オレンジピールとは、オレンジの皮を乾燥させてハーブ扱いにしたものです。果実にも含まれるビタミン類やリモネンなどの精油成分が主成分で、心身のリフレッシュに有効です。
ちなみにオレンジには大まかに分類してビターとスイートがあり、下のように種類分けされます。
- スイート … コモンオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジなど
- ビター … ダイダイ、キノット、ベルガモット、ビガラードなど
そのため、ハーブティー用のオレンジピールには、ビター・スイートオレンジ両方の果皮が含まれる場合がありますが、ここではスイート種についてまとめています。
オレンジピールの特徴・形状
- 中国原産のミカン科で、和名は「アマダイダイ」
- ビタミンCが豊富!美肌効果もあり
- 爽やかな香りでリフレッシュ・リラックスできる
インド北部のアッサム地方を原産とする柑橘類で、和名では「アマダイダイ(甘橙)」と呼ばれます(以下スイートオレンジと記載)。通常オレンジといわれるものは、流通量の多いスイート種のことを言います。
学名の「sinensis(中国を意味する)」からもわかるように、インドから中国に伝わった後、さらにヨーロッパへもたらされました。現在ではブラジルや地中海沿岸、アメリカなど世界各地で栽培されています。
また、スイートオレンジのうち、バレンシアオレンジが世界で最も生産されていますが、日本での生産はネーブルオレンジが主体です。
甘みの強い「みかん」とは異なり、より爽やかですっきりした香りがあるため、男性・女性問わず使いやすいハーブです。
植物の特徴
スイートオレンジは常緑果樹で高さは4~5mほどで、枝に小さなトゲがあるのが特徴です。
5月~6月頃になると、香りのある5弁の白い花を咲かせますが、花期は短めでほとんど流通しません。収穫時期は熟期(早生・中生・晩生)によって異なります。
効果・効能
スイートオレンジの皮には神経系の緊張を和らげ、心を落ち着かせる効果があります。抗うつ作用もあり、気持ちが落ち込んでいるときにも良いとされるので、不安からくる不眠にも効果が期待できます。
胃酸の分泌を促進し、消化機能を高め腸の働きを整える効果があるとされるため、お腹の不調を感じる時や便秘などの時に服用するのも効果的です。
また、オレンジピールは肌の調子を整えるビタミンCが豊富なため、美肌にもおすすめです。早期老化が原因となるシミの発生を防ぎ肌をきれいにしてくれ、ビタミン類の栄養で風邪予防などの免疫力UPも同時に行えます。
そのほかフラボノイドが含まれるため、利尿・発汗作用によるデトックスも可能です。
オレンジピールに多く含まれる精油成分のリモネンには、交感神経を活性化させ脂肪を分解させる働きがあります。代謝促進や消化不良に利用できるほか、気分のリフレッシュや安眠にも良いとされています。
心身の疲労・不安・不眠・気分の落ち込み・便秘・下痢など
主な作用
- 抗うつ作用
- 整腸作用
- 健胃作用
- 鎮静作用
- 鎮痙作用
禁忌・副作用
片頭痛や関節炎の症状があるときは使用を避けます。
安全性・相互作用
安全性 | クラス1…適切な使用において安全 |
相互作用 | クラスA…相互作用が予測されない |
オレンジピールの主な使い方
- 果皮
オレンジピールは主に食用、ハーブティー、精油に使用されています。
食用
スイートオレンジは生食ができ、ジュースや加工食品の原料にもよく用いられています。適度な甘みと酸味があり多重質なので、ジューシーな味わいが楽しめます。
細かくした皮をパウンドケーキなどのお菓子に入れるなどして、風味付けに用いることも可能です。
ハーブティー・飲料
シングル・ブレンドどちらでもおいしく飲めますが、柑橘系の香りを楽しみたい時はシングルがおおすすめです。オレンジ・レモンの香りは紅茶とも相性が良くブレンドすると甘さを加えることができます。
使用部位は皮なのでハーブティーを作る際は5分くらい置き、長めに抽出時間をとります。
精油
果皮を圧搾することで精油成分を得ることができます。
エッセンシャルオイルとしては「オレンジスイート」の名で販売されることが多く、成分にはレモンの香りを持つリモネンを始め、デカナール、シトラール、リナロール、オクタナールなどが含まれます。
トップノートで香りの持続時間が短いため、香りが長持ちする精油とブレンドするのがおすすめです。
味・香り
オレンジの香りに、甘酸っぱさとやや苦みのあるフルーティーな味。
ビターオレンジピールの基本情報
学名 | Citrus sinensis |
英名 | Orange peel |
和名・別名 | アマダイダイ(甘橙) |
科名 | ミカン科ミカン属 |
分類 | 常緑小高木 |
原産地 | インド北部アッサム地方 |
使用部位 | 果皮 |
主要成分 | 精油、ビタミン類 |
作用 | 抗うつ・整腸・健胃・鎮静・鎮痙 |
適応 | 心身の疲労・不安・不眠・気分の落ち込み・便秘・下痢など |
語源・由来
属名のCitrusは「柑橘類」、sinensisは「中国の」という意味があります。
オレンジの語源はサンスクリット語(古代インド語)で「オレンジの木」を意味するnaranga(ナランガ)に由来で、言葉が以下のように変化しています。
- 中世ペルシャ語のnarang(ナラング)
- アラビア語に転じてnaranj(ナランジ又はナーランジ)
- イベリア半島でnaranja(ナランハ)
- 古代フランス語のorenge(オランジュ)
- 英語のorenge(オレンジ)
フランス語になる過程で「黄金」を意味するorがつけられています。
歴史・エピソード他
オレンジが一番初めに登場するエピソードはギリシャ神話「パリスの審判」といわれています。パリスが女神アフロディーテにリンゴを捧げる場面があるのですが、このリンゴは実はオレンジだったという説があります。
オレンジの歴史は古く、4000年ほど前には既にインドから中国に伝わっていたようです。これはビターオレンジ類で、オレンジの伝播については諸説ありますが、7世紀ごろにイスラム教が広まるとオレンジもヨーロッパ各地へ持ち込まれたという説が有力です。
ヨーロッパにおけるスイートオレンジ栽培は、15世紀にポルトガルの航海者がセイロン(スリランカ)から国へ持ち帰ったことに始まるといわれています。また、15世紀の終わりには、コロンブスの手によって、アメリカ大陸へオレンジの木が植えられたそうです。
日本には中国から明治時代以前に伝来しており、温州ミカンなど日本固有種が誕生しています。
オレンジは豊かさの象徴!
オレンジはその色から「天界の果実」を表し、オレンジの形は丸みを帯びるため「女性」の象徴とされます。また、実をたくさんつけることから多産や豊穣を意味し、絵画でも豊かさの象徴として描かれました。
ヨーロッパ富裕層の間ではオレンジ園を持つことが富の象徴とされた時代があり、フランスのルイ14世もオレンジを愛し、フランスのベルサイユ宮殿にもオレンジ園が作られています。