ペッパー(コショウ)|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

ペッパー(コショウ)|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

ペッパーの特徴・形状

  • 食卓の定番スパイス。「香辛料の王様」と呼ばれる
  • 血行を良くして、脂肪燃焼や代謝を助ける
  • 抗菌・防腐効果があり食材の保存に使われていた

ペッパーはコショウ科コショウ属の常緑つる性低木で、インド南部マラバル地方を原産地とします。「コショウ」の原料になる植物で、「香辛料の王様」と呼ばれ料理には欠かせません。

日本でもほとんどの家庭に常備されているスパイスではないでしょうか。

白コショウや黒コショウが定番ですが、収穫時期によって「黒コショウ・白コショウ・青コショウ・赤コショウ」と風味や分類が異なってきます。

植物的な特徴

雌雄異花(または同花)の植物で、つるは5~9mに伸びて木質化し、節から気根(地上に出る根の一種)を出して他の植物などに絡みつく性質があります。葉は長さ10~15cmの先の尖った楕円形で、茎に互生します。葉の表面は光沢があり、やや厚みがあります。

花期は4月頃とされ、葉の生える節の部分から長さ10~15cmの花穂が付きます。花は白~クリーム色で小さく、芳香があります。香辛料の材料になる果実は10~20cmでぶどうような房状をしており、一つの房に約50~60粒がつきます。

果実の大きさは3~6mm、緑色から赤色に変化した後、黒色になり熟します。中に種子が一つ入っています。

効果・効能

料理の味付けに使われるペッパーですが、脂肪の燃焼や血行促進、食欲増進、消化不良解消などの効能があるといわれています。

ペッパーの辛み成分であるピペリンには、血管を拡張して血の流れを良くする働きがあります。そのため、血液の滞りが原因となる冷え性や肩こりなどの症状の改善に役立ちます。

一般的に、血行が良くなると基礎体温が上がりますよね。その結果として代謝が良くなり内臓の働きが活発化するため、冷えからくる腹痛や下痢、便秘、消化不良などの症状を和らげる効果も期待できます。

また、ピペリンには体内で体の老化をすすめる物質の働きを抑える作用があるといわれています。ピペリンはブラックペッパーに多く含まれており、抗酸化作用以外にも抗菌作用、防腐作用、殺虫作用を持つとされます。

適応

消化促進、エネルギー代謝、血行不良、冷え性、食欲不振、腸内ガスなど

一般的にハーブは穏やかな作用を持ち、体に無理なく影響を与えますが、必ず効果が表れるものではありません。妊娠中・授乳中、持病がある場合や医薬品を常用している場合はハーブの使用を控えるか、事前に医師の判断を仰ぐようにしてください。

主な作用

  • 健胃作用
  • 駆風作用
  • 防虫作用
  • 抗酸化作用
  • 血行促進作用
  • 抗菌作用

禁忌・副作用

辛みによる刺激が強いため、多量摂取は避けてください。

安全性・相互作用

安全性クラスⅠ…適切な使用において安全
相互作用クラスB…相互作用が起こりうるハーブ。
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

ペッパーの主な使い方

使用部位
  • 果実、種子(白コショウ)

ペッパーは主に料理に使用されています。

料理

ペッパーは料理の香りづけ、肉の臭み消し、味付けなど特有の香りを生かした活用が可能です。肉や魚だけでなく、野菜からお菓子まで割とどんな食材にも利用でき、スープやドレッシング、マリネなど多くの料理に対応できます。

身体を温めたい時や食欲がわかないときなどに一つまみ振りかけてみると、わずかながら薬効効果も期待できるでしょう。

消費期限はホールのもので2~3年ほどとされています。ペッパーに限らずですが、粉末の物を使用するよりも、ホール上の果実を調理時・食事時に砕いて振りかける方が本来の香りを楽しめます。

ペッパーの種類

ブラックペッパー緑色の未熟な果実を収穫した後に、黒く完熟するまで乾燥させたもの。辛みが強い。
ホワイトペッパー赤色に熟した実を収穫し、乾燥後に水に浸けて皮をとったもの。辛みがあるが上品な味。
グリーンペッパー緑色の未熟な果実を収穫し、塩漬けまたはフリーズドライ加工したもの。爽やかな香りがある。
ピンクペッパー「赤胡椒」とも呼ばれる。赤色に熟してから収穫し、皮をはがさずに利用する。
ウルシ科サンショウモドキ属の「コショウボク」という木から取れる果実から取れたものを指すこともアリ、ペッパーと風味が似ているが上の3種類とは別種で、正確にはペッパーではない。

味・香り

ピリッとした辛みと刺激的な味がある。香りは爽やかですっきりしている。

ペッパーの基本情報

学名Piper nigrum
英名pepper
和名・別名コショウ(胡椒)
科名コショウ科コショウ属
分類つる性植物
原産地インド南部マラバル地方
使用部位果実、種子(白コショウ)
主要成分ピペリン、シャピシン、β-シトステロール
作用健胃、駆風、防虫、抗酸化、血行促進、抗菌
適応消化促進、エネルギー代謝、血行不良、冷え性、食欲不振、腸内ガスなど

語源・由来

属名のPiperは、同属の植物ヒハツのサンスクリット名pipaliから名づけられたという説があります。種小名のnigrumは「黒色の」という意味です。

歴史・エピソード他

ペッパー利用の歴史は古く、原産地のインドでは古代から輸出品として重視されていました。ヨーロッパに伝わった時期ははっきりしませんが、古代ギリシャ・ローマ時代には既に食用されており、古代ギリシャの植物学者テオフラストスが著した『植物誌』にもコショウが登場します。

また、ローマの歴史家・大プリニウスの『博物誌』によれば、紀元前1世紀ごろのローマでは、長コショウと呼ばれるコショウ科のロングペッパー、ホワイトペッパーとブラックペッパーが高値で取引されていました。

中世にはペッパーの抗菌・防腐・防虫作用が食材や料理の保存に役立てられ、長期保存に欠かせないハーブとして好まれました。珍重されたため、税金や貨幣の代わりに使われることもあり、一説には十字軍の遠征は胡椒が目的の1つであったと考えられているそうです。

その後、12世紀頃から大量のコショウが東方地域より輸入されるようになると、その希少性は失われていきました。一方で需要は多く、15世紀にインド航路が発見されるまで重宝されていたようです。

日本での歴史

日本には奈良時代初期に渡来しており、正倉院に伝わる『種々薬帳』(天平勝宝8年・756年)には、60種の生薬名と共に胡椒の名が記されています。

もともと「胡椒」という名は西方由来の香辛料という意味を持ち、中国で使われた名称でそれがそのまま日本でも引き継がれたものです。当初は薬用でしたが、平安時代には調味料として使われ、サンショウと並ぶ香辛料として利用されるようになりました。

現在、ペッパーの産地にブラジルが挙げられますが、昭和初期の日本人移民が現地でペッパーの栽培を確立し、産地を築いた歴史があります。

参考文献

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