オリーブの特徴
- オイルや果実が食用でき、調理で活躍!
- 血管を丈夫にし、生活習慣病を防ぐ働きがある
- 旧約聖書にも登場する平和の象徴
オリーブは食用オイルとして定番の「オリーブオイル」の原料になる植物です。果実も食用できピクルスなどを作ったことがある人もいるかもしれません。
人類がオリーブを栽培しはじめたのは紀元前からで、なんと起源前3000年頃にはシリアで栽培が始まっていたようです。
比較的乾燥に強い品種のため主にスペインやイタリアなどの地中海地域で栽培されてきました。現在では日本や南米、オートラリア、インドなど世界各国に植えられています。
後述しますが、メディカルハーブとして使うのはオリーブの葉。血管を丈夫にしたり、抗菌に役立つ働きがあるとされています。
植物の特徴
オリーブはモクセイ科、オリーブ属、地中海沿岸地方原産の半完成常緑高木で、高さは3m~10mほどに育ちます。
細長い形の葉は長さ3~6㎝ほどで硬く、表は濃い緑色、裏は銀白色でコントラストの美しい形をしています。初夏(5~6月頃)にクリーム色の小花を枝の先に20輪前後咲かせ、8~9月になると実をつけます。
黒紫色になるまでに採集すれば食用・オイルなどに加工することができます。
効果・効能
オリーブの葉に含まれる成分には、毛細血管を丈夫にする作用、血圧降下作用を持つ「ルチン」や、抗糖尿病、抗炎症作用などの効果を持つ「ルテオリン」などがあり、脳卒中や高血圧、動脈硬化といった生活習慣病の予防に効果が期待できます。
また、「自然の抗生物質」とも呼ばれるオレユーロペンという成分が強い抗菌・抗ウイルス作用を持つため、インフルエンザやヘルペスなどのウイルスを排除し症状を改善する働きもあります。
オリーブの葉にはポリフェノールや鉄分、カルシウムが含まれるため、美肌や健康効果もあるといわれています。
その他神経を鎮める作用や利尿作用、肌を引き締める作用もあり、特に副作用も報告されていないため使いやすいハーブといえるでしょう。
高血圧、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病の予防、ウイルス性感染症の改善
主な作用
- 抗酸化作用
- 利尿作用
- 抗菌作用
- 血圧降下作用
- 胆汁分泌促進作用
禁忌・副作用
特に知られていません。
安全性・相互作用
相互作用 | 『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』には未掲載 |
安全性 | 『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』には未掲載 |
オリーブの主な使い方
- 葉
- 花
- 果実
オリーブは主にハーブティー、料理などの食用、オイル、木材して使用されています。
食用
オリーブの果実は渋抜きをして塩漬け・オイル漬けにすることで、食用にできます。ピクルスやピザ、アヒージョなどイタリア料理などでよく使われています。
ハーブティーにする場合は、乾燥した葉を使えば血糖値を下げるティーとして飲むことができます。
オイル
果肉から一番搾りをしたものをエキストラ・バージンオリーブオイルと呼びます。種子から採取した油はオリーブ核油と呼びますが、品質は劣ります。
熟す前のオリーブを使用したオイルは青々しい果実の香りがあり、熟した実を使用したオイルは甘くフルーティーな芳香を持ちます。いずれも緑がかった色で、生で使用するのにも向く優れたオイルです。
オリーブ油はオレイン酸が豊富で、コレステロール値の上昇を抑えます。酸化に強く加熱でもあまり成分が失われないため、生活習慣病予防に適しています。
オイルを虫刺されに塗るとかゆみが和らぎ、頭皮や髪の乾燥対策、日焼け対策にも適しています。
その他
火傷や妊娠線の予防などに軟膏剤、貼布剤などに用いられています。
オリーブの木材は固く油分が多いため丈夫です。そのため、食器や調理道具などの素材として人気があります。黄褐色の地色に木目や褐色の流し模様が入るのが特徴で、美しくインテリアとしてもなじみます。
植物自体も見た目的に美しく、観葉植物としても愛されていますね。
味・香り
生の果実は渋みと苦みがある。
オリーブの基本情報
学名 | Olea europaea |
英名 | olive |
和名・別名 | ー |
科名 | モクセイ科、オリーブ属 |
分類 | 常緑高木 |
原産地 | 地中海沿岸 |
使用部位 | 葉 |
主要成分 | フラボノイド配糖体(ルチン、ヘスペリジンなど)、フラボノイド(ルテオリンなど)、ビタミンE、瀬古イリドイド配糖体 |
作用 | 抗酸化・血圧降下・動脈硬化予防・緩下・抗菌・抗ウイルス・利尿 |
適応 | 高血圧・動脈硬化・生活習慣病予防(糖尿病など) |
語源・由来
属名のOleaは「油のある」、europaeaは「ヨーロッパの」という意味を持ちます。
古代ギリシア語ではオリーブやオリーブの実のことを「ἐλαία (エライアー)」と呼び、それをラテン語に直した形が「ŏlīva(オリーワ)」となるそうです。イタリア語、スペイン語、フランス語のoliveはすべてラテン語に由来しています。
歴史・エピソード他
オリーブは古代から人間にとって重要な植物とされていて、旧約聖書には「箱船から話した鳩がオリーブの葉を加えて戻ってきたことで、ノアは洪水が終わったことを知る(創世記8章11節)」という有名な一節があります。
この伝説が基となって、オリーブは人類の希望や繁栄、平和のシンボルとされてきました。
古代世界においてオリーブは希少価値が高く、ギリシャでは国力繁栄のためオリーブの栽培がおこなわれました。紀元前700年頃に古代ギリシアが各地に植民を始めると、オリーブの木も移植され広まったと伝えられています。
ギリシャの歴史家・ヘロドトスは紀元前5世紀頃に「アテナイを除き、世界のどこにもオリーブの木は存在しない」と記述。ギリシャ神話には、アテネの支配権をめぐる女神アテネと海神ポセイドンの戦いで、市民に役立つオリーブの木を丘に芽生えさせ、アテネ神が勝利するエピソードがあります。
日本では、1761年に長崎の興福寺でオリーブが結実したというが一番古い記録だそうです。