと便利です。
まとめ
ハーブの保管はどのようにしていますか?
パウダー状のハーブであれば、ガラス製の専用容器や、チャック付きの袋などに入った状態で販売されていますよね。
チャック式の袋は軽くて収納しやすく便利ですが袋の中に空気が入りがちなので、できれば密封容器を用意し保存するのがベストです。
重ねてきれいに収納できるスタック式の容器も販売されているため、通販などで探してみると良いものが見つかるかもしれません。
とはいっても保管する種類が多くなってくるとこれはこれでかさばるので、ハーブ自体の新鮮さを保つためにも、少量購入して短期間で使い切るようにしたいところです。
- 冷蔵庫で1週間ほど保存ができる
- 冷凍で保存できるハーブもある
- 乾燥させると1年ほどは保存できる
- ハーブオイル・ハーブビネガー・ハーブ酒に加工すれば長持ちする
- フレッシュハーブは乾燥させないようにする
- ドライハーブは密閉容器に入れて冷暗所で保管する