マルベリー|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

マルベリー|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

マルベリーの特徴・形状

  • 西洋桑と呼ばれる桑の木の一種
  • 葉には血糖値を抑える働きがある
  • GABAが含まれ、リラックス効果もあるとされる

マルベリーは、中国北部やインドを原産地とするクワ科クワ属の落葉高木です。

マルベリーとは日本でいう桑のことで、日本原産種のヤマグワに対して、マルベリーは西洋桑と呼ばれます。また、広義ではブラックマルベリー(Morus mesozygia Stapf)もしくはホワイトマルベリー(Morus alba L.)の2種類がマルベリーと呼ばれます。

メディカルハーブとして利用されるのは葉部ですが、実も熟してきたらおいしく食べられます。比較的成長が早い樹木で、3年程度で実が収穫できるようになります。

植物的な特徴

成長時の樹高は10〜20 m、樹齢の高いものほど縦の筋が増えていきます。葉はハート形に近い卵型の単葉で先が尖り、葉の縁には鋸歯(ギザギザ)があって茎から互生します。

花期は3~4月で、黄緑色の尾状花序(細い円筒状の花の集まり)は「ドドメ」とも呼ばれます。その後5~6月頃になると、マルベリーの果実が収穫できるようになります。果実はキイチゴに似ており、大きさは3~4㎝または1㎝程度と品種によって異なってきます。

また、マルベリーは雌雄異株の果樹なので、結実させる場合は一対で育てます(雌雄同株の場合もあります)。

効果・効能

マルベリーの葉は血糖値の上昇を抑える働きがあるため、糖尿病や高血圧、肥満症の予防などに用いられています。

葉に含まれる成分のデオキシノジリマイシンが、ニ糖類分解酵素のa-グルコシダーゼの働きを阻害して、糖の吸収・分解を遅らせます。さらに吸収されなかった糖質は、大腸で分解されて有機酸(乳酸・酢酸など)を生みだすため、腸内環境を改善して便秘を改善する作用もあります。

また、マルベリーはクロロフィル、鉄、カルシウム、亜鉛などのミネラルが豊富です。ビタミンCやカリウムをはじめするビタミン類も含まれるので、デトックスや美容にも良く、美白効果があることが知られています。鉄分など不足しがちな栄養素の補給にも役立つでしょう。

また、マルベリーには神経の興奮を抑えるGABAというアミノ酸の一種が含まれています。そのため、リラックス効果もあるといわれます。その他、穏やかな解熱作用などの効能を持ちます。

適応

糖尿病、高血圧、貧血、体力回復、コレステロール値の調整など

一般的にハーブは穏やかな作用を持ち、体に無理なく影響を与えますが、必ず効果が表れるものではありません。妊娠中・授乳中、持病がある場合や医薬品を常用している場合はハーブの使用を控えるか、事前に医師の判断を仰ぐようにしてください。

主な作用

  • コレステロール値低下作用
  • 血圧降下作用
  • 利尿作用
  • 発汗作用
  • 消炎作用
  • 鎮咳作用
  • 解熱作用

禁忌・副作用

特にありません。

安全性・相互作用

安全性クラス1…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

マルベリーの主な使い方

使用部位
  • 果実

マルベリーは主に料理、ハーブティー、薬用に使用されています。

料理

黒く熟したマルベリーの果実は甘酸っぱくて生食でき、果実酒やジャムに加えて食べられます。果実も低カロリーで、ミネラルやビタミンが豊富なのが特徴です。

あまり生の物は見かけないので、冷凍やドライのものや加工食品を購入すると長持ちします。ヨーグルトやスムージー、ケーキなどに加えて楽しめます。

ハーブティー

マルベリーは色の濃いお茶で、緑茶のような味わいです。食前にマルベリーティーを飲むと血糖値の急激な上昇を抑えてくれるので、糖分の摂りすぎが気になる時におすすめです。

薬用

マルベリー(Morus alba)の根や皮は「桑白皮」という名で日本薬局方に収載され、降圧、緩下、去痰、鎮咳、鎮静などの効能があるとされています。かつて民間ではマルベリーの葉が「桑茶」として親しまれていました。収穫した葉を天日乾燥させた後、細かくすりつぶしてお湯を注ぎ飲用します。

味・香り

苦みのある緑茶のような味で、少し海藻のような香りもある。

マルベリーの基本情報

学名Morus alba
英名Mulburry、White mulberry、Common mulberry、Silkworm mulberry
和名・別名クワ(桑)
科名クワ科クワ属
分類落葉樹
原産地中国北部、インド
使用部位
主要成分デオキシノジリマイシン、GABA(γ-アミノ酸)、クロロフィル、フィトステロール、ミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛)
作用コレステロール値低下、血圧降下、利尿、発汗、消炎、鎮咳、解熱など
適応糖尿病、高血圧、貧血、体力回復、コレステロール値の調整など

語源・由来

属名のmorusはケルト語の「黒」に由来し、ブラックマルベリー(Morus nigra)など、実が黒くなる同じ属種にちなんでつけられた名です。

種小名のalbaにはラテン語の「白」という意味があり、メディカルハーブとして有名なホワイトマルベリー(Morus alba)は、果実が白いまま赤くならずに熟することがあるためこの名が付いたと考えられています。

歴史・エピソード他

中国で蚕用のマルベリーが栽培され始めたのは4700年以上前といわれ、日本には3世紀ごろ養蚕の文化と共に伝来しました。古くから生薬として重宝され、2世紀の中国では桑の葉を「桑葉(ソウヨウ)」と呼び、干した葉で煎じたお茶をを「神仙茶」と呼びました。

明代の医師・本草学者である李時珍は、著書の『本草綱目』(1596年)で、桑葉を煎じてお茶の代わりにすると消渇(糖尿病)を止める作用があると述べています。

日本では鎌倉時代には栄西が『喫茶養生記』で桑の葉を取り上げ、飲水病(現在の糖尿病)に摂取を勧めました。

その後、江戸時代に貝原益軒が編纂した『大和本草』(1709年)では、「桑の木を中風の薬として利用し、桑の葉を加えて煎じると治る」などの説明が行われています。当時は中風(脳血管障害(脳卒中)の後遺症である麻痺、言語障害、手足の痺れや麻痺など)の薬として人気を集めていました。本格的に栽培され始めたのは江戸時代末期とされています。

ヨーロッパでは12世紀ごろに導入され、15世紀の南米で栽培がおこなわれていたそうです。イギリスの童謡マザー・グースでは『桑の木の周りを回ろう/The Mulberry Bush』という歌が収録されています。

参考文献

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