ギムネマの特徴・形状
- インドやスリランカの熱帯で育つつる植物
- 甘味を抑え、糖尿病や肥満防止などの効能を持つ
- アーユルヴェーダ書物にも記載がある「糖を壊すもの」
インドの南部やスリランカの熱帯林を原産とする、キョウチクトウ科ギムネマ属のハーブです。減算地のほかタイやインドネシア、中国南部でも自生しており、標高1000mほどの場所で育ちます。
日本には自生していませんが、和名をホウライアオカズラ(蓬萊青葛・蓬萊青蔓)といい、学名のギムネマ・シルベスタで呼ばれることもあります。
植物的な特徴
つる植物の一種で、雨期に目を出した後、3~4mほどに伸びて他の植物に絡みつく特徴があります。葉は細長い楕円形でやや厚みがあり、長さ3~8cmほどの葉をつけます。
4月~11月頃には散形花序(茎から複数の茎が生え、その先に花が咲く)の小さな黄色い花を咲かせます。
効果・効能
ギムネマは主に糖尿病や肥満予防に活用されるハーブです。
特有の成分であるギムネマ酸には、舌を短時間だけ「砂糖などの甘味を感じさせなくなる」状態にする作用があり、甘い食べ物への欲求を減らす効果を持ちます。これはギムネマ酸に含まれるグルクロン酸という成分が、舌にある味を感じるための小さな器官・味蕾(みらい)を麻痺させるためといわれます。
また、小腸からの糖質や炭水化物の消化や吸収を遅らせる働きがあるため、インスリンの分泌が緩やかになり食後に血糖値が急激に上がるのを避けてくれます。そして、糖の吸収が抑えられるため余分な糖を体外へ排出します。
このギムネマ酸は甘味に対してのみ作用する特徴があり、苦味や酸味、塩味には影響しません。そのため、ハーブティーやギムネマの成分を抽出したサプリメントは食べ過ぎ防止やダイエットに活用されています。
糖尿病の治療、糖分の吸収を抑えたい時
主な作用
- 血糖値降下作用
禁忌・副作用
- ギムネマは血糖値を変化させる作用があるため、糖尿病の症状がある場合は医師への相談が必要です。
- 気管支拡張薬やアドレナリン製剤、中枢神経系刺激剤との併用は避けてください。
安全性・相互作用
安全性 | クラスⅠ…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
ギムネマの主な使い方
- 葉
ギムネマは主にハーブティー、サプリメントに使用されています。
ハーブティー
ギムネマの葉を乾燥させたハーブティーは、食前に飲むと食事に含まれる糖質の吸収を抑える効果が現れます。食事の糖分量が気になるときや、甘い食事を控えたい時に飲むとよいでしょう。
サプリメント
ギムネマから抽出された成分を配合したサプリメントが販売されており、ダイエットなどを目的に利用されています。肥満を予防するための食品の原料として用いられることもあります。
味・香り
やや独特の香りで、緑茶のような渋みがある味。
ギムネマの基本情報
学名 | Gymnema sylvestre |
英名 | Gymnema |
和名・別名 | ホウライアオカズラ(蓬萊青葛、蓬萊青蔓)、gurmar、gurmabooti、 periploca of the woods、meshasringi など |
科名 | キョウチクトウ科ギムネマ属 |
分類 | 蔓性常緑樹 |
原産地 | インドの南部・中央部、スリランカ |
使用部位 | 葉 |
主要成分 | ギムネマ酸化合質 |
作用 | 血糖値降下 |
適応 | 糖尿病の治療、糖分の吸収を抑えたい時 |
語源・由来
属名のGymnemaは、ギリシャ語のGymnos「裸」とnēma「糸」が由来です。種小名のsylvestreはラテン語で「森の」を意味します。
歴史・エピソード他
ギムネマは実の形が羊の角に似ていることから、ヒンディー語で「メシャスリンギ(羊の角)」とも呼ばれます。
2000年の歴史を持つインドの伝統医学アーユルヴェーダでは、糖尿病や肥満に効果のあるハーブとして文献に記されています。アーユルヴェーダでは、血糖値調整のほか、健胃・利尿・強壮作用があるとされ、ヘビに噛まれた時の解毒剤にも用いられました。
インドではギムネマのことをヒンディー語で「糖を壊すもの」という意味を持つ「グルマール(gur-mar)」と呼び、現在でも民間薬として使われているそうです。
甘味を抑える仕組みについては長い間明らかにされていませんでしたが、19世紀の半ばにイギリスの科学者・フーパーが、ギムネマの葉から甘味を抑える物質の抽出に成功し「ギムネマ酸」と名付けました。
ギムネマは糖尿病治療への活用が期待されるため、西洋医学でも人気のある研究対象となっています。