パセリ|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

パセリ|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

パセリの特徴・形状

  • 栄養素が豊富でビタミンやミネラルが摂りやすい
  • 消化不良やむくみなどを解消する働きがある
  • 香りには抗菌・消臭効果がある

パセリは地中海沿岸を原産地とするセリ科オランダゼリ属の2年草です。

料理の味付けに使われる定番ハーブの1つで、よくアイスクリームなどデザートの上に添えられているのを見かけます。

このパセリ、実は栄養価が高く、野菜として食べるとビタミンやミネラルなどの栄養素がたくさん摂れます。

植物的な特徴

草丈30~60cmで、よく枝分かれする茎に長さ3~5㎝ほどの羽状複葉(鳥の羽のように、小さな複数の葉で一枚の葉が構成される)の葉が互生します。また、葉色は濃く、葉の縁には細かい切れ込みがあります。

初夏の5月~7月頃になると、高く伸びた花茎の先に2mmほどの、クリーム色~黄緑色の小さな花を咲かせます。花は5弁で複散形花序、茎先が細かく枝分かれしてその先に花が咲きます。パセリの全草・果実からは爽やかな芳香が漂います。

パセリの種類について

日本では縮れた葉を持つ「モスカールドパセリ(Petroselinum crispum)」が利用されていますが、イタリアでは葉が平らで香りが豊かな「イタリアンパセリ(P. neapolitanum)」が良く使われています。

正確には種類が異なりますが、どちらも植物自体の特徴はだいたい同じです。

効果・効能

料理の添え物として残されることも多いパセリですが、ビタミン類、ミネラル類が豊富なハーブで、体の健康に役立つ鉄分、カルシウム、マグネシウム、リン、マンガンといった微量元素が多く含まれます。

パセリの主な効能

①アンチエイジング効果

ビタミンC、Eに加えて植物成分のフラボノイドが含まれるので、体内の余分な水分・毒素を排出してむくみを解消します。抗酸化作用もあるため、血管や細胞の酸化が原因で起こる、動脈硬化や心筋梗塞といった生活習慣病の予防にも役立ちます。

パセリには鉄分が含まれるので、貧血や月経時など鉄分が不足しやすいときの補助にも良いでしょう。

②抗菌・消臭に役立つ

さらに、パセリ特有の香りのもととなる精油成分のアピオール、ピネンには抗菌作用があり、消臭効果があります。そのため、パセリを食べることで口臭予防につながります。

③胃腸の働きを整え、精神をリラックスさせる

アピオールには上記以外にも胃の調子を整える、胃液を分泌して食欲を増進させる働きがあるといわれます。

また、ピネンには交感神経の興奮を抑えて、精神をリラックスさせる鎮静作用があるとされます。

④アレルギー症状を和らげる働き

そのほか、フラボノイドの一種であるルテオリンが、アレルギー反応を引き起こす物質・ロイコトリエンの産生を抑えて花粉症などのアレルギー症状を緩和します。

適応

リウマチ痛、貧血、月経不順、食欲不振、アレルギー症状、むくみなど

効果については人によって感じ方が少しずつ異なります。ハーブの使用について、妊娠中・授乳中、持病がある、薬を常用しているなどの場合、注意が必要になることがあります。

主な作用

  • 駆風作用
  • 利尿作用
  • 殺菌作用
  • 抗菌作用
  • 強壮作用
  • 健胃作用
  • 抗アレルギー作用
  • 解毒作用

禁忌・副作用

  • 腎臓疾患、心臓疾患などがある場合は、治療目的での使用を控えます。(スパイス使用はOK)
  • 月経促進作用を持つアピオールが含まれるため、妊娠中や授乳中は摂取量に注意が必要です。

安全性・相互作用

安全性クラス1…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

パセリの主な使い方

使用部位
  • 地上部(主に葉・茎)

パセリは主にハーブティー、料理、薬用に使用されています。

料理

日本でよく使われるモスカールドパセリは香り・苦味が強く、イタリアンパセリは風味が穏やかです。パセリ単体の料理はあまりないですが、サラダやスープに入れて風味づけができます。

食材は野菜から肉、魚、卵、乳製品まで、幅広く組み合わせられるので、自宅の香辛料に加えておくと便利です。ハーブバターやチーズほか、フランス料理のブーケガルニや香辛料のフィーヌゼルブ(チャービル、フレンチタラゴン、チャイブ、イタリアンパセリ)にも利用されます。パセリの旬は冬(1~2月)です。

ハーブティー

パセリ葉のティーは消化を促し、胃の調子を整えます。ビタミン類・ミネラル類が豊富なので、美容・皮膚状態の改善にも良いでしょう。

やや苦味があるので、はちみつや三温糖を加えたり、ジャーマンカモミールなど香りのあるハーブと組み合わせると飲みやすくなります。

薬用

民間療法では、パセリの浸出液を冷湿布にして打撲、捻挫、青あざ、抜け毛、虫刺されなどの症状に利用してきました。

パセリの葉を食用したり青汁にして飲むと消化不良や食欲不振の解消、疲労回復、貧血、生理不順に効果があるといわれています。※妊娠中・授乳中は控えるか量に注意が必要です。

味・香り

独特の青臭い香りで、苦味が強いがほのかな甘みがある。

パセリの基本情報

学名モスカールドパセリ:Petroselinum crispum
イタリアンパセリ:Petroselinum crispum var. neapolitanum
英名parsley
和名・別名オランダゼリ、オランダミツバ、カールドパセリ、和蘭芹、旱芹菜、旱芹など
科名セリ科オランダゼリ属
分類二年草
原産地地中海沿岸
使用部位地上部
主要成分ビタミン類、クロロフィル、フラボノイド、配糖体、ミネラル、精油
作用駆風、利尿、殺菌、抗菌、強壮、健胃、抗アレルギー、解毒
適応リウマチ痛、貧血、月経不順、食欲不振、アレルギー症状、むくみなど

語源・由来

属名のPetroselinumは、ギリシャ語のpetroselinon「パセリ」がラテン名になったもので、種小名の crispumはcrispus「縮れた」という意味があります。

和名のオランダゼリという名称は、パセリが江戸時代にオランダから伝来した時ついた名です。

歴史・エピソード他

ヨーロッパでは古代ギリシャ時代には栽培が始まっており、当時は薬草や儀式用の植物として用いられました。神話ではヘラクレスの冠にパセリが使われたと伝えられ、ギリシャのコリント地域で2年に一度行われる古代競技のイストモス大祭で勝利すると、勝者にはパセリで作られた冠が授与されました。

古代ギリシャの抒情詩人であるアナクレオン(紀元前582年頃~紀元前485年頃)はパセリを「生きる喜びの象徴」呼び称えました。

ローマの医師・ディオスコリデスはパセリを利尿剤や月経促進薬として紹介しています。また、パセリが料理に使われるようになったのは、古代ローマ時代からとされています。

中世では、カール大帝が菜園での栽培を命じた数十種のハーブの中にパセリが含まれました。1525年に著された『バンクスの本草書』では、「血液を増やす働きがあり、わき腹の痛みやむくみに効く。心臓と胃の働きを活発にする」などと記されています。

日本でのパセリ利用は18世紀末の江戸時代中期に、オランダ船が長崎に持ち込んだのが始まりとされ、当時長崎で栽培されていたそうです。そのため、オランダゼリの名が広く広まりました。

参考文献

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