チンキとは?
チンキとは「ティンクチャ―(Tincture)」とも呼ばれる剤型のひとつで、通常エタノールで浸出した液剤のことを指します。※エタノールと精製水を混ぜて浸す場合もあります。
チンキはハーブなど薬用植物に含まれる有効成分をアルコール(エタノール)で抽出し、水溶性・脂溶性どちらの成分も取り出せるのが特徴。
ハーブティーではビタミンB・Cやフラボノイド、タンニンなど水溶性の成分しか抽出されませんが、チンキではビタミンA・D・E・K、精油など油でないと溶けにくい成分も取り入れることができます。
チンキは内用・外用どちらにも利用できる剤型で、様々な使い方ができる優れものです。
チンキの使い方
チンキは濃度の高いアルコールを使用するため、必ず水で希釈してから使います。
虫よけスプレーやエアフレッシュナーを作る時は濃度30パーセント程度、肌などに塗るときは5~10%、飲み物に加える時は1%程度に薄めます。
- 希釈して肌の患部に塗る(化粧水・ローション)
- ハーブティー・飲み物に数滴加える
- ハーバルバス・手浴・足浴の際に加える
- 虫よけスプレーやエアフレッシュナーに加える
そのほか、アルコールを使用しているため切り傷や炎症の消毒にも有効。
使い方は特に決まりがなく、抽出元のハーブに含まれる成分を利用したい時に使えます。また、アルコールを使用して作ったハーブ酒なども、チンキと似たような効果があるとされています。
チンキの効果
①体内への吸収が早い
また、アルコールは消化を受けることなく吸収される性質があり、摂取した量の20%程度は胃で、約80%は小腸で吸収されます。
1~2時間ほどでほぼ吸収されるといわれており、水が腸でしか吸収されないことを考えると、吸収されて効果が表れるまでが早いのがチンキのメリットといえるでしょう。
②体を温める作用がある
アルコールは肝臓で分解されると、アセトアルデヒドという成分が血中で働き血管が拡張します。その結果、血行が良くなり体が温められます。
また、濃度の低いアルコールは、気分を明るくさせたり、爽やかにさせる効果があります。
③脂溶性・水溶性の成分どちらも摂取できる
基本的なメディカルハーブの剤型のうち、ハーブティーは水溶性の成分のみ、植物油は脂溶性の成分のみしか抽出することができませんが、チンキはどちらも抽出できます。
一例として、水溶性のビタミンはビタミンB群、C、脂溶性のビタミンはA、D、E、Kなどがあります。
チンキを作る前に(注意点)
- エタノールを加えた場合、引火性が強いため火気を避けて保存します。
- ハーブを漬け込んで2週間~6週間ほど保存するため、保存容器は使用する前に必ず煮沸消毒します。
- 遮光性ガラス瓶を使用するか、冷暗所で保管します。
- アルコールがふくまれるため、保存中に子供や高齢者が誤って飲用しないよう注意します。
内用チンキの作り方
作ったチンキを薄めて内服する方法です。ハーブティーや白湯に加えて飲むことで、ハーブの有効成分が摂取できます。
必要な道具
- 蓋のあるガラスの広口ビン(ジャム瓶のようなもの)
- 茶こしまたはガーゼ
- 蓋つきの保存容器(あれば遮光瓶)
- 日付ラベル
材料
- 好きなハーブ … 5g
- ウォッカ(40度) … 100ml
必要量に合わせて調整してください。
作り方
- ガラス製の広口ビンに規定量のハーブを入れ、ハーブが完全に浸る量のアルコールを注ぎます。
- 瓶のふたを確実に閉めて、日付ラベルを張ります。
- 1日に1回瓶を振って中身を混ぜながら2週間漬け込みます。
- 茶こしまたはガーゼを使って漉し、保存容器に入れます。(保存する場合は冷暗所に置きます)
- チンキ数滴をカップ1/2杯程度の湯またはハーブティーに垂らして内服します。
ポイント
日付ラベルには作った日、期限(約1年)を書くと後で確認しやすくなります。保存容器のふたはしっかり密閉し、光の当たらない場所に保管します。
避けなければならない人には熱湯でアルコール分を揮発させてから使用します。
内用チンキにおすすめのハーブ
エキナセア | 免疫力をUPさせ、風邪や感染症から身を守る働きを持ちます。抗菌作用があり外用で使うこともできます。チンキでは定番のハーブです。 |
ジャーマンカモミール | リラックス効果があり、不眠やストレスの緩和に効果的です。胃の働きを整える作用があるため、胃の不調にも有効です。 |
エルダーフラワー | くしゃみ、鼻水、鼻詰まりといった花粉症などのアレルギー症状を抑えたり、緩和させる作用があります。 |
レモンバーム | 神経系を強化するのによく、精神的なリラックス作用があります。レモンの香りがする精油成分には抗菌作用があるため、風邪・感染症予防に役立ちます。 |
外用チンキの作り方
精製水や芳香蒸留水で希釈して化粧水やローションに利用したり、水で薄めて肌の痛み・炎症のある場所に塗るなどの活用ができます。
外用チンキは肌に塗るので、使用前にパッチテストを行ってください。
必要な道具
- 洗顔気
- 布もしくはタオル(湿布の場合)
必要なハーブの分量
- 好きなハーブ … 5~10g
- ウォッカ(40度) … 100ml
基本的な作り方は内用チンキと同じです。必要量に合わせて調整してください。
外用のみに使用する場合は無水エタノール(アルコール)がおすすめです。
作り方
- 内容チンキと同じ手順で作ったチンキを精製水で4~10倍(用途によって濃度が異なる)に薄める。
- 患部に塗布、または湿布します。
ポイント
日付ラベルには作った日、期限(約1年)を書くと後で確認しやすくなります。
美容目的に使う場合は①に植物性グリセリンを加えることもあります。希釈したチンキは冷暗所に保存し、1種間程度で使い切るようにします。
外用チンキにおすすめのハーブ
エキナセア | 外用では傷口の消毒や肌の炎症、湿疹などの症状に使うことができます。患部に塗るだけで簡単なケアができます。 |
カレンデュラ | ニキビなど細菌・ウイルス性の炎症や肌荒れに有効です。火傷や日焼けのケアにも便利です。 |
ジャーマンカモミール | 皮膚の痛みやかゆみを和らげる効果があり、皮膚の組織を修復する働きがあります。スキンケア用品に入れてもよいでしょう。 |
タイム | 強力な抗菌効果があるので、風邪予防のうがいやエアフレッシュナーにおすすめです。 |
その他のおすすめ
虫よけ効果のあるミントやバジルをチンキにすれば、虫よけスプレーが作れます。
入浴剤として使うならローズマリーなどもおすすめ。血行促進効果に加えて抗菌効果が期待できます。