ラベンダーの特徴・形状
- 華やかな香りが特徴の「ハーブの女王」
- リラックス効果が高く、不安や不眠を解消する
- 胃腸のけいれんや皮膚の炎症を抑える働きもある
ラベンダーはシソ科ラヴァンドラ属の小低木で、地中海沿岸が原産地です。香料植物として古くから活用されており、美しい紫色の花には華やかな芳香があるため「ハーブの女王」と呼ばれます。
およそ39種が知られており、地中海以外にもインドやカナリア諸島、北アフリカ、中東などを原産地とする種類もあります。
ラベンダーの世界的な生産地としては、フランス南東部のプロヴァンス地方が有名。日本では北海道・富良野にあるラベンダー畑が良く知られていますね。
植物的な特徴
高さ20㎝~100㎝になる小低木の一種で、茎・葉には白い繊毛が生えているため全体が灰緑色に見えます。葉は細く線形~楕円形をしており、長さ2~6㎝でひし形状の茎に対生します。
開花時期の6月~7月頃になると、茎先に長さ1.5cmほどの小さな花を輪散花序(葉の付け根に複数の花が咲き、茎の周囲を取り囲む)で咲かせます。ぱっと見では穂のように見え、花の色は品種によって薄紫色、濃紫色、青紫色、ピンク色、白色など様々です。
効果・効能
ラベンダーの香りはリラックス効果が高く、優れた鎮静作用があることが知られています。
ラベンダーの効能をざっくり紹介
①鎮静作用がありリラックス効果が高い
神経の緊張をほぐす働きがあり、精神的な疲れや不安・不眠、神経性の頭痛などの症状がある時に、ラベンダーの芳香を漂わせてみると心身が浄化されます。
ラベンダーの鎮静作用は香りのもととなる精油・酢酸リナリルによる効果が大きく、神経伝達物質のひとつで、精神のバランスを保つのに役立つ「セロトニン」の分泌を増やす働きがあります。
②高血圧など血管系の疾患を予防する
また、リラックスして緊張がほぐれると、血管が拡張されて血液の流れが良くなるため、高血圧や動脈硬化、片頭痛など血管系の症状の改善・予防にも良いとされます。
③胃腸などのけいれんを鎮める
ラベンダーにはけいれんの症状を抑える鎮痙作用があるため、神経性の胃炎、 急な胃痛・腹痛、胃酸過多,胸やけなどの痛みを緩和するのに役立ちます。
④抗菌・抗真菌作用があり、防腐・殺菌・防虫に役立つ
ラベンダーにはポリフェノールの一種であるタンニンが含まれます。この成分には抗菌・抗真菌作用があるため、ラベンダーをハーブティーで飲めば、口内炎、風邪や感染症の予防によいとされます。
部屋やクローゼットの中に吊るしたり、衣装ダンスの中に入れると虫よけに。
⑤解熱・デトックス効果がある
発汗作用があるため、風邪の時には熱を体外に出す働きがあります。さらに、利尿作用により余分な水分や毒素を排出するため、水太りを防ぎデトックスに良い効果があります。
⑥皮膚の炎症を鎮める
外用では、皮膚の炎症を抑える働き(消炎作用)があり、火傷に有効なハーブとして知られます。ラベンダーの抗菌作用が合わさって、傷を保護して皮膚組織を修復する働きがあるといわれます。その他にも打撲、脱臼、捻挫、痛風、リウマチなどの症状に使われることがあります。
精神的なストレス、不安、緊張、不眠、頭痛、高血圧、やけどなど
主な作用
- 鎮静作用
- 鎮痙作用
- 鎮痛作用
- 駆風作用
- 防腐作用
- 殺菌作用
- 防虫作用
- 血圧降下作用
禁忌・副作用
特に知られていません。
安全性・相互作用
安全性 | クラス1…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
ラベンダーの主な使い方
- 地上部(花・茎・葉)
ラベンダーは主にハーブティー、薬用酒、料理、観賞用に使用されています。
ハーブティー
イライラしている時や不安がある時に、ハーブティーを飲むと心が落ち着きます。また、夜寝る前に飲むことで不眠の解消によく、ぐっすり眠れるほか、風邪の時の解熱や殺菌にもおすすめです。
独特の華やかな香りを持つハーブティーですが、飲みにくい場合は別の香りがあるハーブをブレンドすると摂取しやすくなります。ラベンダーのティーを多量に飲むと眠気が出ることもあるため、車の運転前などは注意が必要です。
料理
花や葉は食用でき、鶏・羊肉料理の風味づけや、クッキー・ケーキなどの菓子類の風味づけに利用することができます。ジャムやシロップに加えることも可能で、砂糖漬けなどにも使われてきました。
南フランスで使われる「エルブ・ド・プロヴァンス」(エルブはフランス語でハーブの意味)と呼ばれるスパイスには、タイム、セージ、バジル、ローズマリーなどのハーブが組み合わせられますが、ラベンダーが含まれることもあります。
精油
ラベンダーはアロマテラピーでも汎用性のある定番ハーブの1つで、水蒸気蒸留法で花から精油が抽出されます。香りがよく、癒しの効果が高いため様々な使い方ができます。
芳香浴、アロマバス、オイルトリートメント、マッサージ、ローション、クリーム、軟膏(バーム)、除菌スプレーなど
その他
他にも様々な使い方ができます。
味・香り
華やかな香りの中に、ほのかな甘さ・苦さが含まれる
ラベンダーの基本情報
学名 | Lavandula angustifolia |
英名 | lavender |
和名・別名 | 真正ラベンダー、コモン・ラベンダー、イングリッシュ・ラベンダー |
科名 | シソ科ラヴァンドラ属 |
分類 | 小低木 |
原産地 | 地中海沿岸 |
使用部位 | 地上部 |
主要成分 | フラボノイド、タンニン、精油(酢酸リナリル、リナロールなど) |
作用 | 鎮静、鎮痙、鎮痛、駆風、防腐、殺菌、防虫、血圧降下 |
適応 | 精神的なストレス、不安、緊張、不眠、頭痛、高血圧、やけどなど |
語源・由来
属名のLavandulaはラテン語のlavo「洗う」が由来で、種小名のangustifoliaはangusti「幅の狭い」とfolius「葉の」という2つの言葉が組み合わさってできた語です。
英名のラベンダー(lavender)は古いフランス語が由来となっており、こちらもラテン語のlavo「洗う」や、同じ意味を持つlavareが原形になっているといわれています。
歴史・エピソード他
こちらで詳しく記載しています。