朝鮮人参|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

朝鮮人参|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

朝鮮人参の特徴・形状

  • 滋養強壮効果で有名な漢方薬のひとつ
  • 体の新陳代謝を活発化させる働きがある
  • 古代中国では霊薬として珍重されていた

朝鮮人参は高麗人参やオタネニンジンの名でも知られる、ウコギ科トチバニンジン属の多年生植物で、中国東北部、ロシア沿海州を原産地とします。

つる性植物で、育つと2~3メートルほどの長さに広がります。

根や茎の部分を食用し、滋養強壮効果が強いため漢方でも生薬として珍重されるハーブで、1本数十万円の価値が付くこともあるそうです。

植物的な特徴

高麗人参は栽培から収穫まで4年~6年かかるハーブで、発芽後は3枚の小葉からなる掌状葉がつきます。葉柄(茎・枝につながる柄(え)のような部分)は1年に1個ずつ増える特徴があり、5年目は5個になります。

3~4年目に葉柄の付け根から花茎を伸ばし、5月頃から先端に散形花序の白~クリーム色をした小花を咲かせます。さらに、7月~8月にかけて丸く赤い果実を付け、中には種子が含まれています。

6年ほど経過すると、根全体の長さは30㎝以上になり支根も増えて成熟します。

効果・効能

朝鮮人参はストレスへの抵抗力を高めるハーブ(アダプトゲンハーブ)の代表で、精神・肉体の活力を増す作用があります。

古くから不老長寿や強精の目的で利用されてきました。ストレスによる胃腸の不調や食欲不振、下痢、病後の回復期、疲労回復などに使われます。

使用時の注意点としては、心身の消耗を感じる時に使うべきハーブのため、元気な人が朝鮮人参を服用すると鼻血が出たり頭痛などの症状が現れることがあります。

朝鮮人参の主な効果・効能

①生活習慣病予防によい

朝鮮人参には多くの成分が含まれていますが、特にジンセノサイドというサポニン類が中性脂肪やコレステロールの値を下げる働きをします。

そのため、生活習慣病の予防に良いとされ、動脈硬化や心臓病など血管系の病気を防ぐのに有効とされています。

②血行を良くする

そのほか、体内の新陳代謝を活発化させ、血行を良くするため、体力の回復や集中力・記憶力の向上、免疫機能の活性化など多岐にわたる効能を持ちます。抗酸化作用もあり、体内のアンチエイジングにも役立ちます。

③不安や落ち込みを改善する

さらに、体だけでなく心を落ち着かせる作用を持つことから気力が失われがちな時にも良い効果があるとされます。

軽いうつや不安があるときに取り入れてみると良いでしょう。

適応

心身の疲労、気力・体力の消耗、病弱

効果については人によって感じ方が少しずつ異なります。ハーブの使用について、妊娠中・授乳中、持病がある、薬を常用しているなどの場合、注意が必要になることがあります。

主な作用

  • 強壮作用
  • 新陳代謝促進作用
  • アダプトゲン作用

禁忌・副作用

  • 急性病、高血圧の症状があるときは使用しないでください。
  • 半年以上の長期使用は避けた方が良いハーブとされています。
  • 幼児、子供、妊娠中・授乳中の女性は使用に注意が必要です。

安全性・相互作用

安全性クラス1…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない

『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

朝鮮人参の主な使い方

使用部位
  • 根、根茎

朝鮮人参は主に料理、ハーブティー、薬用に使用されています。

料理

伝統的に、朝鮮人参の根は人のような形をしているものほど珍重されます。韓国料理では野菜として食材として調理に加えられることがあり、サムゲタンに入れるほか、煎じたお茶は人参茶(インサムチャ)として飲用されます。日本ではてんぷらに使われることがあります。

ハーブティー

疲労回復やストレスを感じる時に飲むと効果が期待できます。朝鮮人参は味が独特なので、他のハーブとブレンドされたものを選ぶか、カプセル剤、エキス剤などを選ぶと手軽に摂取できます。

薬用

朝鮮人参は漢方でも有名ですが、生薬の作り方によっていくつかの種類に分かれます。

白参(ハクジン)根を皮をむいてから乾燥させたもの
紅参(コウジン)根を皮をむかずに蒸してから乾燥させたもの
水参(スイジン)畑から掘り起こした生のもの

紅参は湯通しするため一部の成分が失われますが、高血圧や疲労回復などに穏やかに働きかけます。

味・香り

苦味が強く漢方薬のような味で、やや土臭さがある。

朝鮮人参の基本情報

学名Panax ginseng C.A. Meyer
英名Chinese ginseng、Korean ginseng
和名・別名チョウセンニンジン(朝鮮人蔘)、コウライニンジン(高麗人蔘)
科名ウコギ科トチバニンジン属
分類多年草
原産地中国東北部、ロシア沿海州
使用部位根、根茎
主要成分サポニン(ジンセノシド)、精油(リモネン、テルピネオールなど)、アセチレン化合物(パナキシノールなど)
作用強壮、新陳代謝促進、ストレスへの対応力強化
適応心身の疲労、気力・体力の消耗、病弱

語源・由来

属名のPanaxはギリシャ語で「全てを癒す」という意味で、 ginsengは人参の中国語読みです。

「人蔘」という名は枝分かれした根の形が人のように見えることからこの名が付きました。和名のオタネニンジンという名は、八代将軍徳川吉宗が対馬藩に銘じて朝鮮半島から種と苗を取り寄せ、各地で栽培を奨励したため「御種人参」と呼ばれるようになったそうです。

歴史・エピソード他

中国では2000年以上前から薬効が知られていましたが、生息数が少ないため希少な霊薬として高い価値がつけられました。漢代の医学書『神農本草経』や、漢代の人で中国医学における医方の祖・張仲景による『傷寒論』にも薬効が記されています。

秦の始皇帝や唐の楊貴妃が、不老長寿や滋養を求めて朝鮮人参を飲用したといわれます。

ヨーロッパへは大航海時代に伝えられたとされ、フランスの思想家ルソーや、ロシアの文豪ゴーリキーなどが飲用したそう。韓国では「生命の根」とも呼ばれます。

日本での歴史

日本では天平11年(739年)に渤海の文王が、聖武天皇に高麗人参30斤を送ったという記録が残されています。室町時代から輸入が始まり、朝鮮からの使節団が「国交贈品」に持参するなど礼品としても利用されました。

朝鮮人参は中国で貴重なものでしたが、原産国の朝鮮半島でも栽培は困難で、18世紀初め李氏朝鮮の時代になって初めて人工的な栽培が成功したといわれます。

日本では朝鮮人参を長らく朝鮮半島からの輸入によって入手しており、徳川家康の頃になって栽培が試みられました。しかし、当時はうまくいかなかったようで、八代将軍吉宗の時代に試作したところ、享保14年(1729年)に初めて日本での高麗人参栽培が成功したといいます。

その後幕府によって、栽培が奨励され、野州、松江、会津などが主な生産地として確立されました。水戸黄門こと徳川光圀が栽培に失敗したという逸話が伝わります。

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