ローズマリーの特徴・形状
- 美しい姿と清涼感のある香りが人気のハーブ
- 血行促進や抗酸化に役立ち、「若返りのハーブ」と呼ばれる
- ジャガイモ料理と相性が良く、おいしく食べられる
ローズマリーはシソ科マンネンロウ属の常緑低木で、地中海沿岸地方を原産とします。
「若返りのハーブ」といわれ、頭脳の働きを高めたり、アンチエイジングに役立てられるハーブです。
乾燥した土地を好みますが、丈夫で初心者でも育てやすく園芸用にも人気があります。
植物的な特徴
ローズマリーには根元が木質で、茎が上に向かってまっすぐ伸びる「木立性」と、茎が地を這うように広がる「匍匐性」、木立性と匍匐性が混じった「半匍匐性」の3種類があります。樹高は60~120㎝、よく育つと高さ2mほどになります。
葉は2㎝~4㎝ほどの細長い線形で厚み・光沢があり、縁は鋸歯(ギザギザ)のない全縁です。葉色はやや暗い緑色で、葉の裏側には白い綿毛が生えています。
開花期は長く、10~5月頃ごろにかけて、種類により青・ピンク・紫がかった白色をした小さな花を咲かせます。花は集散花序、直径1~1.5cmほどの二唇形で、枝にある葉の付け根に咲く特徴があります。
効果・効能
ローズマリーは薬効の多いハーブで、主な作用には抗酸化、血行促進、抗うつ、消化促進、抗菌・抗ウイルスなどの働きがあります。
ローズマリーにはフラボノイドなどの植物成分だけでなく、1.8シネオール、カンファ―、ベルベノンなど有効な精油成分も多く含まれています。
ローズマリーの作用をざっくり紹介
①抗酸化作用がありアンチエイジングに役立つ
ローズマリーに含まれるポリフェノールの一種・ロスマリン酸には強力な抗酸化作用があり、細胞の老化を防いで動脈硬化や心筋梗塞、高血圧などの生活習慣病から体を守ります。
②血行促進作用がある
また、血管を強くする働きがあり、血行を促して体を温め代謝力を上げてくれます。そのため、冷え性や肩こり・腰痛、リウマチなどの関節痛にも有効です。
③記憶力・集中力UPに役立つ・抗うつによい
血液のめぐりが良くなると、脳細胞が活性化するため、記憶力・集中力を上げたい時にも効果があります。ローズマリーのスーッとした香り成分・カンファーには、神経を刺激して頭の中をクリアにする働きがあります。気分を明るくさせ、軽いうつ病を解消してくれます。
④アレルギー反応を抑える
ロスマリン酸には他にも抗炎症作用、抗アレルギー作用があるといわれれ、花粉症やぜんそくなどのアレルギー反応を緩和するのに役立つとされます。
⑤消化不良を改善する
苦味質が含まれるので、胆汁の分泌を促して肝臓の働きを良くします。毒素の排出にも有効で、ローズマリーに含まれる渋味が、胃腸の粘膜を引き締めて消化不良を改善します。
⑥抗菌・抗ウイルス作用がある
ローズマリーには精油のシネオールが含まれており、抗菌作用は数あるハーブの中で最も強いといわれています。
⑦風邪・感染症に良い
精油の1つベルべノンは咳止めに使われることがあります。そのため、抗菌作用など別の働きと合わせて風邪時の咳、気管支炎を和らげるのに効果があるとされます。
その他の働き
他にも、渋み成分のタンニンによる収れん作用、フラボノイドによる利尿作用などがあります。皮膚を刺激するため、育毛に良いといわれます。
ローズマリーの様々な作用は、植物成分や精油が複合的に関連して現れる効果ですが、強壮ハーブの1つとして、様々な薬局方でその効能が認められています。
リフレッシュ、消化不良、血行不良、リウマチ、関節炎、疲労回復、風邪、頭痛など
主な作用
- 抗酸化作用
- 抗うつ作用
- 消化促進作用
- 血行促進作用
- 防腐作用
- 殺菌作用
- 駆風作用
- 収れん作用
- 利尿作用
- 去痰作用
禁忌・副作用
妊娠中の人や高血圧の症状がある場合は、長期間の摂取を避けるようにします。
安全性・相互作用
安全性 | クラス1…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
ローズマリーの主な使い方
- 地上部(葉、茎、花)
ローズマリーは主にハーブティー、薬用酒、料理、観賞用に使用されています。
料理
