ハーブの使い方を考えた時、すぐに思い浮かぶのがハーブティーといってもいいくらい、ハーブティーは定番の活用方法ですね。
家で植物を育てるスペース(プランターでもOK)があれば、自家菜園で収穫したハーブを使ってハーブティーを作ることもできます。
生育が早く種をまいたその年のうちに収穫まで楽しめる一年草と、2年間栽培を続けられる二年草のうち、ハーブティーの原料に使える種類を紹介します。
ハーブティーにおすすめな一年草・二年草のハーブ
ジャーマンカモミール
どこにでも売っているハーブティーの定番ですね。ジャーマンカモミールは心身をリラックスさせ、胃腸のけいれんを抑えるなど多くの薬効が知られており、万能ハーブティーの1つ。
リンゴの香りがするため「大地のリンゴ」という別名もあります。
ジャーマンカモミールは一年草で、苗を春3月~5月頃に植えれば秋に花が咲き、秋6月~11月頃に植えれば春に花が咲きます。また、種はとても細かく、花が咲いた後そのままにしておくと、種が地面にこぼれて次の年にまた同じ場所から芽吹きます。
ハーブティーになるの花の部位なので、花を乾燥させてからお茶にします。
カレンデュラ
「ポットマリーゴールド」「キンセンカ(金盞花)」の名で見かけることもあります。古くから薬用されてきたハーブの1つで、ハーブティーとしては胃の不調の改善のほか、利尿・解毒・発汗などを目的に使われてきました。
エディブルフラワーとして食用も可能で、ハーブティー用にする場合は、オレンジ色の花を乾燥させて使います。
草丈も20㎝~60㎝とあまり大きくならないので、プランターなどでも育てやすいです。3~4月頃には種まきでき、5・6月頃には花が咲き始めます。秋まきもでき、開花期間が長いので見た目的にも楽しめるハーブです。
ボリジ
和名ではルリジサといい、植物全体が白い毛におおわれている見た目的にも個性的なハーブです。「瑠璃」という名の通り、青~紫色の花から採れる色素が、青い絵の具の原料に使われていました。
ハーブティーは草の素朴な味わいで、ほのかに甘味が感じられます。ハーブティー以外の使い方としては、花を砂糖漬けにしたり、キュウリに似た風味を持つ葉をサラダに加えるなどの使い方ができます。
ボリジは4月頃に植えれば、夏の6~8月頃に花が咲きます。また、秋まきも可能で、苗の状態で越冬させることもできます。葉はいつでも収穫できるので、食用に摘んでも良さそうですね。
ブルーマロウ(ウスベニアオイ)
大きな丸い葉っぱが付く二年草のハーブです。ウスベニアオイには、赤色色素の一種・アントシアニジンが含まれているため、ハーブティーにすると薄い青色になります。
また、レモン汁などの酸味を加えるとその色がピンクに変化するため、「サプライズティー」「夜明けのティザーヌ」という別名で呼ばれることも。
花の部分がハーブティーの原料になるほか、花はエディブルフラワーとして食用することもできます。ただし、マロウの花は1日花のため、その日のうちにしぼんでしまいます。ハーブティーなどに使いたい場合は、晴れた日の午前中に収穫するのがよいでしょう。
ハーブティーに使われる一年草・二年草
根や種子をハーブティーに使うため、栽培や収穫は難しいかもしれませんが、こんなハーブもあるよということで紹介します。園芸上級者や興味のある方は挑戦してみては。
アンジェリカ
セリ科の二年草で、根が女性疾患に使われてきたことから「女性のための朝鮮人参」という別名を持ちます。ハーブティーに使うのも薬効がある根の部分で、じわじとくるややスパイシーな風味があります。
聖ミカエルがこの植物の根を、伝染病の対処に進めたというエピソードが知られており、神聖なハーブとして修道院でも育てられてきたのだそう。
もともと北欧やシベリアなどで生育していたため、涼しい気候を好みます。あまり強い光を浴びない場所・風通しの良い場所で育ててあげた方がよく、うまく育てば夏6月~8月ごろに黄緑色の小花をたくさん咲かせます。
ミルクシスル
別名を「マリアアザミ」といい、聖母マリアと結び付けられている植物です。アザミの仲間で、葉にとげがあるため育てる際はやや注意が必要です。
