アロエ・ベラの特徴・形状
- 多肉植物の一種で食用に向く
- アロエに含まれるゼリーは、火傷や皮膚疾患の改善に役立つ
- クレオパトラも使っていたという、美肌のハーブ
ヨーグルトのトッピングとして見かけることのあるアロエ・ベラ。独特な形で、茎からはゼリーが取れることでよく知られていますね。
原産地はアラビア半島南部から北アフリカ地域と考えられていますが、17世紀に中国や南ヨーロッパにももたらされて以降、現在では世界中で栽培されているため自生範囲ははっきりしていません。
主に薬用として用いられる近縁種のキダチアロエに比べると苦味が少なく、食用に向くのが特徴です。
植物の特徴
アロエ・ベラは高さ60㎝~100㎝ほどの多年草で、温かい土地に育ちます。多肉植物の一種で葉には厚みがあり、やや白みがかった葉の縁には鋸歯(ギザギザ)状のトゲがあります。
夏になると、葉よりも高い場所に2~3cmの黄色またはオレンジ色の花が咲きます。
効果・効能
アロエ・ベラは切り傷・やけどの修復、皮膚からの細菌感染防止といった皮膚に対する効果が良く知られています。
アロエには「サルチル酸」が含まれており、葉の中にある透明なゼリー状の部分を患部に塗ることで、抗炎症作用や創傷治癒作用などの薬効がもたらされます。
また、同時に保湿作用を持つため、患部の修復と共に皮膚の保護にも良い効果が。
多糖体が含まれているため、食用にすると善玉菌を増やし腸内環境の改善に役立ちます。善玉菌がコレステロール値を下げるとされる「短鎖脂肪酸」を生成するため、血糖値の調整にも良いといわれます。
栄養素の働きをサポートし体内から排出するため便秘にも効果的ですが、作用が強いため1日60g以上の摂取はNG。そのほか、サポニンによる抗酸化作用も期待でき、老化防止にも適用できます。
便秘、老化予防、胃炎、血圧、血糖値の降下、過敏性腸症候群など
主な作用
- 健胃作用
- 緩下作用
- 抗炎症作用
- 創傷治癒作用
- 抗真菌作用
- 血圧降下作用
禁忌・副作用
- 妊娠中、授乳中、小さな子供は使用を避けます。
- 長期・多量摂取は避けるようにします。
安全性・相互作用
安全性 | クラスA…相互作用が予測されない |
相互作用 | クラス2b…妊娠中に使用しない クラス2c…授乳中に使用しない クラス2d…定められた分量以上に使用しない。長期連用不可 |
アロエ・ベラの主な使い方
- 葉
アロエ・ベラは主に食用、ハーブティー、スキンケアに使用されています。
食用
葉の外皮を剥いた葉肉の部分は食べることができます。サラダやヨーグルトに入れたり、シロップ漬けにして食用され、日本では刺身などにされることもあります。
ハーブティー・飲用
アロエのハーブティーもありますが、シングルだと青臭くて飲みにくいため、他のハーブとブレンドするのが一般的です。過敏性腸症候群の治療には、「アロイン」(アロエの成分の1つで緩下剤として用いられた)を抜いたアロエ・ベラジュースが用いられることがあります。
スキンケア
アロエ・ベラに含まれる「アロエシン」という成分は美白効果があり、メラニン色素のもととなるチロシナーゼを抑える働きがあります。アロエ・ベラの液汁やエキスは肌のターンオーバーを促すため、日焼け防止・紫外線予防だけでなくシミやそばかす対策にも効果があるとされます。
その他
皮膚に対する薬効が多いため、局所軟膏の材料としても使用されています。
味・香り
アロエ自体にあまり香りはなく、味もほとんどしない。ティーにするとやや青臭さが感じられる。
アロエ・ベラの基本情報
学名 | Aloe vera |
英名 | Aloe vera |
和名・別名 | バルバドスアロエ |
科名 | ツルボラン亜科アロエ属 |
分類 | 低木および高木となる多肉植物 |
原産地 | アラビア半島南部、北アフリカ、カナリア諸島 |
使用部位 | 葉 |
主要成分 | サポニン、バルバロイン、アロエシン、アロエエモジン、ペクチン、ムコ多糖体など |
作用 | 健胃、緩下、創傷治癒、抗真菌 |
適応 | 便秘、老化予防、抗炎症、胃炎、過敏性腸症候群など |
語源・由来
種小名のAloeはアラビア語のalleh「苦実のある」、またはギリシャ語のallal「苦い」に由来します。veraは「真の、本物の」という意味があります。
歴史・エピソード他
アロエの種類はっきりしないものの、世界各地でアロエに関する伝説や逸話が残されています。
歴史は古く、いつから薬用に利用され始めたかは不明ですが、紀元前16世紀に書かれたエジプトの『エーベルス・パピルス』に、800以上にわたるアロエの使用法が記されています。ミイラの腐食を防ぎ、エジプトでは「不死の植物」として、ファラオの埋葬品として使用されていました。
また、イエス・キリストは、没薬とアロエを浸したリネンでくるまれ埋葬されたといわれています。
アレキサンダー大王の師・アリストテレスはアロエ・ベラを高く評価し、軍団の将兵の創傷治癒にアロエを活用しました。また、アロエ確保のためアレキサンダー大王に進言し、アラビア半島を後回しにして、イエメン沖のソコトラ島を占領したエピソードが知られています。
クレオパトラも美貌を保つため、アロエの葉に含まれるゼリーや液汁を肌に塗って強い日差しから肌を守ったそう。
インドのアーユルヴェーダでもアロエ・ベラが用いられており、主に便秘、疝痛、皮膚疾患、寄生虫侵入、及び感染症などの症状に用いられました。