日本のハーブとして良く名が挙がるクロモジ。とてもよい香りがすることで知られていますね。
民俗学者の柳田国男は著書でクロモジのことを「日本人の鼻の記憶」と述べ、日本に古来からある香りの象徴と考えたそうです。
クロモジ茶を入手したので、勉強がてらクロモジの基本情報についてあれこれまとめてみました。
クロモジ茶ってどんな味?
クロモジのお茶は香りがとにかく強いのが特徴。
熱湯で抽出してコップに入れると、ふわーっと甘いような酸味があるような独特の風味が漂います。
枝と葉の部位が市販のティーバッグに使われている場合が多いようですが、ハーブショップでは枝の部位だけのものも販売されています。
上の画像の左側がそれなんですが、枝のみの場合だと枝&葉よりも木の風味が強め。
もうちょい香りがマイルドな方が良いという人は、こちらでもおいしく飲めるかと思います。
クロモジ茶にはリラックス効果があるといわれますが、実際、飲んだ後は心が穏やかになったような気がします。
クロモジとは
クロモジ(学名:Lindera umbellata)はクスノキ科の落葉低木で、若枝の表面につく黒い藻類が文字に見えることからこの名がついたといわれています。
日本原産で関東以西に自生しており、昔はその香りを活用した化粧品が海外に輸出されていたそうです。
クロモジの効果・効能は?
精油に多くの効果・効能があるとされる
クロモジの香りには鎮静効果があり、心身のリラックス効果があることで良く知られています。
特徴的なクロモジの香りには多くの精油成分が含まれており、ざっと見るだけでもアロマテラピーで有名な精油成分がたくさんあるのがわかります。
テルピネオール、リモネン、リナロール、1.8シネオール、ゲラニオール、α-ピネン、カルボン、カンフェン、ネロリドール
甘いけど少し酸味のあるような香りは柑橘系に含まれるリモネンや、甘い香りのあるネロリドールなどによるものだったのですね。
上記の成分的には抗菌・抗ウイルス、鎮静、鎮痙、神経の強壮といった効果が期待できるようです。
精油成分の中ではラベンダーにも含まれるリナロールが多く、リナロールには鎮静、抗不安、抗菌、抗炎症作用があります。
精油成分と主な作用
テルピネオール | 抗炎症・抗酸化・抗腫瘍・抗菌 |
リモネン | 覚醒、血行促進、鎮静、血行促進、胃腸の蠕動運動促進、抗菌、抗ウイルス、抗がん |
リナロール | 鎮静、抗不安、抗菌、抗炎症 |
1.8シネオール | 抗菌、抗ウイルス、抗真菌 |
ゲラニオール | 抗菌、保湿、消炎、女性ホルモン様、防虫 |
α-ピネン | 抗菌、抗ウイルス、 抗炎症、抗不安、利尿作用、鎮静 |
カンフェン | 抗炎症、抗ウィルス、抗菌 |
ネロリドール | 鎮静、女性ホルモン様、保湿、収れん |
クロモジの伝統的な活用方法
クロモジは日本で昔から薬草として活用されており、古くは脚気の薬や止血剤として使われていたそうです。
現在販売されているクロモジ茶は枝や葉の部位を使っていますが、脚気には根の皮を乾燥させたものをお茶にして飲んだといいます。
根皮を使ったお茶は皮膚に塗って皮膚のトラブルにも活用されました。
関節炎やリウマチに、クロモジの葉や枝を使った入浴剤を入れると抗炎症効果で緩和するといいます。
爪楊枝の原料
また、クロモジは爪楊枝の原料になる木としても有名です。爪楊枝からクロモジの香りはあまり感じられませんが…。
江戸時代、爪楊枝づくりが下級武士の内職の1つだったといいます。
小刀を使って枝を削るので、確かに武士向き?の仕事ですね。
まとめ
クロモジ茶は心身の疲れがある時に飲みたいハーブティー。日本原産の植物でとっても香りが良いので、疲れを感じる時に飲んでみたいお茶です。
いっぱい買ってしまったので他の使い方も模索中。
化粧水や石鹸のほか、ハーバルバスや軟膏にも使えるようなので、また色々試してみます。
ちなみに出雲地方では昔からクロモジ茶が親しまれており、島根の隠岐の島ではクロモジのことを「ふくぎ」というそう。
私はまだ隠岐の島に行ったことはないのですが、行った時にはクロモジの木を探してみたいですね。