チャノキ(緑茶・グリーンティー)|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

チャノキ(緑茶・グリーンティー)|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについても解説

お茶が取れる木のチャノキには大きく分けて中国型のシネンシス種(Camellia sinensis)と、インド型のアッサム種(Camellia assamica)の2種類があり、日本や中国で緑茶を作る際はシネンシス種の葉を使います。

※以下シネンシス種をチャノキと表示します。

目次

チャノキ(緑茶・グリーンティー)の特徴・形状

  • 日本茶でも定番で、植物学的にはツバキの仲間
  • 抗酸化・コレステロール値の抑制に活躍する
  • 抗菌効果があるので風邪予防にも良い

チャノキは中国南西部、インド、スリランカを原産地とするツバキ科ツバキ属の常緑樹で、お茶の葉が取れる木として知られています。

日本でも静岡を中心にたくさんの産地があり、なじみ深い植物ですよね。

緑茶・紅茶・ウーロン茶は、すべてこの植物が原料。発酵度の違いで味やお茶の色、含まれる成分などが異なってきます。中でも緑茶はポリフェノールの一種・カテキンが豊富!抗酸化や抗菌、コレステロール値の低下などに効果的といわれます。

植物的な特徴

チャノキは樹高1~5mほどに育つ低い木で、5~7㎝ほどの先が尖った楕円形の細長い葉を持ちます。

この葉は枝に互生し、深緑色をしています。開花期は10~12月で、ツバキに似た形を持った花が咲きます。5~7枚の白い花びらと多数の雄しべ、1つの雌しべを持ち、やや下向きに咲くのが特徴です。

花が咲いた翌年9月頃に、緑色の丸い果実が付き成熟していきます。この実の中には褐色の種子が入っています。

収穫時期は地域や気候、品種によって異なりますが、夏挿しの場合は6月ころ、秋挿しの場合は9~10月に行われます。寒さにも強い丈夫な樹木で、若葉にはカフェインが多く、青葉になるとタンニンの量が増加します。

効果・効能

緑茶は疲労回復、高血圧などの生活習慣病、抗がん、コレステロールの調整、体脂肪減に良いとされるハーブです。

チャノキ(緑茶・グリーンティー)の主な効果・効能

生活習慣病予防に効果がある

緑茶に含まれる成分のカテキンやアルギニンには抗酸化作用があり、体内を酸化させる活性酸素を抑えて体が老化するのを防ぎます。体が酸化すると慢性疲労、高血圧、肌荒れ等様々な症状が発生するため、気になる場合は緑茶を取り入れてみるとよいでしょう。

コレステロール値の上昇を抑える

また、カテキンにはコレステロール値の吸収を抑える作用があるため、動脈硬化予防にも役立ちます。動脈硬化が進むと、血管系の病気(脳梗塞、心筋梗塞など)の症状が現れます。

脂肪燃焼効果が期待できる

カテキンには体脂肪の燃焼を促進する作用や血管を拡張する作用があり、運動と共に緑茶を摂取すると、上記の効能に加えてダイエットにも役立ちます。

抗がん作用については、カテキンの成分が細胞障害を引き起こすフリーラジカルの形成を防ぐ働きを持つためとされます。

肌や粘膜を引き締めるなど、様々な働きがある

そのほか、タンニンには肌を引き締める作用、下痢止め作用、殺菌・抗菌作用 があるとされています。中枢神経系を興奮させるカフェインも含まれていますが、鎮静作用を持つ成分・テアニンにより、作用が穏やかになります。

適応

疲労回復、高血圧、抗ガン、コレステロール値の低下、体脂肪減など

効果については人によって感じ方が少しずつ異なります。ハーブの使用について、妊娠中・授乳中、持病がある、薬を常用しているなどの場合、注意が必要になることがあります。

主な作用

  • 興奮作用
  • 発汗作用
  • 強心作用
  • 利尿作用
  • 収れん作用
  • 胃液分泌促進作用
  • 抗酸化作用

禁忌・副作用

特に知られていません。

安全性・相互作用

相互作用クラスC…相互作用が起こることが知られているハーブ。カフェインが気管支拡張薬またはアドレナリン薬剤を含む、他の中枢神経系刺激剤との薬物相互作用発現の可能性
安全性クラスⅠ…適切な使用において安全
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

