ハイビスカスの特徴・形状
- 南国に咲くハイビスカスとは異なる種類
- クエン酸や植物酸が豊富で疲労回復に役立つ
- 新陳代謝を促し、美肌にも良い効果が期待できる
ハイビスカスはアオイ科フヨウ属の一年生または多年生の亜灌木で、アフリカ北西部が原産。
ハワイなどで見かける赤い花ではなく、ローゼルと呼ばれる白い花びらを持つ種類をメディカルハーブとして利用します。
ハーブとして使う果実(がく部)には赤色色素が含まれるため、ハイビスカスティーを作るとルビー色の色鮮やかなお茶ができあがります。
植物的な特徴
高さ150㎝~200㎝、茎は木質で長さ8〜15 cmほどの葉が茎に互生します。この葉は3~5つの深い切れ込みがあるのが特徴で、茎と葉柄は紫色をしておりややぬめりがあります。
花は直径8〜10cmほどで、秋の9月から11月頃になると白~クリーム色の花が咲きます。
ハーブとしては、果実とも呼ばれる萼と苞が厚くなった形の総苞片(花びらの下にある部分)を利用します。この総苞片は果実が熟すると深紅色になりますが、成熟するまでに約6か月かかります。
効果・効能
ハイビスカスは疲労回復や夏バテ・むくみの解消、美肌づくりにおすすめ。
ハイビスカスに含まれるミネラル類や、クエン酸、ハイビスカス酸・リンゴ酸などの植物酸は体内のエネルギー代謝・新陳代謝力を向上させるため、肉体疲労の回復に有効です。新陳代謝が行われると細胞が新しくなるため、皮膚がきれいになり美肌効果が現れます。
また、新陳代謝が活発になると血行循環がよくなり、腸内環境が改善されて便秘などの症状にも良い効果をもたらします。そのため、ハイビスカスには緩下作用があるとされます。
そのほか、ハイビスカスにはカリウムが豊富に含まれるため、体内の余分な水分を排出して老廃物を体外に出す働きがあります。ハイビスカスティーの特徴でもある赤色はアントシアニン色素によるもので、この成分は眼精疲労に効果を持ちます。それ以外では二日酔いにも良いとされています。
ビタミンCやペクチンなどが含まれるので、風邪や便秘の症状がある時にも良いかもしれません。
肉体疲労、むくみ、肌荒れ、血行不良、眼精疲労、便秘、食欲不振、風邪など
主な作用
- 利尿作用
- 緩下作用
- 血行促進作用
- 代謝促進作用
- 健胃作用
禁忌・副作用
特に知られていません。
安全性・相互作用
安全性 | クラス1…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
ハイビスカスの主な使い方
- がく
- 花
- 茎
ハイビスカスは主に料理、ハーブティー使用されています。
料理
ローゼルの果実はジャム、ビネガーに漬けたソース、パイなどのお菓子類の他、ゼリーやシャーベットにも使えます。
その他、ワインやチャツネ、清涼飲料など様々な場所で使用されています。若葉は野菜としてサラダなどに、種子は煎ればコーヒーの代用にすることができます。
ハーブティー
ハイビスカスは酸味が強いため、単体で飲むよりもブレンドした方が飲みやすくなります。三温糖やはちみつなどを加えて甘みを足すのも良いでしょう。
ブレンドの定番はビタミンCの豊富なローズヒップとの組み合わせで、アンチエイジング・美容目的での飲用もおすすめです。
味・香り
さわやかさや華やかを感じる香りで、酸味の強い味。
ハイビスカスの基本情報
学名 | Hibiscus sabdariffa |
英名 | Roselle |
和名・別名 | ローゼル、ロゼリ草、ローゼリ草、レモネードブッシュ |
科名 | アオイ科フヨウ属 |
分類 | 一年生または多年生の亜灌木 |
原産地 | アフリカ北西部 |
使用部位 | がく、花、茎 |
主要成分 | 植物酸(クエン酸、リンゴ酸、ハイビスカス酸)、アントシアニン(ヒビスシン)、粘液質、ペクチン、ミネラル(鉄、カリウム)、アミノ酸、β-カロテン、ポリフェノール類など |
作用 | 利尿、緩下、血行促進、代謝促進、健胃 |
適応 | 肉体疲労、むくみ、肌荒れ、血行不良、眼精疲労、便秘、食欲不振、風邪など |
語源・由来
学名のうち属名のHibiscusは、ゼニアオイ(Malva mauritiana)につけられた古代ギリシャ語、ラテン古名で、種小名のsabdariffaは由来がわかっていません。ジャマイカ語またはトルコ語から来ていると考えられています。
歴史・エピソード他
数千年前の古代エジプト時代から葉と種子が食用されており、ハイビスカスの語源はエジプトの美の神「ヒビス(Hibis)」を由来とする説(※エジプト神にヒビスという名の神はいないといわれる)があります。クレオパトラも愛飲していたとされ、当時からハイビスカスの美容効果が知られていました。
16世紀の航海貿易が盛んな頃にアフリカから世界に広がり、ヨーロッパでは現在ハーブとして利用される総苞片(果実)の部分が利用されるようになりました。17世紀にブラジルで、1707年にジャマイカで栽培が始まったそうです。
日本には20世紀初頭に伝わったものの、季候の関係で開花後に萼や種子が採取できなかったため、当時はあまり広まりませんでした。その後、東京オリンピックの際に、マラソンで有名なアベベ選手がハイビスカスティーを飲み金メダルを獲得したことから、日本でもハイビスカスの効能が注目されるようなりました。
茎の部分は繊維(ローゼルヘンプ)として活用することができ、種子の油は工業用に使われます。植物全体が多目的に使われるため捨てるところがない「マルチハーブ」と呼ばれます。