ブラックコホシュの特徴・形状
- 女性特有の症状に用いられるハーブの1つ
- 自律神経系の不調にも良い効果があるとされる
- ネイティブアメリカンの間で古くから利用されてきた
ブラックコホシュは北アメリカ原産の多年草で、キンポウゲ科ルイヨウショウマ属の植物です。アメリカの林地に育つハーブで、秋になると繁殖します。
英名の1つである「cimicifuga」はcimex「虫」とfugere「逃げる」に由来するもので、ブラックコホシュの強い芳香が虫よけの作用をするためこの名が付きました。
植物的な特徴
草丈25〜60 cmで、地下茎から大きな複葉を生成します。基部は木質で、基部から生えてくる葉は最大1m、鋸歯(ギザギザ)状の大きな卵形に3つの小葉で構成されます。
花期は春の終わりと8月~11月頃で、高さのある茎に上部50㎝くらいの総状花序(柄のある小花が円柱形に咲く)を形成します。小花の数は55〜110個ほどとされ、5〜10 mmの雄しべが密集します。花の色は白く良い香りがあります。
効果・効能
ブラックコホシュは女性特有の疾患に多くの効能を持ち、ホルモンの分泌調整や、生理痛、生理不順、月経前症候群(PMS)、更年期の自律神経失調症、骨粗しょう症予防などに用いられます。
これらの症状に良いとされるのは、ブラックコホシュのフィトケミカル成分に、エストロゲンのような働きをするフィトゲステロンが含まれるためで、ホルモンバランスの調整に効果を発揮します。また、鎮痙作用によって筋肉痛や生理の痛みを和らげます。
自律神経系の不調とされる更年期のほてり(ホットフラッシュ)、動悸やめまいなどの症状にも使用されており、鎮静作用も含まれるため精神不安、抗うつ、不眠などにも効果があるといわれます。神経を落ち着かせるので、神経性の頭痛や腹痛の改善が期待できます。
そのほか、トリテルペン配糖体による抗炎症作用、血糖降下作用、タンニンによる抗菌作用や収れん作用が活用できます。
筋肉痛、神経痛、頭痛、更年期障害、生理痛、生理不順、月経前症候群など
主な作用
- 鎮静作用
- 鎮痙作用
- 抗炎症作用
- 血圧降下作用
- 通経作用
- 女性ホルモン様作用
- ホルモン様作用
- 収れん作用
禁忌・副作用
- 妊娠中の使用は避けるべきハーブです。
- 肝障害などの症例報告があるので、多量・長期の使用はしないこと。
安全性・相互作用
安全性 | クラス2b…妊娠中に使用しない |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
ブラックコホシュの主な使い方
- 根、茎
ブラックコホシュは主にハーブティー、サプリメントに使用されています。
ハーブティー
根、茎を乾燥させて砕いたものを熱湯で抽出しティーにします。使用部位が根部なので、使用直前に細かく砕いて5分~10分抽出します。
痛みがあるときは鎮痛・鎮痙系のハーブをブレンドし、生理の不調があるときは生理周期を調整するハーブなどがおススメです。
その他
サプリメントやカプセル剤、エキス剤でも利用できます。ハーブティーよりも手軽に服用したい時はこちらでも良いかもしれません。更年期のホルモン補充療法などの目的で利用されますが、
味・香り
やや土臭さや苦みがあるが、さっぱりした味。
ブラックコホシュの基本情報
学名 | Cimicifuga racemosa(またはActaea racemosa) |
英名 | black cohosh |
和名・別名 | アメリカショウマ |
科名 | キンポウゲ科ルイヨウショウマ属 |
分類 | 多年草 |
原産地 | 北アメリカ |
使用部位 | 根、茎 |
主要成分 | トリテルペン配糖体、イソフラボン、タンニン、精油 |
作用 | 鎮静、鎮痙、抗炎症、血圧降下、通経、ホルモン様、子宮強壮、利尿、収れん、発汗など |
適応 | 筋肉痛、神経痛、頭痛、更年期障害、生理痛、生理不順、月経前症候群など |
語源・由来
属名のCimicifugaはラテン語のcimex「小さい虫」と、fugo「飛行する」の合成で、アブラムシを追い払うのに役立つ花の匂いに由来します。
そのため、ブラックコホシュの仲間は「バグベイン」と呼ばれることも。種小名のracemosaは「ブドウのような」という意味です。
英名のブラックコホシュ(black cohosh)という名は、根茎が黒味がかっていることが由来とされます。
歴史・エピソード他
北アメリカ原産の伝統的なハーブの1つで、主にアメリカ東部(ウィスコンシン・ミズーリなど)のネイティブアメリカンの間で古くから安産、婦人病、咽頭炎、ガラガラヘビに噛まれた時の対処などの用途で利用されてきました。使用法に由来して、「スネークルート(蛇の根)」などの名前でも呼ばれます。
その後、アメリカにやってきた入植者によってヨーロッパへ伝わりました。19世紀になるとリウマチの治療法に使用されるようになり、アメリカの家庭薬として使われたそうです。
1830年の米国薬局方(United States Pharmacopeia: USP)に「スネークルート」として掲載されています。