ハーブ・スパイスが多く属する科の特徴|アブラナ科・キク科・シソ科・ショウガ科・セリ科・バラ科

ハーブ・スパイスが多く属する科の特徴|アブラナ科・キク科・シソ科・ショウガ科・セリ科・バラ科

植物をいくつか並べてみると、時々良く似た形をしているものがありますよね。

違う種類の植物でも分類学上の科や属が同じだと、見た目や含まれる成分などに何らかのよく似た特徴があります。

ハーブ・スパイスも同じで、名称は違っても同じ科・属の仲間だとよく似た薬効を持つことがあります。

分類を知ること自体に実用的な意味はないように感じるかもしれませんが、科や属ごとにそのグループの特徴を知っておくと、使う時や育てる時のヒントになると思います。

目次

ハーブ・スパイスが多く属する科の特徴

植物の科は400以上に細かく分類することができますが、ハーブと呼ばれる植物多いのはキク科、シソ科、セリ科です。

それ以外ではバラ科、アオイ科やマメ科などにもいくつかのハーブが分類されています。

ハーブやスパイスが多い科6つ

アブラナ科辛味・苦味を持つ傾向があり、葉物野菜として食べられる植物が多い。料理ではお浸しなどに使える。
キク科ハーブに多い科。全体の種類の数が多いため、同じキク科でも種類ごとに様々な薬効を持つ。園芸用にも人気がある。
シソ科ハーブに多い科。抗菌作用や鎮静作用があり、スーッとした芳香がある。収穫するときは新芽の出ているすぐ上でカットする。
ショウガ科地下茎や花穂を利用する。ジンジャー、ターメリックなどシャープな香りを持つものが多い。
セリ科クミン、コリアンダーなど、葉も種子も食用に用いられるものが多い。移植を嫌うものが多いので、なるべく何度も植え替えない。収穫するときは外側の葉から。
バラ科花は芳香が良く、果実は酸っぱいものが多い。リンゴやイチゴもバラ科に含まれる。

アブラナ科

アブラナ科はおよそ400属3000種が存在するとされ、北半球の暖かい地方、ヨーロッパの地中海地方などでよく見かけられます。

アブラナ科の植物は、花びらが4枚の十字型をした花を咲かせるため、昔は「十字花科」と呼ばれていたそうです。丸みの帯びた花びらだったりと、細かな形状は種類によって違いが。

また、さやえんどうのように薄い膜の中に果実が入った「角果」を付ける特徴があります。

スパイスとして利用されるものが多い

辛味を加えるスパイスとして使われるものが多く、鼻にツーンと来るワサビ、「和からし」やお浸しに使われるカラシナが有名です。

アブラナ科の植物に含まれる辛みや苦みは害虫を避ける働きがあり、人はこの作用を味付けに使っているわけです。

アブラナ科にはハーブだけでなく、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、チンゲンサイ、ミズナなど多くの葉物野菜が含まれています。

アブラナ科のハーブ・植物

ワサビ、クレソン、セイヨウカラシナ、マカ、アブラナ、ルッコラ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、チンゲンサイ、ミズナ、カブ、コマツナ、ナズナ、イヌガラシ、ダイコンなど

キク科

キク科植物は丈夫で様々な地域・気候に対応するため種類がとても多く、世界で950属20000種が知られています。日本にも360種ほどのキク科植物が存在するそう。

キク科のノースポールやカモミール、ダンディライオン(タンポポ)は、茎先に可憐な花を咲かせます。

この花は実際にはたくさんの小花で1つの花を構成しており、この形態を頭状花序と呼びキク科植物を特徴づけています。

さらに、小花にも筒状花と舌状花の2種類があって、種類ごとに多彩な姿を見せてくれます。

有名なハーブや薬効の高い種類が多い

ハーブの中でもキク科植物の種類は多く、ハーブティーで有名なジャーマンカモミール、免疫力を上げるエキナセア、肝臓機能を強化するアーティチョークなどが挙げられます。

スパイス利用されるものは少なく、薬用を目的としたハーブとしての利用や、園芸や観賞用に育てられる種類が多い傾向にあります。

キク科のハーブ・植物

アーティチョーク、アルニカ、エキナセア、カレンデュラ、コルツフット、ジャーマンカモミール、サフラワー、ダンディライオン、チコリ、バードッグ、フィーバーフュー、ミルクシスル、ヤロー、コスモス、サントリナ、ダリア、デイジー、ノースポール、ヒマワリ、マーガレット、ヤグルマギク、リーフレタス、フジバカマ、ガーベラなど

