ビワの葉を使って作るお茶のことをビワ茶といいます。
ビワと聞くと普通はオレンジ色の果実の方を想像するかもしれませんが、ビワの葉は民間療法で使われてきたハーブの一種で、特に夏の疲れや夏風邪に使われてきました。
今回はこのビワの葉の特徴についてざっくりまとめてみました。
ビワ茶ってどんな味?
ビワの葉はもともとセージの葉っぱみたいに細長くて、結構サイズも大きめ(15~20㎝ほど)なんですが、ドライハーブでは細かくちぎられています。
ビワ茶は枇杷の果実をうすめたような薄いオレンジ色で、風味的にはやや甘味が感じられます。
味的にはあまり特徴がなく、あっさりした風味なのでブレンドした方が飲みやすくなると思います。
ビワ茶の効果・効能は?
成分 | 精油(ネロリドール、ファルネソール)、ウルソール酸、オレアノール酸、タンニン、ベンズアルデヒド、アミグダリンなど |
効能 | 鎮咳、去痰、健胃、制吐、消炎(外用)、殺菌、解毒 |
適応 | 咳止め、鎮咳、嘔吐、解熱、かぶれ、湿疹、リウマチ、打ち身、捻挫の緩和など |
ビワ茶には抗菌作用や抗炎症作用、健胃作用に優れた働きがあるとされます。
夏特有のだるさ、熱感、吐き気、疲労感、食欲不振といった症状が出てきたら、ビワの葉をブレンドしてみると良い効果があると考えられます。
食中毒の予防にもよさそうですよね。
体の熱を取る働きにより伝統的には夏特有の諸症状に活用されてきましたが、比較的暖かい時期(春~秋)の風邪や感染症などの予防にも用いることができます。
ハーブティーでブレンドするならどのハーブ?
さっぱりした風味はブレンドの妨げにならないので、ほとんどのハーブと組み合わせられます。
夏の疲れを取り体力を回復させるブレンド
- ビワ葉 … 1g
- ネトル … 1g
- ペパーミント … 0.5g
- パッションフラワー … 0.5g
- 熱湯 … 180~200ml
夏に失われがちなビタミン・ミネラルが豊富なネトル、清涼感があり風味が爽やかになるペパーミント、夏にありがちな寝不足を解消するパッションフラワーと組み合わせたブレンドです。
ペパーミントには胃腸を整える働きもあります。
風邪・感染症対策のブレンド
- ビワ葉 … 1g
- エキナセア … 1g
- セージ … 1g
- 熱湯 … 180~200ml
抗菌作用の強いビワ葉・セージ、免疫力を上げてくれるエキナセアとのブレンドです。
セージの代わりにタイムや緑茶を使っても良いと思います。
味的に物足りない場合はリンゴの風味を持つジャーマンカモミールや、レモンの香りを持つレモンバームを加えると飲みやすくなると思います。
風邪の引き初めにビワ茶を用いる場合は、鼻水などのカタル症状を緩和するエルダーフラワーとのブレンドが考えられます。
ビワ茶の伝統的な活用方法
ビワはもともと中国原産の植物で、日本には奈良時代頃に伝来したと考えられているそうです。
正倉院で保管されてきた『正倉院文書』(奈良時代)や、『本草和名』(平安時代)といった書物にもビワの名が記されており、ビワの葉が古くから自然療法に活用されてきたことが伝えられています。
また、16世紀中国の本草学者・李時珍による『本草綱目』(1596年)では、ビワの葉には体の熱を冷ます効果あると記しています。
枇杷葉湯
江戸時代後半には、夏になると「枇杷葉湯」というお茶が販売されました。
枇杷葉湯はビワの葉の他に肉桂、霍香、莪蒁、呉茱萸、木香、甘草といった生薬を加えてブレンドした薬湯で、暑気払いを目的に飲まれていました。
解熱や疲労回復に役立つ働きがあり、夏バテ対策に活用されていたようです。
シナモン、ウコン、リコリス
枇杷葉湯売
枇杷葉湯の発祥は京都の烏丸とされており、天秤棒を担いだ売り子がお決まりの謳い文句で、江戸や大阪、京都の町中を売り歩いたと伝えられます。
この売り子「枇杷葉湯売」は晩夏の象徴に見立てられ、和歌や俳句では晩夏を表す季語として使わわれることもあったそう。
江戸時代の絵師・曲亭馬琴が枇杷葉湯売の絵を残しているので、興味があればネット検索してみてくださいね。
まとめ
メディカルハーブ的ビワの葉についてでした。ビワは日本でもなじみ深い植物ですが、果実の方が有名であまり葉は注目されませんよね。
江戸時代に枇杷葉湯が流行したほか、アーユルヴェーダや中国伝統医学でも古くからビワの葉が薬用に使われてきたといいます。
また、夏場はお風呂に入れると体の殺菌になり、ニキビやあせもなどの皮膚トラブル解消に役立ちます。
抗菌効果の高い桃の葉などと一緒に混ぜてハーバルバスを作ると、肌に良い効果が得られそうですね。