ソウパルメットの特徴・形状
- ヤシの一種で、葉には細かく深い切れ込みがある
- 前立腺肥大など泌尿器系のトラブルに活用される
- ネイティブアメリカンの伝統医学でも使われてきたハーブ
ソウパルメットはアメリカ・フロリダ原産の常緑低木で、ヤシ科ノコギリパルメット属の植物です。
個体が群生する植物で、砂浜や松林・広葉樹の林、フロリダ州のエバーグレーズにあるハンモックと呼ばれる特異な湿地のそばで多数生えているのを見かけることができます。
また、寿命が長く古いもので500~700年ほど生きているそうです。
植物的な特徴
2~4mほどの小さなヤシで小さなうちは直立し、大きくなると倒れて地を這う特徴があります。葉は掌状で、1つの葉には約20の小葉が付きます。葉柄が細かく鋭いトゲで覆われていることから「ノコギリパルメット」とも呼ばれます。
葉は長さ1m~2mで、小葉は50㎝から100㎝ほどの大きさがあります。春から夏にかけて、幅5mmほどの淡黄色の花を60cmほどの円錐花序(花軸が何度も枝分かれして多数の小花を付ける)で咲かせます。
ハーブとして利用する果実は2~3㎝ほどでオリーブのような色をしており、果実の中心に1つの種(仁)が入っています。柔らかいためベリー(berry)と呼ばれることもあり、完熟すると赤黒くなります。
効果・効能
ソウパルメットは「植物性のカルーテル(導尿管)」という別名があり、主に男性の前立腺炎や前立腺肥大に用いられます。
男女問わず生殖器系の不調に用いることができますが、男性の場合は生殖器を洗浄し、滋養を与えて性欲を増進させます。
また、前立腺肥大の原因は諸説ありますが、ソウパルメットには前立腺肥大の原因となる物質を抑えて痛みを和らげる作用があるとされます。
特に初期症状の改善や予防に良いとされ、市販のカプセルやサプリメントも販売されています。泌尿器系の症状に働きかけるので、過敏膀胱や排尿障害があるときにも活用できるハーブです。
その他、薄毛予防や消炎効果があるといわれます。
ソウパルメットの成分には血中のコレステロール値を下げる働きを持つオレイン酸、リノール酸など含まれるので、抗酸化作用も期待できそうですね。
良性前立腺肥大、排尿障害、過敏膀胱など
主な作用
- 酵素阻害作用
- 消炎作用
- 利尿作用
- 強壮作用
- 鎮静作用


禁忌・副作用
まれに胃障害が起こることがあります。
安全性・相互作用
安全性 | クラス1…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
ソウパルメットの主な使い方
- 果実
ソウパルメットは主にハーブティー、サプリメントで使用されています。
ハーブティー
ハーブティーで飲むときは、ソウパルメットのパウダーまたは砕いた果実を成分を熱湯で抽出します。
ソウパルメットに含まれる成分はフィトステロール、脂肪酸など脂溶性のものが多く、ハーブティーよりもサプリメントの方が良いとされますが、フラボノイドやタンニンなどの成分が摂取できます。
その他
果実のエキスを凝縮したサプリやカプセル剤、チンキが販売されています。
頭皮の改善などを目的に「ソウパルメット果実エキス」として、シャンプー剤に加えられることがあります。
味・香り
ウィスキーなどを発酵させた洋酒のような味で、甘い香りがする。
ソウパルメットの基本情報
学名 | Serenoa repens |
英名 | saw palmetto |
和名・別名 | ノコギリパルメット、ノコギリヤシ |
科名 | ヤシ科ノコギリパルメット属 |
分類 | 常緑低木 |
原産地 | 北アメリカ |
使用部位 | 果実 |
主要成分 | フィトステロール(β-シテステロール、スティグマステロール)、オレイン酸、リノール酸、精油、フラボノイド、タンニン、ステロイドサポニンなど |
作用 | 酵素阻害、消炎、利尿、強壮、鎮静 |
適応 | 良性前立腺肥大、排尿障害、過敏膀胱など |
語源・由来
属名のSerenoaはアメリカの植物学者・セレーノ・ワトソン(Sereno Watson)への献名で、種小名のrepensは「 匍匐(ほふく)する」という意味があります。これはソウパルメットの地を這う特徴に由来します。
英名のソウパルメット(saw palmetto)のsawは「ノコギリ」、palmettoは「ヤシ植物」という意味です。
歴史・エピソード他
ソウパルメットは北アメリカ~中央アメリカの伝統医学で用いられ、ネイティブアメリカンの間では前立腺肥大、泌尿器形のトラブル、痰、炎症、食欲不振、脱力感などの薬として200年間以上にわたって使用されていました。
女性特有の症状にも積極的に活用されていたようで、不妊、母乳の出をよくする、豊胸、生理不順などの症状に利用されていたことがわかっています。
ネイティブアメリカンの祈祷師はソウパルメットで防腐剤や強壮剤を作り、上記のような様々な病気を治療するため持ち歩いていたといわれています。18世紀に出現したセミノール族やフロリダの先住民は果実を食用にし、マヤ人は強壮剤がわりに飲んでいたんだとか。
ソウパルメットへの関心が高まったのは19世紀後半で、家畜への効果から注目を浴び研究が進みました。当時は前立腺肥大、膀胱炎、淋病、粘膜の炎症の治療薬として用いらていました。
ヨーロッパ人との接触以前には、フロリダ産のソウパルメット繊維がウィスコンシンやニューヨークなどの地域との間で取引されており、葉は茅葺屋根に用いられたそうです。

