ミルクシスル|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

ミルクシスル|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

ミルクシスルの特徴・形状

  • アザミの一種で、トゲのある茎先に赤紫色の花が咲く
  • 葉に斑点があり「マリアアザミ(聖母マリアのアザミ)」と呼ばれる
  • 肝機能を強化して肝疾患を予防するハーブ

ミルクシスルはキク科オオアザミ属の二年草で、地中海沿岸が原産のハーブです。

日本ではマリアアザミやオオアザミの名で知られており、ミルクシスルに含まれる成分のシリマリン(silymarin)と呼ばれることもあります。

植物的な特徴

茎は直立し、草丈は最大で200 cmほどに育ちます。葉は長円形で長さ15〜60 cm、通常は羽状に切れ込みがあって葉の縁にはトゲがあります。この葉は光沢のある緑色で、乳白色の脈・まだら模様を持ちます。

花期は北半球で6月~9月、南半球では12月~2月で、茎先に5~7㎝ほどの鮮やかな赤紫色の頭状花が開花。花は無毛でトゲ状の硬い苞葉(総包片)に囲まれています。

果実は痩果で、長くて白い冠毛がパラシュートの役割を果たして種子が遠くに飛ぶのをサポートします。

効果・効能

ミルクシスルの種子は肝臓に良いハーブの代表格で、肝硬変や肝炎、脂肪肝など肝臓に関わる症状の改善に優れた効能を持ちます。

この働きは、ミルクシスルに含まれる成分シリマリンによるものです。傷ついた肝細胞を保護・再生したり、外部からはいってくる有害な活性酸素や毒素・ウイルスを無毒化したりと、肝細胞が傷つくのを阻止する作用があります。そのため、病気の予防・治療どちらにも利用されています。

また、肝機能を亢進させることから、毒素の排出にも役立つといわれます。肝機能の低下で起こる全身の倦怠感、疲労感、消化不良、気持ちの落ち込みなどがある時に取り入れてみると良いかもしれません。

よくアルコール飲料を飲んでいたり、薬を常用している場合など、日ごろ肝臓に負担がかかりがちな人はミルクシスルなど強肝ハーブを取り入れると、肝臓を労わることができます。お酒を飲む前に摂取すると、二日酔い防止にも〇。

その他、植物成分やビタミンEによる抗酸化作用、アレルギー症状を抑える働きを持つといわれています。

適応

肝硬変、アルコール性肝炎、脂肪肝、アレルギー症状の抑制など

効果については人によって感じ方が少しずつ異なります。ハーブの使用について、妊娠中・授乳中、持病がある、薬を常用しているなどの場合、注意が必要になることがあります。

主な作用

  • 抗酸化作用
  • 肝機能亢進作用
  • 抗アレルギー作用
  • 抗毒素作用

禁忌・副作用

  • キク科アレルギーの人は使用を避けます。
  • 2型糖尿病の人の血糖値を下げる可能性があります。

安全性・相互作用

安全性クラス1…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

ミルクシスルの主な使い方

使用部位
  • 種子

ミルクシスルは主にハーブティー、サプリメント、エキス剤に使用されています。

ハーブティー

さっぱりしていて飲みやすい味です。味が欲しいときは、香りのあるハーブと組み合わせるとよいでしょう。食後であれば、胃腸の鎮痙作用があるジャーマンカモミールなどとのブレンドができます。利尿作用があり毒素の排出に役立つダンディライオンなどもおすすめです。

ドイツではミルクシスルのティーが、胆汁分泌の機能障害に適用されています。

サプリメント・エキス剤

ミルクシスルのサプリメントやエキス剤も手軽に利用できます。二日酔いや肝障害予防に、外食などでお酒を飲む際に飲用すると便利です。

味・香り

香りはほとんどなく、やや甘みのあるあっさりとした味。

ミルクシスルの基本情報

学名Silybum marianum
英名Milk thistle
和名・別名マリアアザミ、オオアザミ(大薊)
科名キク科オオアザミ属
分類二年草
原産地地中海沿岸
使用部位種子
主要成分フラボノイド、フィトステロール、ビタミンE、油脂(リノール酸、オレイン酸など)、シリマリン
作用抗酸化、肝機能亢進、抗アレルギー、抗毒素など
適応肝硬変、アルコール性肝炎、脂肪肝、アレルギー症状の抑制など

語源・由来

属名のSilybumはギリシャ語で「タッセル」という意味を持つsillybonまたはsilybosという語から来ています。

種小名のmarianumは聖母マリア」に由来し、葉の白い斑点はマリアの乳に見立てられたことが由来となっています。そのため、和名でマリアアザミとも呼ばれます。

歴史・エピソード他

ミルクシスルは2000年以上にわたって利用されてきた、ヨーロッパでは歴史の古いハーブの1つです。

古代ギリシャ時代から種子が肝臓病に用いられ、古代ローマの医師・ディオスコリデスは著書『マテリア・メディカ』の中で、ミルクシスルのティーが蛇に噛まれた時の傷に用いられたことを記しています。

中世でも同じく肝臓に良いハーブとして知られ、12世紀ドイツのハーブ療法家であるビンゲンの聖ヒルデガルトも治療に用いたことが伝えられています。17世紀のハーバリストであるニコラス・カルペパーは、ミルクシスルが肝臓の症状を改善し、黄疸を治すのに役立つと述べています。

英名のミルクシスルの名は、聖母マリアに関わるものですが、母乳の出を良くするために用いられたことが由来となっています。日本には江戸時代に渡来しました。

参考文献

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