チェストベリー(チェストツリー)|ハーブの特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて

チェストベリー(チェストツリー)|植物の特徴・効能/効果・主な使い方・歴史 学名の由来や味・香りについて
目次

チェストベリーの特徴・形状

  • コショウに似た香りがあり、古くはコショウの代用品だった
  • 女性特有の症状に用いられるハーブのひとつ
  • 更年期のホットフラッシュや汗、気分の落ち込みにも〇

チェストベリーはチェストツリーという木に実る小さな果実で、コショウに似たピリッとした味と苦みが特徴のハーブです。

南ヨーロッパ、西アジアを原産とするシソ科ハマゴウ属の落葉低木で、高さは2~3mほど、樹木全体から爽やかな香りがします。

植物的な特徴

枝や灰色の柔らかい毛が生えているため、葉は灰緑色に、葉の裏側はより白みがかって見えます。葉は長さ5~10cmほどの披針形(丸みがあり先が尖っている)の小葉5~7枚が集まって構成される掌状複葉で、葉の縁はほぼ全縁です。

開花期は7〜9月で、淡い青紫の花を咲かせます。この花は、長さ約15cmの円錐花序(茎の周りに花が咲く)で、花冠が二唇状に5裂します。さらに、雄しべが4本あって花の外につき出ます。品種によっては白やピンク色の花もあります。

チェストベリーと呼ばれる果実は直径5mm程度の丸い核果で、内部に4つの種子を含みます。未熟な果実は白色で、熟すると赤くなり、乾燥すると灰褐色に変化。果実は1本の木から、15年以上収穫することができるそうです、

効果・効能

チェストベリーはホルモンを調整し、女性特有の症状に多くの効能があるため「女性のハーブ」と呼ばれます。

女性ホルモンの一種であるプロゲステロンの分泌を促す作用があり、生理不順や生理痛、月経過多、月経前症候群(PMS)などの婦人科系疾患に適用されてきました。生理の周期を整え、同時に体のむくみや胸の張りなども抑えてくれます。

更年期のホットフラッシュや汗、気分の落ち込みにも効果があるとされるほか、子宮筋腫や子宮内膜症にも適用が試みられています。そのほか、経口避妊薬(ピル)を中止した後、ホルモンバランスを整えるのにも有効です。

ホルモンバランスの崩れやすい排卵後から次の月経前にチェストベリーを服用すると、月経前症候群(PMS)の症状が和らぎ効果を感じやすいといわれています。

他にも、含有成分には抗炎症作用や鎮痛作用のある成分(アウクビン)や、抗酸化作用のある成分(ビテキシン)などが含まれています。

適応

生理不順、生理痛、月経前症候群(PMS)、更年期障害、更年期のうつ、催乳、など

一般的にハーブは穏やかな作用を持ち、体に無理なく影響を与えますが、必ず効果が表れるものではありません。妊娠中・授乳中、持病がある場合や医薬品を常用している場合はハーブの使用を控えるか、事前に医師の判断を仰ぐようにしてください。

主な作用

  • 殺菌作用
  • 抗菌作用
  • ホルモン分泌調整作用
  • 鎮痛作用
  • 催乳作用

禁忌・副作用

  • 子供、妊娠中・授乳中の人、婦人科系疾患が場合は使用を避けます。
  • 経口避妊薬の効果を下げることがあります。
  • まれに悪心、かゆみ、頭痛、胃腸障害など軽度の副作用が出ることがあります。

安全性・相互作用

安全性クラス1…適切な使用において安全
相互作用クラスA…相互作用が予測されない
『メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版』より

チェストベリーの主な使い方

使用部位
  • 果実

チェストベリーは主にハーブティー、精油に使用されています。

ハーブティー

生理不順や生理痛、月経前症候群(PMS)、更年期障害の症状があるときにチェストベリーのハーブティーを飲むと痛みが和らぎ、気分が落ち着きます。

独特の風味があるので、味が気になるときはほかのハーブとブレンドすると飲みやすくなります。同じく婦人科系の症状に良いとされるレディスマントルや、味をまろやかにするジャーマンカモミールなどが組み合わせやすいです。

精油

チェストベリーから採れたアロマオイルも販売されています。ハーブティーと同様の効果が得られるので香りを嗅いだり、オイルとして肌にぬると良いでしょう。

味・香り

果実はコショウのような香りがあり、やや苦みがある味。

チェストベリーの基本情報

学名Vitex agnus-castus
英名chasteberry、vitex、chaste tree、Abraham’s balm、lilac chastetree、monk’s pepper
和名・別名セイヨウニンジンボク、イタリアニンジンボク
科名シソ科ハマゴウ属
分類落葉性低木
原産地南ヨーロッパ、西アジア
使用部位果実
主要成分イリドイド配糖体(アウクビン、アグヌシド)、フラボノイド、フラボノイド配糖体(ビテキシン)、ルテオリン配糖体、精油(1.8シオネール)など
作用殺菌、抗菌、鎮痛、催乳、ホルモン分泌調整
適応生理不順、生理痛、月経前症候群、更年期障害、更年期のうつ、催乳など

語源・由来

学名のうち属名のVitexは「結ぶ」という意味で、過去にこのハーブがかご細工に使われていたことに由来します。ラテン語のvieoが基になっています。種小名のagnus-castusは「 純潔な子羊 」という意味で、ギリシャ語 agnosとラテン語で「純潔な」を意味するcastusが組み合わさったものです。

歴史・エピソード他

古くから婦人科系疾患に用いられており、ギリシャ時代には既に「月経痛を和らげ、母乳の出をよくする」効果が知られていました。

古代ギリシャの医師ヒポクラテスは、子宮からの出血に葉を浸したワインを飲ませるのが良いとし、古代ローマの医師ディオスコリデスは著書『マテリア・メディカ』の中で果実の鎮静作用について述べました。その他、古代ローマの著述家・大プリニウスの『博物誌』にも記載されています。

チェストベリー(Chasteberry)の「chaste」は純潔・貞節・処女などの意味があり、伝統的に純潔を守るのに役立つと考えられていました。中世の修道僧は性欲の減退にチェストベリーを使ったため、この木は「修道僧のコショウ(モンクスペッパー:monk’s pepper) 」とも呼ばれます。中世以降もチェストベリーは純潔のイメージが強く、イングランドの詩人ジェフリー・チョーサーは自らの詩の中で、月の女神で処女神ディアーナ(アルテミスとも)と結びつけました。

また、コショウのような香りがするため、かつては黒い実を高価なペッパーの代用品として利用され、各地で栽培がおこなわれていました。

その後、ドイツでは第二次世界大戦中に戦禍のストレスなどを受けた女性のため、チェストベリーの臨床試験が行われました。それ以降、ドイツでは婦人科系の疾患にチェストベリーの薬効についての科学的研究が進められ、女性ホルモン様などの作用が解明されました。

日本には明治時代中期に渡来したそうです。

  

参考文献

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