チャノキ(緑茶・グリーンティー)の主な使い方

使用部位
  • 若葉

チャノキ(緑茶)は主に料理、ハーブティー、薬用に使用されています。

料理

茶葉を細かくしてふりかけやパスタ、マリネ、パン、ケーキなどのお菓子類に加えることができます。お茶で食材を煮込むこともできます。

ハーブティー

緑茶(ハーブティー)は抗菌作用・抗ウイルス作用があるため、飲むだけで風邪予防や口臭防止になります。緑茶系のティーには、抹茶・煎茶・玉露・ほうじ茶があり、通常の緑茶と同様の効果が得られます。

また、緑茶にはカフェインによる利尿作用があるため、水分が排出されます。そのため、飲みすぎると体内の水分が足りなくなり便秘になる可能性があるので注意。

発汗作用で体内の熱を下げる働きがあるため、冷え症の場合は多量摂取を避けた方が良いといわれています。

薬用

チャノキは漢方薬でも利用されており、若葉は「茶葉」、種子は「茶子」と呼ばれます。

葉は頭痛や下痢、胃もたれやのどの渇きに良いとされ、種子は痰がでる咳に効果があるとされています。民間療法として、残ったティーをうがい薬として風邪予防に使用する方法が知られています。

その他

残った茶殻を布袋に入れて入浴剤にすると、美肌作用が期待できます。種子から取れる油は、ツバキと同じ「カメリア油」として利用されることがあります。

味・香り

茶葉の青々しい香りに、甘み、苦味、渋みが混ざった飲みやすい味

チャノキ(緑茶・グリーンティー)の基本情報

学名Camellia sinensis
英名Tea plant
和名・別名チャノキ(茶の木、茶樹)
科名ツバキ科ツバキ属
分類常緑樹
原産地中国南西部、インド、スリランカ
使用部位若葉、茎
主要成分ビタミンC、アルカロイド(カフェイン、テオブロミン、テオフィリン)、タンニン、フラボノイド(クエルセチンなど)、精油(ヘキサノール、イソブチルアルデヒドなど)
作用興奮、発汗、強心、利尿、収れん、胃液分泌促進、抗酸化
適応疲労回復、高血圧、コレステロール値の低下、肌の引き締めなど

語源・由来

学名のうち属名のCamelliaは18世紀の宣教師カメルの名に由来し、種小名のsinensisは「中国の」という意味を持ちます。

歴史・エピソード他

日本での歴史・エピソード

日本にチャノキが伝来した時代ははっきりしていませんが、奈良時代の天平元年(729年)、聖武天皇が宮中にて大般若経を講義を受けた際、担当した僧侶たちに行茶と称して茶を賜りました。

平安時代に、天台宗の開祖・最澄が唐からチャノキの種を持ち帰り、翌年に同じく空海も帰国の際に茶の木の持ち帰って機内や近江に植えたことが『日本後記』に記されています。

鎌倉時代に、臨済宗の栄西が中国の製茶法を伝え、武家などで茶を飲む習慣や茶道が広まると、日本各地で茶の栽培がおこなわれるようになりました。

栄西は日本初の茶の専門書『喫茶養生記』で「茶は養生の仙薬であり、人の寿命を延ばす妙薬である」と述べています。また、『吾妻経』には1214年に栄西は源頼朝に茶の薬効を教え、これを勧めたという記載があります。

日本にもともと自生しない植物なので、野生のチャノキが生えている場所は、かつて集落や茶畑があった可能性があるそうです。

海外での歴史・エピソード

2世紀ごろの漢代に記された中国最古の本草書『神農本草経』よると、中国では紀元前からチャノキの栽培がおこなわれていました。

古くは餅茶と呼ばれる茶葉を固形にしたもの飲用しており、唐の陸羽が書いた世界最古のお茶専門書『茶経』(8世紀頃)には、以下のように作り方が記載されています。

摘んだ茶葉を蒸し、搗いて型に入れて成形し、日干し後、火で炙って乾燥して保存し、飲用する時は、それを削って粉砕し、塩を入れた湯に加えて煮た後、器に入れて飲む、とあります。

引用:http://www.ocha.tv/history/chinese_tea_history/

唐代に書かれた本草書『新修本草』で茶の薬効が紹介されたように、長らくお茶は薬として利用されいました。

嗜好品として飲まれるようになったのは、お茶が一般化した宋代以降のようです。

ヨーロッパに緑茶が伝わったのは、オランダの東インド会社が1610年に平戸で購入した日本茶が国に持ち帰られた時とされています。

参考文献

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