ハーブの中でも優れた薬効を示すものや、健康・美容に役立てられる種類(分野)をメディカルハーブといいます。
「そもそもハーブとは何か?」という基礎知識からメディカルハーブの範囲や活用方法について、一番初めに知りたいことをまとめました。
メディカルハーブの基本
ハーブとは?
ハーブは英語でherbといい、ラテン語で薬草を意味するherbaが由来となっています。
そのため、この言葉自体に薬草、香草、薬用植物などの意味があり、人間にとって有用な植物のことを「ハーブ」と呼んで分類しています。
ハーブには栄養素や植物成分が含まれる
ハーブ中には様々な薬用成分が含まれています。
薬用成分の多くはハーブが紫外線や害虫から自分の身を守るために作り出すものですが、人間が体内に取り入れることで、その成分が体全体にいきわって
- 心をリラックスさせる
- 炎症を抑える
- 胃腸の調子を整える
などの作用がもたらされます。
ハーブは食品?
最近では普通にスーパーの野菜売り場で販売されているので、「ハーブは食品では?」と考える人もいるかもしれません。
日本でハーブは「食品」に分類されているのでこの捉え方も間違いではないです。
メディカルハーブとは?
ハーブの薬用成分を、健康維持や美容に活用分野しようとする分野のことを「メディカルハーブ」といいます。
また、この分野で使われるハーブを指して、メディカルハーブと呼ぶことも。
ハーブの歴史は古く、紀元前から原始医療にも用いられてきました。古代エジプトのパピルスにもハーブの薬効が記されています。
つまり、ハーブ療法は古代から何千年にもわたる長い期間研究されており、経験と知識の積み重ねを続けて医療の歴史に携わってきた伝統療法でもあるのです。
メディカルハーブには人間が本来持っている自己治癒力を高め、体の様々な不調を穏やかに改善する働きがあります。
治癒のメカニズムはまだ未知の部分が多く、不明な点もありますが、今後研究の発展が期待される領域です。
メディカルハーブの範囲
メディカルハーブというと植物のハーブを使ってケアをするイメージですが、メディカルハーブには香り成分の精油や栄養素なども含まれます。
そのため、精油を使う療法「アロマセラピー」や、花などの植物成分を使う「フラワーエッセンス」のほか、栄養学、体の仕組みを知るための解剖学などが関わってきます。
- メディカルハーブ
- アロマセラピー
- フラワーエッセンス
- 栄養学
「植物由来の成分を健康・美容に活用していく」のがメディカルハーブの目的なので、上記の分野を学ぶと理解が早まりそうですね。
メディカルハーブの特徴
相乗効果が期待できる
メディカルハーブに含まれる2つの異なる成分が組み合わさることで、大きな効果をもたらす「シナジー効果(相乗効果)」が得られると考えられています。
1種類のメディカルハーブに複数の作用が含まれることがほとんど。
ペパーミントであれば、消化促進、気分のリフレッシュ、胃腸のけいれんを抑えるなど消化機能の調子を整えるのに役立つ働きがあります。
健康をホリスティックに考える
メディカルハーブは「全体的」「包括的」と訳される、ホリスティック(holistic)な視点から活用されています。
ホリスティックとは医学的な意味では心と体だけでなく、社会・自然・宇宙など大きな枠組みから物事をとらえようとする考え方のことです。
西洋医学とは違ったアプローチができる
西洋医学では医薬品や手術により病気をピンポイントに直そうとするのに対し、ハーブ療法(代替療法)では、その人の体質やを診て生活主観から見直そうとする特徴があります。
西洋医学は迅速な治療に良く、代替療法は病気の原因そのものを緩やかになくそうとするので、西洋医学と代替療法どちらにも長所・短所があります。
アーユルヴェーダや中医学は代替療法として世界的に認められており、これらの医学でもハーブが活用されています。
栄養補給に役立つことも
ハーブの種類によってはビタミン類やミネラル類など、健康や美容の維持に役立つ栄養素も含まれます。
そのため、ビタミン、カルシウム、鉄分といった不足しがちな栄養素を補ってくれることも。
市販のサプリで、ハーブの成分が配合されているものもよく見かけます。
どのような時にメディカルハーブを活用する?
