カレンデュラの特徴・形状
- 園芸品種としても人気で、黄色く明るい色の花が咲く
- 皮膚のトラブルを改善させる「皮膚のガードマン」
- ハーブティーでは胃の不調やデトックスなどに効果的
カレンデュラはキク科キンセンカ属の一・二年草で、地中海地域と西南アジアが原産地とされています。
20種類もの原種があり、日本では「キンセンカ(金盞花)」「ポットマリーゴールド」と呼ばれ花壇で見かけることも多いお花。
ヨーロッパでハーブとして使用されるのは原種の方で、単に「マリーゴールド」と呼ばれます。皮膚のトラブルに薬効を持つほか、エディブルフラワーとして食用にも使われています。
植物的な特徴
草丈は20cm~60cmほど、葉は長さ5~18㎝の羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉が複数並んで1枚の葉が構成される)で、濃いめの緑色をしているのが特徴。
温暖地では秋まきになるため開花期は12月~5月となり、茎先に7㎝ほどの鮮やかな黄色~オレンジの花が咲きます。
一重、八重、カーネーション咲き、クラウン咲きなど様々な咲き方があり、色と組み合わせるとかなり多彩な品種があります。
効果・効能
カレンデュラは皮膚や粘膜を修復し保護する働きが優れているため「皮膚のガードマン」と呼ばれています。
詳しいメカニズムは解明されていませんが、切り傷や皮膚の炎症、日焼けなどの肌トラブルに、カレンデュラの成分を抽出しミツロウで固めた「カレンデュラ軟膏」を塗ると症状が緩和し回復が早まります。このカレンデュラ軟膏は唇の荒れや湿疹にも効果的です。
ハーブティーなどの内服剤としては、胃炎・胃潰瘍など胃の不調を改善する働きを持つほか、抗菌・抗真菌作用があるため、風邪やインフルエンザなどの感染症予防に効果があります。
カレンデュラはフラボノイドによる利尿・解毒・発汗作用を持つため、リンパの滞りを解消し血行促進、解熱、毒素排出などにも役立ちます。また、ホルモン様作用があるため、生理不順や更年期障害の改善にも効果があるとされています。
切り傷、湿疹、風邪、皮膚の炎症、胃炎、月経痛、更年期障害など
主な作用
- 発汗作用
- 利尿作用
- 創傷治癒作用
- 抗炎症作用
- 粘膜保護作用
- 抗真菌・抗ウイルス作用
- ホルモン様作用
禁忌・副作用
- キク科アレルギーの人は使用に注意が必要です。
- 妊娠中の人は使用を避けてください。
安全性・相互作用
安全性 | クラス1…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
カレンデュラの主な使い方
- 花(花弁)
カレンデュラは主にエディブルフラワー、ハーブティーに使用されています。
食用
生の花びらはエディブルフラワーとして食べることができ、サラダ、チーズ、スープ、ケーキの彩に加えられるほか、黄色い花粉をバターやチーズの着色に使えます。
古くから高価なスパイス・サフランの代用品としても利用されていました。
花を食用する場合は、できれば農薬不使用の種から育てたものを使うのが良いとされています。
ハーブティー
乾燥した花の部分を使用したティーは、胃の粘膜の炎症を抑え風邪の症状を緩和します。
また、利尿、発汗、解毒にも効果があるため体内の毒素を排出してくれます。ホルモン様物質が含まれるため生理の不順や、不調を改善する働きも期待できます。
その他
切り傷や肌の炎症を抑えるための塗り薬として薬用されてきました。肌に作用するためフェイシャルスチームや入浴剤としても活用でき、新陳代謝を促すため美容にも効果があります。
味・香り
摘みたての野草の花の香り、クセののない味。
カレンデュラの基本情報
学名 | Calendula officinalis |
英名 | Pot Marigold |
和名・別名 | キンセンカ(金盞花)、トウキンセンカ |
科名 | キク科キンセンカ属 |
分類 | 一年草 |
原産地 | ヨーロッパ南部 |
使用部位 | 花 |
主要成分 | カレンデュリン、カロテン、フラボノイド、苦味質、粘液質、サポニン |
作用 | 発汗、利尿、消化促進、創傷治癒、殺菌、抗真菌、抗ウイルス、抗炎症、粘膜の保護、収れん、ホルモン様 |
適応 | 切り傷、湿疹、風邪、皮膚の炎症、胃炎、月経痛、更年期障害など |
語源・由来
属名のCalendulaはギリシャ語で「月の初めの日」、種小名ののofficinalisは「薬用の、薬効のある」という意味です。
マリーゴールドは「聖母マリアの黄金」に由来し、和名のキンセンカは黄色い花の形が盃に似ているため「金盞花」とされたそうです。
歴史・エピソード他
古代からギリシャ、ローマ、アラビア、インドなど各地で薬草として利用されてきたハーブで、薬用以外では食品や化粧品、布類の着色に使用されました。
古代エジプトでは「若返りの薬」として知られ、古代ギリシャでは「家に幸せを運ぶ花」として婚礼の装飾に用いたそうです。
古代インドではカレンデュラを神聖視し、寺院の祭壇や神殿をカレンデュラで飾ったそう。
カレンデュラについてはヨーロッパ中世の書物にも記載があり、ドイツ中世の聖人ヒルデガルドはカレンデュラには「緑の力」があり、やけど、湿疹、ニキビ、膿など皮膚のトラブルに良いと述べています。また、中世の頃はカレンデュラを眺めているだけで、視力が強化されると考えられていました。
先に書いたカレンデュラの軟膏はアメリカ独立戦争(1861~1865)の際にも使われ、高い評価を得ています。戦争時に薬が不足してしまい民間療法に頼らざるを得なかったとき、カレンデュラを摘んでその液で治療を行ったそうです。
日本には江戸時代前半に渡来したといわれており、当時は観賞目的で栽培されていたといいます。
太陽と関りがあるといわれる
カレンデュラが作られた伝説としては、ギリシャ神話のクリュティエとヘーリオスの物語が知られています。
神話の一節で、「クリュティエが太陽の方向を向く花に姿を変えた」というくだりがあります。「太陽の方向を向く花」といえば、ヒマワリやヘリオトロープなどの種類が思い浮かびますよね。
しかし、ヒマワリは神話の成立時期、ヨーロッパでは知られていなかったため、この花はカレンデュラであるともいわれています。