エキナセア|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

エキナセア|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史
目次

エキナセアの特徴

  • 薄いピンク~鮮やかなピンクの花が咲く
  • 風邪や感染症対策に人気がある
  • 別名「天然の抗生物質」で医薬品としても使用される

エキナセアはキク科ムラサキバレンギク属の多年草で、北アメリカが原産地。

品種改良により様々な種類が開発されていますが、原種はピンクの色の花が特徴的です。

一般にメディカルハーブとして「エキナセア」と呼ばれるのはエキナセア・プルプレアという品種ですが、近縁種にアングスフォティリア、パリダなどの品種があり、こちらもハーブとしての薬効を持ちます。

また、エキナセアは北アメリカ先住民の平原インディアンの間で重宝されたことから「インディアンのハーブ」と呼ばれることも。欧米では薬草として用いられる以外に、炎症や傷の治療に使用されることがあり、医薬品として扱われることもあるハーブです。

植物の特徴

草丈は60㎝くらいで、花期の7〜10月頃になるとピンク色の花を咲かせます。

頭状花(花の中央に見える部分)が盛り上がって赤紫色の針山のような形状をしており、花弁はやや下向きに向かって咲く特徴的な形をしています。丈夫で園芸用としても人気があります。

効果・効能

エキナセアは免疫力を活性化させ、ウイルスに抵抗する働きを持ちます。そのため、「天然の抗生物質」と呼ばれることもあり、アメリカでは最も人気のあるハーブといわれています。

エキナセアに含まれる粘液質(多糖類)には、体内の異物を排除するマクロファージやインターフェロンを活性化させる働きがあります。この作用により体の免疫力が向上するため、感染症の拡散防止に役立ち、風邪のほかインフルエンザ、膀胱炎などのウイルス性感染症に効果的です。

また、含まれる成分の1つエキナコシドという成分にも抗菌活性力があるとされます。

さらに、エキナセアには創傷治癒効果もあるとされ、外用では抗菌作用を活用して、傷口の消毒や化膿性炎症、湿疹などに使われることがあります。

抗アレルギー作用を活用して、花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの症状にも効果を発揮。その他、伝統的にはハチや毒蛇などの解毒、皮膚の腫れなどにも用いられてきました。

適応

風邪・インフルエンザなどの感染症・尿道炎・膀胱炎・治りにくい傷など

効果については人によって感じ方が少しずつ異なります。ハーブの使用について、妊娠中・授乳中、持病がある、薬を常用しているなどの場合、注意が必要になることがあります。

主な作用

  • 免疫機能活性化作用
  • 抗ウイルス作用
  • 創傷治癒作用
  • 抗炎症作用
  • 抗菌作用

禁忌・副作用

  • 妊娠中、授乳中の人、キク科のアレルギーがある人は使用に注意が必要です。
  • 多量に飲むとめまいや吐き気を感じることがあり、8週間以上の長期継続使用は避けます。
  • 結核・白血病・膠原病・多発性硬化症・エイズ・HVI感染、その他の免疫疾患がある場合や免疫抑制剤を使用している場合は、禁忌または注意が必要とされています。

安全性・相互作用

相互作用クラスA…相互作用が予測されない
安全性クラスⅠ…適切な使用において安全
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

エキナセアの主な使い方

使用部位

 

エキナセアは主にハーブティー、薬用に使用されています。

ハーブティー

エキナセアの最も一般的な使用方法です。ドライの葉、茎、根を抽出しハーブティーにすることで、手軽に風邪・感染症対策ができます。味的にもクセがなく、他のハーブとブレンドしやすいです。

エキナセアは抗菌・抗ウイルス効果があるので、ハーブティーをうがいに使用し、口内の殺菌や浄化を行うのもおすすめです。

薬用

エキナセアでチンキ剤を作れば、ハーブティーに入れてその薬効を活用することができます。抗ウイルス作用を持つため、軟膏剤や湿布剤など外用の製剤に用いられることもあります。

味・香り

苦みや酸味がなく、クセがない。飲みやすい味

エキナセアの基本情報

学名Echinacea purpurea
英名Echinacea
和名・別名ムラサキバレンギク(紫馬簾菊)
科名キク科、ムラサキバレンギク属
分類多年草
原産地北アメリカ
使用部位葉、茎、花、根
主要成分カフェ酸誘導体(エキナコシド、シナリンなど)、多糖類、アルキルアミド、精油、ピロリジジンアルカロイド
作用免疫賦活・創傷治癒・抗菌・抗ウイルス・消炎
適応風邪・インフルエンザなどの感染症・尿道炎・治りにくい傷

語源・由来

Echinaceaはギリシャ語のechinos「ウニ、ハリネズミ」が語源で、エキナセアの花の中心部分が盛り上がって針のように突き出す形から名づけられました。purpureaは「紫色の」という意味があります。

和名のムラサキバレンギク(紫馬簾菊)の、バレンとは木版画を摺る際に用いられる道具で、エキナセアの花の中心の盛り上がりがバレン(馬楝)に似ていることからこの名が付きました。

歴史・エピソード他

別名を「インディアンのハーブ」と呼び、アメリカ先住民は古くから風邪や日常の不調ののほか伝染病などの重い病気まで、エキナセアを幅広い症状に利用してきました。

薬効効果の強い根の部分を噛み砕いて、汁液を咳止めやのどのただれに用いたり、虫歯、やけどなどの治療に使用したそうです。

現在ではアメリカのハーブ市場では最も人気の高いハーブのひとつですが、薬効の研究が始まったのは比較的近年で19世紀になってから調査が始まりました。

1870年頃、ネブラスカ州の医師(自然療法士)であるH.C.Fメイヤーが先住民からエキナセアについて学び、自分の身を蛇に噛ませてエキナセアや数種のハーブを使用した「血液浄化剤」を試作して治療したのが研究の始まりとされています。

19世紀末ごろにドイツの医学者がヨーロッパへエキナセアを持ち帰ると、より臨床的な研究が始まり、古来からネイティブアメリカンに伝わっていた感染症予防や抗菌性の効果が証明されました。そのため、ドイツでは現在でもエキナセアの研究が盛んです。

日本には大正末頃に渡来したといわれています。

参考文献

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