パッションフラワー|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

パッションフラワー|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

パッションフラワーの特徴・形状

  • 独特の形をした紫色の花が咲く
  • 心を落ち着かせる働きがあり「植物性の精神安定剤」と呼ばれる
  • キリスト教とかかわりが深い「キリストの受難の花」

パッションフラワーはトケイソウ科トケイソウ属の多年草で、常緑のつる性植物です。

中央・南アメリカの熱帯・亜熱帯地域が原産地で、精神の安定をもたらすハーブとして知られています。

パッションフラワーの仲間は約500種にのぼりますが、中でもこの品種(Passiflora incarnata)は最も強い薬効を持つといわれています。

植物的な特徴

つるの長さは6m~10mほどで、長く伸びたつるに長さ10~18cmの葉が互生します。葉の形は掌状で5~9つの切れ込みがあり、縁に鋸歯(ギザギザ)はなく天狗のうちわのような形をしています。

花期の6~10月頃になると、つるの先に独特の形をした花が咲きます。花は通常白く、萼片と花弁が5枚ずつあるのが特徴で、色と形が同じため、10枚の花びらがあるように見えます。

花びらの内側に副花冠と呼ばれるヒゲのような部分があり、根元が紫色で、途中で白に変化し、先は紫がかった青色をしています。花後にできる果実は楕円形の液果で、成熟するとオレンジ色になります。

効果・効能

パッションフラワーの主な薬効には、中枢神経系を落ち着かせる鎮静作用があります。

神経の興奮を鎮め、交感神経の働きを正常化させる働きがあり、気分をリラックスさせてくれます。そのため緊張、不安、イライラなど神経の乱れからくる憂患や、ストレス性の高血圧・片頭痛などの改善に用いられます。

強い力を持つハーブですが、作用は穏やかで子供から高齢者まで利用できるため「植物性の精神安定剤(トランキライザー)」と呼ばれており、特に不眠の解消に有効です。

鎮痙作用もあり、神経性の頭痛や腹痛、歯痛などに使われるほか、筋肉痛や生理時の痛み、過敏性腸症候群にも良いとされます。

パッションフラワーの詳しいメカニズムはまだよくわかっていませんが、アピゲニンなどのフラボノイド類や、ハルマンなどのインドールアルカロイド類が関係していると考えられています。フラボノイドが含まれるので、緩和な利尿作用もあります。

適応

精神不安、神経症、緊張、不眠、過敏性腸症候群、高血圧、ストレス性の腹痛、頭痛など

一般的にハーブは穏やかな作用を持ち、体に無理なく影響を与えますが、必ず効果が表れるものではありません。妊娠中・授乳中、持病がある場合や医薬品を常用している場合はハーブの使用を控えるか、事前に医師の判断を仰ぐようにしてください。

主な作用

  • 神経中枢性の鎮静作用
  • 鎮痙作用
  • 利尿作用
  • 抗痙攣作用

禁忌・副作用

特に副作用は報告されていませんが、子宮収縮を誘発する可能性があるため、妊娠中の使用は避けるようにします。

安全性・相互作用

安全性クラス1…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

パッションフラワーの主な使い方

使用部位
  • 地上部の全草

パッションフラワーは主にハーブティーに使用されています。

ハーブティー

パッションフラワーは単独でも利用できますが、他の鎮静系ハーブとブレンドすると相乗効果が得られます。

気持ちの落ち込みを伴う不眠であれば、バレリアンやセントジョーンズワート、ジャーマンカモミール、レモンバームなどがおすすめです。

サプリメント

不安や睡眠障害、疼痛、更年期障害などの症状に用いられます。エキス剤も販売されていますが、濃縮されているため摂りすぎには注意が必要です。

味・香り

草花の香りを持ち、クセのないさっぱりした味。

パッションフラワーの基本情報

学名Passiflora incarnata
英名Passion flower
和名・別名チャボトケイソウ(矮鶏時計草)
科名トケイソウ科トケイソウ属
分類多年草
原産地アメリカ南東部
使用部位地上部の全草
主要成分フラボノイド(アピゲニン)、フラボノイド配糖体(ビテキシン)、ハルマン、ハルモール、青酸配糖体(ジノカルディン)
作用神経中枢性の鎮静、鎮痙、利尿、抗痙攣
適応精神不安、神経症、緊張、不眠、過敏性腸症候群、高血圧、ストレス性の腹痛、頭痛など

語源・由来

学名のうち属名のPassifloraはラテン語で「キリストの受難」という意味で、種小名のincarnata「肉赤色」という意味があります。

英名のパッションフラワー(Passion flower)の意味も学名と同じ「キリストの受難の花」で、花の形がキリストの磔刑に見立てられました。

  • 花の子房柱:十字架
  • 3つに分かれた雌しべ:
  • 副冠:茨の冠
  • 5枚の花弁と萼:ユダとペトロを除いた10人の使徒
  • 巻きひげ:ムチ
  • 葉:

和名のチャボトケイソウ(矮鶏時計草)の由来は、3つに分かれた雌しべを時計の長針、短針、秒針に見えることからこの名が付いたそうです。チャボはニワトリの品種名です。

歴史・エピソード他

パッションフラワーは、アメリカ先住民の先住民のチェロキー族、メキシコのアステカ族などによって古くから薬用されてきました。鎮静剤としての効果が知られており、他にも強壮目的や、おでき、創傷、耳痛、肝機能障害などの症状に用いたそうです。

パッションフラワーがヨーロッパに伝わったのは16世紀で、1569年にスペイン人医師がペルーで発見し本国に持ち帰ったのが始まりとされます。その薬効が認められ、ヨーロッパでも普及しました。

その後、中南米でキリスト教の布教を始めたイエズス会の宣教師たちは、パッションフラワーをアッシジの聖フランチェスコが夢に見たという「十字架上の花」と考えて、布教に利用しています。

パッションフラワーという名は宣教師たちが flos passionisと呼んでいたのを英語に訳したものです。ヨーロッパで本格的な研究が始まったのは19世紀で、1980年代になってから現在知られる鎮痙作用や精神安定作用などの効果が認められました。

おまじないではパッションフラワーを家の中に置いておくと、トラブルを鎮静化して平和をもたらすそうです。日本へは江戸時代初期に渡来しました。

参考文献

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