比較的どんな食材にも使えるハーブですが、特にラムなどの肉料理や魚料理の臭み消し、風味づけ、防腐に活用できます。野菜ではジャガイモと相性が良く、オリーブオイルやガーリックを加えてローズマリーポテト、ジャーマンポテトなどに調理できます。
フォカッチャやピザ、パンなどに加えるのもおすすめで、ドリンクではハーブ酒やハーブウォーターに入れてフレーバーを楽しめます。
ハーブティー
ローズマリーのティーは樟脳(しょうのう)に似た、清涼感・刺激のある香りで、頭をスッキリさせる効果があります。
飲みにくい場合は、レモン系やアップル系の香りがあるハーブとブレンドすると飲みやすくなります。集中したい時に飲むとよいでしょう。
精油
大まかな効能は既に書いた通りですが、抗菌効果があるので芳香浴やスプレーにすると部屋の清浄に使えます。
キャリアオイルと合わせてマッサージすると血行の改善が期待できます。
その他
チンキ剤、ローション、シャンプーなど様々な剤型に加えて利用できます。湿布剤、入浴剤で使うと、血行促進効果で筋肉痛や関節痛が和らぎます。部分浴(手浴・足浴)では、手や足の疲れを取るのに有効です。
また、フケや抜け毛を予防する効果があるとされています。
味・香り
甘い香りとほろ苦い香りが特徴で、スーッとした清涼感のある味わい。
ローズマリーの基本情報
学名 | Rosmarinus officinalis |
英名 | rosemary |
和名・別名 | マンネンロウ |
科名 | シソ科マンネンロウ属 |
分類 | 常緑性低木 |
原産地 | 地中海沿岸地方 |
使用部位 | 葉、茎、花 |
主要成分 | フラボノイド、フェノール酸(ロスマリン酸、カフェ酸など)、トリテルペン酸、タンニン、苦味質、精油 |
作用 | 抗酸化、抗うつ、駆風、収れん、利尿、消化促進、血行促進、防腐、殺菌、去痰など |
適応 | 血行不良、リウマチ、関節炎、疲労回復、風邪、頭痛、消化不良など |
語源・由来
属名のRosmarinusはラテン語の「海のしずく」(Ros marinus”)に由来します。
花の色が青く、しずくに例えられたためこの名が付きました。種小名のofficinalisは「薬用の、薬効のある」という意味です。
歴史・エピソード他
ローズマリーは古代エジプトの墳墓から発見されるなど、古くから利用されてきたハーブの1つで、古代ギリシャ・ローマの時代には薬用されていました。特に頭脳を明晰にして、記憶力を強化する働きが認められていました。
愛と美の女神アフロディーテを象徴する植物の1つで、「愛」と結びつけられ結婚式の際には、花嫁の花冠にローズマリーが加えられたそうです。香りが強くいつまでも残るため、花言葉でも「変わらぬ愛」を意味します。
中世以降、ペストが流行した際にも予防のために活用され、17世紀にフランスでペストが大流行した際、4人の盗賊たちがペスト除けに利用したというブレンド薬「盗賊の酢」にもローズマリーが使われたそうです。(セージ、タイム、ローズマリー、ラベンダーで作られる)
日本には江戸時代前期頃に伝来したとされ、「ろうつまれいな」で知られていました。和名のマンネンロウは「万年朗」と表記されることもあり、永遠の青年を意味します。
ローズマリーの意味は「聖母マリアのバラ」
ローズマリーの名は、聖母マリアがキリストと共にエジプトに逃れる途中で、青いマントを白い花の咲く植物にかけて眠ると、翌朝に花の色が青色(純潔の意)に変わっていたという伝説に由来します。そこから「Rose of mary(マリアのバラ)」と呼ばれるようになったそうです。
このようなエピソードから魔除けに関わる神秘的な力があるとされ、不浄な空気が病気の原因になると考えられていた時代には、病院などでローズマリーが焚かれました。
「若返りの水」ハンガリアン・ウォーターの原料
有名なエピソードでは、14世紀に70代だったハンガリー王妃エリザベートが隠者から「若返りの化粧水」の作り方を教わり使用したところ、若さと美貌を取り戻し、隣国のポーランドの若き王子からプロポーズをされたという逸話があります。
この化粧水は「ハンガリアン・ウォーター」と呼ばれ、ローズマリーが主成分に使われます。