庭にスペースがあるので、丈夫でしっかりしたハーブを植えたいという時におすすめなのが背丈の低い低木の種類。
生長しても1mほどにしかならないものもあり、比較的世話がしやすいのがメリットです。
分類的には、「低木は高さ4m以下の木」ということになっているので、3mを超える種類もありますが、ここでは、「木だけど小さくてガーデニングにも使いやすいハーブ」をまとめてみました。
ガーデニングにおすすすめな低木のハーブ
サントリナ
サントリナは南ヨーロッパの原産で低木に分類されますが、育っても最大60㎝ほどにしかなりません。
灰色がかった緑の葉が美しく、5月~7月頃にかけてふわふわした丸くて白いお花が咲きます。そのため、別名を「コットンラベンダー」といいます。
また、サントリナには複数の種類があり、黄色い花が咲くものや葉が緑色のものもあります。特に「サントリーナ・ランブルックシルバー」と呼ばれる種類は白銀色が強く、ガーデニングスタイルの1つ「ホワイトガーデン」に取り入れられます。
虫よけ効果がある
一つの株からたくさんの茎が密集して生えるので、ガーデニングでは空いたスペースを埋めるために植える場合もあり、園芸種として人気のサントリナ。
ハーブとしては虫よけ作用を含み、近くにある植物を虫害からを守る働きがあります。蚊よけの効果もあるということなので、こちらを目的に育ててみるのも良いかもしれませんね。
ローズヒップ
ローズヒップは、和名でイヌバラといいバラ科植物の一種です。成長すると1~3 mに育ち、落葉性のため冬になると葉が落ちます。
葉も実も小ぶりで3㎝~5㎝ほど。ハーブとしては果実(偽果と呼ばれる)を収穫させて乾燥させたものをハーブティーにしたり、新鮮な果実を圧搾してオイルにします。
ビタミンCが豊富
ビタミンCの含有量は100gあたり426mgといわれ、レモンの20倍以上の含有量を誇るそう。実際、ローズヒップで作ったハーブティーは非常に酸っぱく、甘味などによる中和があったほうが飲みやすくなります。
ビタミンCは水溶性なので、ハーブティーにすることで肌の新陳代謝により美肌などの美容効果が期待できます。
チェストベリー
チェストベリーは2~6mになる植物で、ラベンダーやセージと同じシソ科のハーブです。
7月~9月ごろにライラック色の美しい花が咲きます。成長に伴い横にも大きく広がるので、地面に直接植える場合はスペースを広めにとってあげると良いでしょう。
ピリッとした胡椒に似た香りがあるため、中世ヨーロッパではコショウの代用品として使われていたこともあるそう。他にもローズマリーに含まれる1.8シオネールという香り成分も持つので、すっきりとした爽やかさも感じられます。
女性疾患に役立てられる
ギリシャ時代から用いられていた歴史の古いハーブで、主に女性疾患に用いられてきたため「女性のハーブ」という名もあります。
ハーブティーやサプリで摂取できますが、ホルモンを調整する働きがあるため、摂りすぎには注意が必要です。
ヒソップ
ヒソップは和名をヤナギハッカといい、その葉はハッカ類のような清涼感のある香りを持ちます。
学名のHyssopusはヘブライ語のezobh「聖なる木」という言葉が基になっており、古くから薬用植物として知られていました。
高さ40~60cmに育ち、夏~初秋頃に薄紫色や青色をした小さな花を、茎の周りにたくさんつけます。品種によっては白色やピンク色の花が付くこともあり、園芸種として人気があります。
冬になると葉が枯れてしまいますが、春になると根元から新芽が出てきます。昨年に木質化した部分を短くカットしてあげることで、また緑の葉茎がきれいに揃います。
ハーブティーは風邪や感染症対策に
ハーブとしては抗炎症作用や抗菌作用があるといわれ、風邪や感染症の症状を改善するのによい働きがあるといわれます。
ラベンダー
鮮やかで香りのよいラベンダーも、実は低木に分類される植物です。とはいっても1m弱のサイズ感なので扱いやすい高さ。
植えてから時間が経過すると基部が木質化してくるので、気になるようであれば、春や秋ごろに見栄えが良くなるようカットする必要があります。
リラックス効果の高いハーブ
ハーブティー、ポプリ、浸出油など様々な活用方法がありますが、その華やかな香りには人間の体にとっても有用な効果があることが知られています。
ラベンダーに含まれる酢酸リナリル・リナロールといった成分には心身のリラックス作用があり、不眠解消を目的としたサプリやハーブティーに用いられることも少なくありません。
また、抗菌効果もあるため消臭・殺菌用フレグランスでもラベンダーの名前を見かけることがありますね。
ローズ
ハーブというよりは、精油でよく活用される植物の1つですが、2000gの花から1gしか精油が取れないため希少・高価な精油とされます。
精油に用いられるのはローズオットーやダマスクローズと呼ばれる種類で、5月~6月頃の初夏に大振りで明るいピンクの花を付けます。
花という印象ですが木質化するため、樹木という分類になります。高さも大きなものでは2mに生長することも。
香りは気分を明るくさせる
ローズはバラらしいゴージャスな花の香りを持つのが特徴。オットー・ダマスク共にブルガリア産のものが最高級とされ、他の産地のものより香りが強い傾向があります。
フレグランスにも活用されるこの香りには気分を高揚させる効果があるので、なんとなく気分が落ち込んでいる時などはローズのアロマバスで心身をリラックスさせるとよいでしょう。
ローズマリー
ローズマリーも木の一種で、低木の中でも小さめの「小低木(高さ1m以下・30cm以上)」に分類されます。
実際30㎝ほどのものから1mほどまで大きさは様々で、植えてから時間が経つと茎が木質化してきます。
料理、ハーブティー、花材など多彩な使い方ができる便利な植物で、透き通るような爽やかな香りを持つのが特徴。
この香り成分(精油)は、ペパーミントなどに含まれる1.8シネオール、樟脳などに含まれるカンファ―などで構成されており、抗菌・抗ウイルス・消臭などの効果があります。
血行促進効果も
また、ローズマリーには血行促進や抗酸化にもよい働きがあるとされ、冷え対策にハーバルバスを作ったり、精油をオイルトリートメントに使用したりといった活用方法が挙げられます。
まとめ
低木に分類されるもののうち、ガーデニングに取り入れやすい種類についてでした。ラベンダー、ローズマリー…、ハーブとして結構人気の種類も見かけますね。
木に分類される植物は、茎が固い木質で覆われ、しっかりと根を張るので比較的丈夫です。
一度植えれば何年も花を咲かせてくれるうえ、薬草としての効果も期待できるので是非一つは植えてみたいところ。
育てる場合、上記の中ではローズマリーがおすすめです。カットした葉付きの枝は料理に使えるほか、細かく砕いてスパイス利用もできます。また、葉が固いためかあまり虫がつかず、虫害を受けにくいです。
スーッとした爽やかな香りを感じられるので、初めてのハーブ栽培にも良いと思います。