レディスマントル|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

レディスマントル|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

レディスマントルの特徴・形状

  • レディスマントルは「聖母マリアのマント」という意味
  • 月経前症候群(PMS)や更年期障害などの女性疾患に活用される
  • 葉に溜まったしずくが神秘的で、錬金術の材料に使われた

レディスマントルはバラ科ハゴロモグサ属の多年草で、ヨーロッパ、アフリカ、インド、スリランカなどの山脈地帯に分布する植物です。

約250種が確認されており、ハーブとしては婦人科系疾患に薬効があることで知られています。

植物的な特徴

草丈は30~45cm、根茎は木質状で根の際から茎葉が生えてきます。葉の大きさは15㎝ほどで、柔らかく短い毛が生えているため、やや白っぽく見えます。葉の形は丸く9~11つに裂ける特徴があり、葉縁に鋸歯(ギザギザ)があります。

開花時期は5~7月で、茎先に集散花序(枝先に花が付いて、その下にも細かく枝が生えて花が咲く)の黄緑色をした小さな花が咲きます。

小花を近くで見ると星のような形で、大きさは2~3㎜、花弁はなく、花弁のように見えるのはがく片です。

効果・効能

レディスマントルは、女性疾患の改善を促し、お産を助けるなどの働きがあるため「女たちの良き友(a womans’s best friend)」と呼ばれます。

生理不順を改善して周期を整えたり、生理痛の痛みを鎮めるのに役立つほか、月経前症候群(PMS)や更年期障害、性器の炎症などの諸症状に効果があるとされています。

通経作用があるため妊娠中の摂取は控えるべきですが、出産直前に陣痛を促し、出産後は母体の回復に役立つハーブの1つとされています。

含有成分の1つであるアグリモニンには止血、抗酸化、抗菌、抗炎症作用のほか、腸内環境を整える作用などがあるといわれます。そのため、口内を清浄し虫歯予防などに役立つと考えられます。

タンニンなどによる優れた収れん作用もあり、皮膚の細胞を引き締めて下痢や胃腸炎などの症状を緩和します。そのほか、抗酸化作用があるとされるポリフェノールの一種・クロロゲン酸などが含まれるのでアンチエイジング効果も期待できます。

適応

生理不順、更年期障害、下痢、胃腸炎、のどの痛み、口内炎、傷などの創傷

効果については人によって感じ方が少しずつ異なります。ハーブの使用について、妊娠中・授乳中、持病がある、薬を常用しているなどの場合、注意が必要になることがあります。

主な作用

  • 通経作用
  • 収れん作用
  • 整腸作用
  • 止血作用
  • 抗炎症作用

禁忌・副作用

通経作用があるため、妊娠中の使用は避けるようにします。

安全性・相互作用

安全性クラスⅠ…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

レディスマントルの主な使い方

使用部位
  • 葉、花

レディスマントルは主にハーブティー、薬用酒、料理、観賞用に使用されています。

ハーブティー

生理痛や月経前症候群のつらい症状がある時に摂取するとよいハーブのひとつ。また、口内炎や歯肉炎など口内トラブルがある時に、ティーでうがいをすると殺菌に役立ちます。

痛みがある時は鎮痙作用のあるジャーマンカモミール、イライラするなど気分が落ち着かないときはバレリアンやパッションフラワー、ホルモンバランスを整えたい時はブラックコホシュなどがブレンドしやすいと思います。

薬用ほか

葉のティーを使った湿布は、湿疹などの症状がある時に良いとされます。止血・抗菌作用があるので、切り傷などにも使えます。

また、ポリフェノール類が豊富なので美肌効果もあり、化粧品などに使うこともできるとのことです。

味・香り

草木の香りで、味はあまり感じられない。

レディスマントルの基本情報

学名Alchemilla vulgaris、Alchemilla xanthochlora
英名Lady’s Mantle
和名・別名セイヨウハゴロモグサ(西洋羽衣草)、ライオンズフット、デューカップ
科名バラ科ハゴロモグサ属
分類多年草
原産地ヨーロッパ、アフリカ、インドなどの山脈
使用部位葉、花
主要成分没食子酸、クロロゲン酸、アグリモニン、タンニン、苦味質、サリチル酸、精油
作用通経、収れん、整腸、止血、抗炎症など
適応生理不順、更年期障害、下痢、胃腸炎、のどの痛み、口内炎、傷などの創傷

語源・由来

属名のAlchemillaはアラビア語のAlkemelych「錬金術」に由来し、種小名のvulgarisは「普通の」という意味があります。

英名のレディスマントル(Lady’s Mantle)は「聖母マリアのマント」の意味があり、形がマントに似ているためといわれます。和名では西洋羽衣草(セイヨウハゴロモグサ)といい、「日本の植物学の父」牧野富太郎博士が英名を意訳してこの名を付けました。

歴史・エピソード他

錬金術の材料になったハーブ

レディスマントルは学名にAlchemilla「錬金術」という名がつくように、中世錬金術が盛んだったヨーロッパなどで、貴金属を錬成する際の材料とされました。

レディスマントルの葉には朝露などのしずくが集まる特徴があり、このしずくには不思議な力があると信じられていました。一説には、非金属を金や銀などの貴金属に変える霊薬「賢者の石」を作る際の材料として利用されたといわれます。

また、中世には女性疾患の薬効が認められており、関わる症状に処方されるほか、永遠の若さを保つとされました。

17世紀のハーバリストであるニコラス・カルペパーは著書『カルペパーハーブ事典(The complete herbal)』の中で、傷による炎症や出血、嘔吐、下痢、ケガなどによく、妊娠を安定させて出産を助ける効果があると述べています。

ライオンの足や聖母マリアのマントに見立てられる

また、葉の形がlionの足型に似ているため、ラテン語で語でレオン・ポディウム(ライオンの足)という呼び名もあります。

中世以降、縁取りのある葉の形がマントに似ているため、不思議な力と相まって神聖視されるようになり、聖母マリアのマントに見立てられました。

レディスマントルの名を付けたのは、16世紀ドイツの植物学者ヒエロニムス・ボックで、ドイツ語では「フラウエンマントル(Frauenmantle)」といいます。

参考文献

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