ウスベニアオイ(ブルーマロウ)|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

ウスベニアオイ(ブルーマロウ)|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史
目次

ウスベニアオイの特徴

  • ピンクや赤紫の色鮮やかな花が咲く
  • 粘液質が豊富で、粘膜の乾燥を防いだり保護する働きがある
  • お茶の色が変わる「サプライズティー」

ウスベニアオイはヨーロッパ西部から北アフリカを原産とするアオイ科の耐寒性多年草です。

丈夫なため日本でも野生化しており、暖かい地域なら園芸用でも育てやすいハーブです。

また、ウスベニアオイは和名で、英名ではコモンマロウ、ブルーマロウと呼ばれます。マロウにはたくさんの種類がありますが、一般に「マロウ」といえば南ヨーロッパ原産のこの品種のことを指します。

植物の特徴

春に植えると良く育ち、直立する茎が高さ1~2mほどに伸びます。

葉は長さ6~8㎝の掌のような形で、5~9カ所ほどの切れ込みがあるのが特徴。葉の縁は鋸歯(ギザギザ)状になっており、茎全体には荒い毛が生えています。

5月~8月ごろにかけて、1つの茎にたくさんのピンク~赤紫色の花を咲かせます。花は朝収穫して乾燥させると、ハーブティーなどの用途で使うことができます。

効果・効能

ウスベニアオイは花・葉いずれも粘液質が豊富で、昔から風邪・のどの粘膜の炎症・痛み、胃炎、膀胱炎、尿道炎などの症状改善に使われています。粘膜の乾燥を防ぐため風邪の予防にも役立つでしょう。

特に葉にはタンニンが含まれているため、収れん作用の効果で胃腸の粘膜を保護してくれます。この場合の収れん作用とは、胃腸粘膜が分泌するタンパク質と物質が結びつき、不溶性の沈殿物を形成して組織表面を覆って保護する働きのことをいいます。

豊富な粘液質は皮膚の炎症を抑えるのにも役立ち、外傷や皮膚炎にウスベニアオイを使った湿布をあてれば回復を早めてくれます。

また、眼精疲労に効能を持つ色素成分・アントシアニジンが含まれるため、目の疲れにも効果があるとされます。

適応

のどの痛み、胃炎、膀胱炎、尿道炎、皮膚・粘膜の保護、刺激緩和、眼精疲労など

効果については人によって感じ方が少しずつ異なります。ハーブの使用について、妊娠中・授乳中、持病がある、薬を常用しているなどの場合、注意が必要になることがあります。

主な作用

  • 粘膜保護作用
  • 鎮静作用
  • 利尿作用
  • 緩下作用
  • 毒素排出作用

禁忌・副作用

特に知られていません。

安全性・相互作用

相互作用クラスA…相互作用が予測されない
安全性クラスⅠ…適切な使用において安全
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

ウスベニアオイの主な使い方

使用部位

ウスベニアオイは主にハーブティー、料理、薬用に使用されています。

ハーブティー

ハーブティーとしては主に花の部分を使います。お湯を注ぐと色素成分のアントシアニジンが抽出され、水色のお茶になります。

アントシアニジンはpHの変化(酸性、中性、アルカリ性)によって色が変するため、作ったハーブティーに酸性の成分(レモン汁など)を入れるとピンク色に変化します。反対に、アルカリ性の成分(重曹)などを入れるとエメラルドグリーンに変わります。

薬効効果だけでなく、見た目にも楽しいので、別名「サプライズティー」と呼ばれ、人気のあるお茶です。

料理

若葉と花(エディブルフラワー)は生でサラダなどに使えます。葉と根は茹でればスープや炒め物、肉の付け合わせなどにすることができます。

薬用

ハーブティーなどの内容以外では、湿布剤などの外用で活用できます。

皮膚の炎症や切り傷にも使用する場合は、濃いめのティーを作ってコットンなどに含ませてから患部にあてることで、粘液質が効果を発揮するとされています。

味・香り

強い香り・味はなく、ほのかに甘味を感じられます。

ウスベニアオイの基本情報

学名Malva sylvestris
英名common mallow、high mallow、blue mallow
和名・別名ウスベニアオイ、マロウブルー
科名アオイ科、ゼニアオイ属
分類多年草
原産地ヨーロッパ
使用部位
主要成分粘液質、アントシアニジン、タンニン
作用粘膜保護、鎮静、利尿、緩下、毒素排出など
適応のどの痛み、胃炎、膀胱炎、尿道炎、皮膚、粘膜の保護、刺激緩和、眼精疲労など

語源・由来

学名のうち、属名(ゼニアオイ属)のMalvaは「柔らかくする」という意味のmalacheという言葉が基になっています。これはウスベニアオイの持つ粘液質が症状を和らげる効果を持つためです。

種小名のsylvestrisは、「森林性の、野生の」という意味です。

歴史・エピソード他

ウスベニアオイの歴史は古く紀元前8世紀頃には既に使用が始まり、古代エジプトでも活用されていました。古代ギリシャ、ローマ時代には食用や薬草に、中世になると重要な野草として栽培が盛んになりました。そのため、1000種以上の変種があるといわれています。

16世紀には万能薬を意味する「オムニモルビア(omnimorbia)」という名がつけられ、ヨーロッパの医師たちは「毎日このティーを飲むと、その日1日どんな病気からも身を守ることができる」と説明したそう。

ウスベニアオイの有用性は古くから評価されており、スペインでは「家庭菜園とコモンマロウがあれば、家庭用の薬として十分である」ということわざが残されています。

日本への渡来時期は不明ですが、江戸時代の植物図鑑『草木図説』に記載されていることから、江戸中期までに渡来したと考えられています。

ウスベニアオイのハーブティーにレモン汁を入れると、水色からピンク色に変化します。そのため、フランスではこの色味の変化を夜が朝焼けになる様子に例え、「夜明けのティザーヌ」と呼びます。

参考文献

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