病気の予防や健康目的に活用する
メディカルハーブを使うタイミングに特に決まりはありませんが、病気の予防や健康維持を目的として利用するのが望ましいとされます。
メディカルハーブは医薬品ではないため、病気の進行を抑えたり、合併症が起こることを避けるために使うようにします。
軽い症状の時に使う
風邪の引き初めや筋肉痛など、比較的軽い症状が現れた時にセルフケアとして活用するようにします。
ハーブティーなら5分もあれば作れますし、ハーブの香りを書くだけでも香り成分が脳に働きかけてアロマセラピー効果をもたらしてくれます。
ヨーロッパなどでは、心身の不調がある時はまず「言葉でのケア(カウンセリング)」を受け、次に「自然療法(メディカルハーブなど)」を用いるのが良いといわれているのだとか。
この後に「薬の処方」「手術」と続いていくので、メディカルハーブを使う前にはまず心地の良い言葉で心の調子を整えると良いかもしれません。
- 言葉(カウンセリング)
- 自然療法(メディカルハーブなど)
- 薬の処方
- メス(手術)
メディカルハーブの主な使い方
料理、ハーブティー、ハーバルバスなどメディカルハーブの使い道は様々で、一度覚えれば一生使えるセルフケア方法が身につきます。
栄養素や植物成分は、水に溶けやすい「水溶性」と油に溶けやすい「脂溶性」に分けられるので、使いたい成分を活用できる方法を確認することでメディカルハーブを上手に使うことができるようになります。
- 水溶性 … ビタミンC、ビタミンB群、ミネラル、タンニン、フラボノイドなど
- 脂溶性 … 精油、油脂、ビタミンD、A、K、Eなど
メディカルハーブを生活に取り入れる方法
料理 | 料理に加えると香りや味、色が楽しめ、臭み消しに役立つほか酸化防止、防腐作用などの効果が期待できる。 |
ハーブティー | 水溶性の成分を利用する。手軽に作れるメリットがあり、成分が体内に吸収されやすい。 |
アロマテラピー | ハーブ・スパイスから抽出した香り成分などを、高濃度に含む精油(エッセンシャルオイル)を利用し、心身の不調を和らげたり、健康の維持に役立てたりする。 |
ハーバルバス | ハーブを直接浴槽の湯に入れたり、ティーを作って入れるなどして水溶性の成分を利用する方法。 |
部分浴 | ハーバルバスと同じ要領で、手浴・足浴ができる。 |
植物油 | ハーブを植物性の油に浸して脂溶性の成分を抽出する。 |
チンキ | ハーブをアルコールなどに浸して水溶性・脂溶性の成分を抽出する。 |
バーム(軟膏) | 植物油にミツロウなどを加えて軟膏にする。肌に塗るとハーブの薬効成分が肌荒れや炎症を抑える。 |
化粧水 | 抽出した植物成分にグリセリンなどを加えて、手作り化粧品に。ハーブの薬効成分が肌に浸透して保湿やはだの引き締め効果をもたらす。 |
まとめ
メディカルハーブはハーブの効能を健康・美容の分野に役立てる場合の名称で、主にハーブに含まれる栄養素や植物成分を活用するため、アロマセラピーやフラワーレメディ、栄養学などの知識も包括しています。
ハーブとは「薬草」のことで、人類は昔から体の不調を癒すのに植物の力を借りていました。
薬用植物は先史時代の遺跡や古代エジプトの墳墓からも発見されており、それはそれは長い歴史があります。
古代の人々はハーブを良く観察し様々な症状の処方に用いたようで、その記録が各地の文献に記されています。
ハーブの世界は奥が深い・・・!
料理やハーブティー、ハーバルバスなど、自分でできる活用法からメディカルハーブを取り入れてみてね。