ユーカリの特徴・形状
- 精油(アロマオイル)には抗菌・抗ウイルス作用がある
- スーッとした香りで鼻づまりの解消効果も
- オーストラリア原産の植物で、アボリジニにより万能薬として使われた
ユーカリはフトモモ科ユーカリ属の常緑高木で、オーストラリア南部やタスマニア島を原産とする植物です。
スワッグなどのフラワーアレンジメントでも、葉の丸いユーカリをよく見かけますよね。ユーカリの仲間は700種以上あり、よくハーブや精油の原料として使われるのはユーカリプタス・グロブルス(Eucalyptus globulus)という種類です。
すっきりとした香りが特徴で、精油のブレンドでも活躍します。ちなみに、コアラの食べるユーカリはこちらとは別種です。
植物的な特徴
樹高70mを超えることもあり、まっすぐ伸びた木の樹皮はなめらかで、明るい灰色をしています。
成長途中の葉である幼葉は先の尖った卵型で、茎を抱くように茎に対生します。成葉は長さ10~25cmほどで細長く、やや曲がって茎から垂れ下がる特徴があります。葉は光沢を持ち、葉縁に鋸歯(ギザギザ)はありません。
花期は10~12月で、花弁はなく白色の雄しべが多数ある散形状の花が咲きます。花の大きさは4㎝ほどで、花後には1.5~2.5㎝の果実がなります。
効果・効能
ユーカリは抗菌・抗ウイルス作用があり、風邪や感染症の殺菌に使われるほか、去痰、鎮痙、血糖降下などの有用な働きを持ちます。
ユーカリには、ローズマリーなども持つ精油成分の1.8シネオールが多く含まれています。この成分に抗菌作用、去痰・鎮咳作用、抗炎症作用などユーカリの主とする効能があり、風邪に伴う咳や鼻づまり、のどの痛みなどの他、気管支炎のつらい症状に用いられます。
また、ユーカリの有効成分は花粉症による咳・鼻づまりにも良いといわれます。そのため、精油を芳香浴に、ティーをうがいに用いると、風邪や花粉症の予防・改善に役立つかもしれません。
他にも、血圧・血糖値を下げる作用があると考えられています。
外用で精油をマッサージに使うと皮膚の炎症、筋肉痛、関節痛、リウマチなどの痛みを鎮めるといわれています。
風邪やのどの痛み、気管支炎、喘息、鼻炎、咳、リウマチ痛、関節痛、糖尿病など
主な作用
- 殺菌作用
- 抗ウイルス作用
- 抗感染症作用
- 去痰作用
- 抗菌作用
- 鎮静作用
- 鎮痛作用
禁忌・副作用
- 胆汁管・消化管の炎症があるときや肝疾患があるときは使用に注意。
安全性・相互作用
安全性 | クラス1…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
ユーカリの主な使い方
- 葉
- 樹皮
ユーカリは主にハーブティー、精油、アロマクラフトなどに使用されています。
ハーブティー
ハーブティーでも薬効が利用できますが、消化器に刺激を与えるため、精油で用いた方がよいハーブです。去痰・鎮咳作用があるので、痰の絡む咳や花粉症の症状がある時にティーを飲むと症状が軽くなります。
清涼感があるので、飲みにくい場合は三温糖やはちみつを入れて味を調整すると良いでしょう。
精油
ユーカリの葉に含まれる精油成分は、エッセンシャルオイルとしてアロマテラピーに利用できます。シオネール特有のスーッとした香りが特徴で、体内や空気を浄化してくれます。
蒸気吸入や芳香浴、湿布剤、スプレー、バーム(軟膏)など幅広く活用できますが、2歳児以下の小さな子供には刺激が強いため使用を控えます。
その他
乾燥した葉はポプリ・サシェにも使え、抗ダニ効果があるため虫よけにも有効です。香料利用もされており、歯磨き粉やお菓子などにも含まれることがあるそうです。
味・香り
スッキリ爽やかな樟脳のような香りで、青臭いような独特の味がある。
ユーカリの基本情報
学名 | Eucalyptus globulus |
英名 | Eucalyptus |
和名・別名 | ユーカリノキ |
科名 | フトモモ科ユーカリ属 |
分類 | 常緑高木 |
原産地 | オーストラリア |
使用部位 | 葉、樹皮 |
主要成分 | カリウム、ルチン、カルシウム、タンニン、脂肪酸 |
作用 | 殺菌、抗ウイルス、抗感染症、去痰、抗菌、鎮静、鎮痛 |
適応 | 風邪やのどの痛み、気管支炎、喘息、鼻炎、咳、リウマチ痛、関節痛、糖尿病など |
語源・由来
属名のEucalyptusはギリシャ語のeu「よく」とkalptos「覆った」を組み合わせた語で、乾燥地でもユーカリが良く育って土地を緑で覆ったことに由来します。種小名のglobulusは「小さい球状」という意味があります。
和名のユーカリは「ユーカリプタス」を短縮したものです。ユーカリは植えると空気が正常になり木材も活用できることから、利益があるという意味で「有加利」という当て字がされました。
歴史・エピソード他
ユーカリは、オーストラリアの先住民アボリジニの間で万能薬として利用されていた歴史があり、アボリジニは熱病や伝染病、傷の治療薬などにユーカリを用いたといわれます。現地では「キノ」と呼ばれて、様々な使い方がされていました。
1770年にイギリスの海軍士官・探検家であるジェームズ・クックによる3回目の遠征・調査の時に、タスマニア南部にあるブルニー島でユーカリの採集が行われました。この標本がロンドンの大英博物館に持ち込まれ、ユーカリプタスオブリクア(Eucalyptus obliqua)と名付けられています。
精油などの原料に使われるユーカリプタスグロブルス(Eucalyptus globulus)は、19世紀になってから、ドイツの医師・植物学者のミュラーが初めてヨーロッパに持ち込みました。日本にユーカリが輸入されたのは明治時代初期の1877年頃で、大正時代半ばには栽培も始まっています。
ユーカリは繁殖力・再生力が強く、広範囲に広がる特徴があって、山火事などで葉や樹皮などを焼失しても、木質部の芽が焼け残れば雨が降った後一斉に芽吹き、数年後には同じような姿に戻ります。
アボリジニたちはこのハーブを傷や炎症の外用薬や解熱剤として古くから利用したといわれています。また、アルジェリアやシチリアではマラリア対策にこの木が植えられました。