ハーブティーになるのは種子の部位。肝臓の働きを強化し、守ってくれる「肝臓ハーブ」の1つです。種子を使用ということで、育てて収穫する場合収穫までに時間がかかりそうですが、蕾や若葉などは茹でれば食用もできます。
日本での栽培はまだ珍しいため、種からの栽培が一般的。基本的に丈夫なものの、高温多湿に弱いので、夏は風通しが良く涼しい環境に置いてあげると良いそうです。
ハーブティーの基本的な作り方
ハーブを収穫した後は、洗ってから乾燥させます。フレッシュ(生)でハーブティーが作れる場合もありますが、乾燥させた方が長持ちします。
一人分(カップ1杯)の分量
- お好きなドライハーブ … 3gくらい
- 熱湯 … 180㏄~200㏄
- ティーカップ
- 蓋つきのポット
- 清潔な状態のティーポットを選ぶ。
- 1人分の分量180㏄~200㏄のお湯を準備する。
- 準備している間にポットにドライハーブを入れる。
- ポットにお湯を入れたらすぐに蓋をして軽くゆすぐ。
- 3分~5分くらい待つ。
- カップにハーブティーを注ぐ。ポットから出すときはすべて出し切るようにする。
一年草ハーブの特徴
- 種をまいたその年に収穫ができる
- 花が咲いた後、種子ができると枯れてしまう
- 成長が早い種類が多い
- 栽培計画を立てやすい
花が咲いた後、種子ができると枯れてしまう
一年草はその年に種をまいた後、花をつけて新しい種ができると枯れてしまいます。
なぜ枯れるのかというと、種子に養分が流れた結果、種子以外の葉や茎、根などの本来なら養分を吸収してくれる部位に栄養が届かなくなり、植物自体が維持できなくなるためなのだそうです。
実際バジルのように、花が咲くと香りが落ちてしまう種類もあるので、花や実をつける前に収穫した方が栄養分の多いハーブが収穫できる可能性が高くなります。
種をまいたその年に収穫ができる
一年草のハーブはある程度育てればすぐに収穫して、調理に使えるものが多いです。特に葉物であれば苗から育てた場合、1~2週間ほどで葉が増えておいしく食べられます。
例えばローズマリーやセージなどのように成長に時間がかかる植物は、種から育てた場合、その年に少ししか収穫できないことも。育てるという観点から見るとどうしても収穫までに時間がかかってしまうので、「早く料理に使いたい!」という人は一年草のハーブがおすすめです。
成長が早い種類が多い
上記で説明した通り、一年草のハーブは成長が速いです。1週間もすれば成長がはっきりわかるので、大きく育てたい時は、植える時にそれなりに株間をとり、余裕のあるスペースで育てると良いでしょう。
成長が速い分、茎や葉などが込み合ってくることがあります。茎の間の風通しが悪くなると植物が弱ってしまうことがあるので、増えてきたら剪定を兼ねて収穫するのがベターです。
栽培計画を立てやすい
一年で種まき~収穫まで終わるので、庭やプランターでどんなものを育てたいか考えるうえで計画を立てやすいです。一年で枯れるので寄せ植えにもおすすめ。
また、何年も育ち深く根を張る多年草と異なり、一年草は終わった後は比較的楽に片付けができるというメリットもあります。
二年草とは?
二年草は種をまいた後、2年以内に枯れる植物のことで、その年のうちに終わってしまう一年草と異なり、一度だけ冬を越すことができる場合が多いです。
また、二年草は1年目に葉や茎が生育し、冬にいったん葉が枯れたのち、2年目以降に花や種を付ける場合が多いようです。
ハーブの中では、パセリやスープセロリが二年草として扱われます。
まとめ
今回紹介したハーブの使用部位は、お花や種子が中心でした。
葉っぱが食用できる種類もありますが、環境や育成状況によっては十分に収穫できないこともあるので、どちらかといえば「ガーデニングを楽しむ」方向で気軽にハーブ栽培をしていけるといいのかなと思います。
実際にハーブを育ててみると、植物的な特徴がわかったりして面白いですよ。初めはうまくいかなくても、だんだん上手に育てられるようになってきます^^