ハーブの持つ成分・作用は体に対して穏やかに働きかけますが、人体に直接摂取させるものであるため、使用前に体調・年齢・薬との飲み合わせ・使用量などは必ずチェックします。
特に今までに使ったことないハーブを購入する前や、入手したときは、ハーブにどんな働きがあるか調べてみましょう。
ここでは、ハーブを購入したらまず気を付けたいことをまとめてみました。
ハーブ使用前に確認すること
①活用したい作用が間違っていないかチェックする
ハーブに薬効を期待する場合は、活用したい作用とそのハーブが合致しているかを事前に本などで調べておきましょう。
ハーブに含まれる作用は消化不良を解消するもの、神経の緊張を緩和させるものなど種類によって様々。
例えば、不眠に効果のあるハーブを使いたいのにカフェインの含まれるハーブを使ってしまうと逆効果になります。
間違ったハーブを使うと期待する効果が得られなくなってしまうので、ハーブの作用は必ずチェックします。
②決められた使用部位だけを使う
古代から重ねられた研究によって、ハーブのどの部分にどんな薬効があるのか概ね解明されてきています。
ハーブを使う時は定められた部位だけを利用するようにし、正しく使うことで期待する効果が現れます。
例えば、パッションフラワーやセントジョーンズワートのように地上部のすべてが薬効を持つハーブもあれば、ネトルやペパーミントのように葉の部分だけを使うハーブもあります。
基本的には安全性が確認されている部位のみが販売されていますが、こちらもチェックするべきポイントです。
決められた部位以外を使用すると心身にトラブルが起こる可能性があるため、安全性が不明な部位の使用は避けるようにします。
③副作用・薬との相互作用がないか調べる
ハーブの種類によっては副作用や禁忌を持つものがあります。例えば、肝毒性、発がん性などハーブによって様々な副作用の可能性が指摘されることがあります。
これらはハーブに含まれる様々な成分によるもので、植物が自らの身を守るために植物の体内で作られる物質であったりします。人間にとっては害になる場合もあるということですね。
また、種類によっては薬との相互作用がある場合もあります。
例えば、認知症に良いとされるイチョウですが、イチョウには血液をサラサラにする効果があり血液凝固薬を飲んでいる場合、薬の効果を阻害してしまいます。
持病がある場合や薬を常用している場合は、ハーブを使う前に問題がないか調べたほうがよいでしょう。
④長期の使用は避ける
ハーブは薬ではありませんが、同じハーブを長期連用すると依存症につながることがあるといわれます。
鎮痛作用、鎮静作用など薬のような働きがあって効果の強いハーブは、気になる症状が治まったら一旦使用を止めます。
なんとなく使い続けるのではなく、数日たったら自分の体調を見直すのがおすすめ。
ビタミン類ばかりたくさん摂っていると「ビタミン過剰症」になるように、どんなに好きでも毎日同じハーブを摂取していると栄養が偏ってしまいます。
一般にハーブティーはシングルで飲む方よりもブレンドする方が良いとされます。
毎日同じハーブを摂取したい場合は、他のハーブとブレンドしながら少しずつ飲むようにすると体に無理なく続けられます。
⑤多量摂取しない
また、ハーブによっては多量摂取によって眠気が出たり、体に不快感が現れることがあります。
効果を期待して一度にたくさんの量を摂るのは避けてください。
ハーブの摂取量はハーブティー1杯の場合であれば、ドライハーブ山盛り1杯(3g程度)に熱湯180mlほどを加えた量が望ましいとされています。
ハーブティーをたくさん飲んでも、良い効果ばかりが出るとはかぎらない。
⑥妊娠中や授乳中のハーブ使用は注意
ハーブは種類によってホルモンバランスに働きかけたり、通経作用を持つものがあります。
ラズベリーリーフなどのようにお産を軽くする効果を持つハーブや、催乳作用のあるハーブもありますが、妊娠中・授乳中の方はハーブを摂取する前に、かかりつけの医師に相談するなど確認が必要になってきます。
妊娠中や授乳中の人はハーブを使用する前に、医師の診断に従うのが望ましいです。
⑦子供、お年寄りは様子を見ながら使う
高齢者や子供にハーブ使用する場合は、はじめは量を少なくしたり半分量を使うなど工夫が必要です。
働き盛りの成人に比べると体力が異なるため、様子を見ながらゆっくりハーブを使い始めるようにします。
ハーブの作用は穏やかなため、いきなりトラブルになることはあまりありません。しかし、体質や体調によっては影響が出ることもあるため気をつけたいポイントです。
⑧保存期間を守る
購入したハーブは保存期間内(できるだけ早め)に使い切ります。
密閉容器に入れていても時間がたてば劣化していくので、ある程度用途をきちんと決めてから購入した方が無駄になりません。
一度にたくさんの量を購入するのではなく、少量購入し使い切ってから次を買い求める方が手元に新鮮なハーブを置くことができます。
ハーブティーで使う時もなるべく新鮮なものを用いるようにし、古くなったハーブは飲用・食用ではなく、ハーバルバスなどに活用するのがおすすめです。
⑨器具は入念に消毒する
ハーブに含まれる植物成分を使った化粧品などが人気を集めていますね。
ハーブはハーブティーでの利用だけでなく、軟膏や化粧水、クリーム、パック剤など様々な製剤に変えて活用することができます。
ここでの注意点はハーブ製剤を作る前に、成分の抽出や保存などに使う容器や器具をよく消毒することです。
完成までにしばらく時間のかかるものも多いので、雑菌が繁殖しないようガラス瓶などの基部は十分に消毒し、制作前にはしっかり手を洗います。
水だしハーブティー、チンキ、浸出油(冷侵油)など、熱を使わない剤型は制作過程で殺菌ができないため、特に気を付ける必要があります。
⑩ハーブティーはその日のうちに飲み切る
ハーブティーはしばらく保存できそうなイメージもありますが、ハーブの成分が酸化するため、作ったらその日のうちに飲み切ります。
ハーブティーは大量のハーブを使用するものではありませんが、酸化した成分を飲用することで、体内の活性酸素を阻害し体の老化を速めるきっかけを作ることにつながります。
ハーブティーの作り置き等は避けましょう。
まとめ
様々な植物成分が含まれるハーブは、単一成分の医薬品とは異なり、心身に様々な作用をもたらします。
しかし、それだけに作用についてはまだ解明しきれていない部分もあるため、使う側の注意が必要です。
多量摂取・長期間の摂取を行わない限り、副作用などが出ることはほぼありませんが、事前に本などを利用して調べることでトラブルを避けられます。
- 活用したい作用が間違っていないかチェックする
- 決められた使用部位だけを使う
- 副作用・薬との相互作用がないか調べる
- 長期の使用は避ける
- 多量摂取しない
- 妊娠中や授乳中のハーブ使用は注意
- 子供、お年寄りは様子を見ながら使う
- 保存期間を守る
- 器具は入念に消毒する
- ハーブティーはその日のうちに飲み切る