シソ科

シソ科はハーブが多く含まれる科の1つで、約180属3500種が知られています。

熱帯地域から涼しい亜寒帯や高山地域まで世界各地に広く分布。温かく乾燥した気候を好むものが多く、地中海地方で多数見かけられます。

植物的には茎の断面が四角く、葉は対生、花は唇形花になる特徴があります。

清涼感のある香りを持つ

シソ科のハーブにはバジル、ミント、オレガノ、タイム、ローズマリー、ラベンダー、セージ、レモンバームなど定番のハーブが多く、薬効的には抗菌作用や神経を鎮めてリラックスさせる作用(鎮静作用)などを持つ傾向があります。

また、シソ科ハーブの多くはスーッとした爽やかな芳香があり、水蒸気蒸留することで精油が採れます。

シソ科のハーブ・植物

オレガノ、セージ、チェストベリー、タイム 、バジル、マジョラム、ラベンダー、レモンバーム、シソ、エゴマ、ムラサキシキブ、モナルダ、ラムズイヤー、セイヨウニンジンボク、ウツボグサなど

ショウガ科

ショウガ科は熱帯地方を原産地とする植物群で、およそ50属1600種があるといわれます。

地下茎が発達し、種類ごとに変わった形の花が咲く特徴があります。地下茎からは葉のさやが折り重なって構成される、偽茎と呼ばれる茎が生えてきます。

根茎を使うものが多く料理に役立つ

ショウガ科はショウガやミョウガのように刺激のある香りや辛み・苦みを持ち、風味が豊かな種類が多いためスパイス扱いされることが多く、主に地下茎や花穂を薬味として利用します。

カルダモンのように種子を利用する場合もあり、料理の味付け・香りづけに役立つ場合が多いです。

ショウガ科の中でもターメリック(ウコン)は黄色色素のクルクミンを利用して、染色を行うこともできます。漢方の生薬に使われたりと、様々な薬効を持つ種類も多いです。

ショウガ科のハーブ・植物

ミョウガ、クルクマ、ゲットウ、ジンジャー、ターメリック、カルダモンなど

セリ科

セリ科は主に北半球の温帯に分布する植物群で、約250属3000種が確認されているそうです。

セリ科の花は、茎先に複数の小花が集まって構成される複散形花序で、傘型になる特徴があります。葉の形もやや独特で、セリ科植物では、細い線状の葉や細かい切れ込みのある葉を良く見かけます。

がん予防に効果があるといわれている

セリ科植物の多くに細胞に変化を起こす働きをする変異原を抑える作用があるといわれ、アメリカでがん予防のために発表された「デザイナーフーズ計画」では、セリ科は重要な食材に定められていました。

セリ科のハーブは植物の爽やかな芳香があり、コリアンダー(パクチー)やチャービルなど、独特の香りを持つ種類も含まれます。

葉と種子どちらも食べられる種類が多く、アニスやキャラウェイなどスパイス利用されるものもあるので、乾燥品をストックしておくと幅広く料理に活用できそうですね。

セリ科のハーブ・植物

アンジェリカ、アニスシード、キャラウェイ、ゴツコーラ、コリアンダー、チャービル、ディル、フェンネル、パセリ、アシタバ、セロリ、セリ、ニンジン、ミツバなど

バラ科

バラ科の植物は世界各国に分布し、海岸~高山まで幅広く自生しています。科全体では約100属2000種が知られています。

花は放射状かつ左右上下対照的に咲く場合が多く、がく裂片と花弁が各5枚、雄しべは多数みられるなどの特徴を持ちます。

種類が豊富で果実や種子を活用する

バラ科というと園芸種のバラというイメージが強いですが、リンゴやスモモ、イチゴなどのフルーツ類、桜などもバラ科植物に含まれるため、野草・栽培問わず種類はとても豊富。

食用としては果実や種子を利用する場合が多く、ポリフェノールの一種である色素成分・アントシアニンなどを含むものは、イチゴのように赤みのある見た目をしています。

ハーブのうちでは、ローズ(バラ)など花の部位を使う華やかな香りがあり、ワイルドストロベリーやラズベリーのように果実を使うものは酸味を持つものが多い傾向があります。

ベリー系はビタミン類が豊富なものが多いので、栄養補給に役立つでしょう。

バラ科のハーブ・植物

アグリモニー、ホーソン、メドウスイート、ラズベリーリーフ、レディスマントル、ローズ、ローズヒップ、ワイルドストロベリー、アンズ、イチゴ、桜、スモモ、ナシ、プルーン、ブラックベリー、ビワ、モモ、ヤマブキ、リンゴなど

まとめ

ハーブ・スパイスの多い科を取り上げましたが、ハーブ・スパイスと呼ばれる植物ははアカバナ科、イチョウ科、イネ科、ミカン科、ツツジ科etc多くの科に存在します。

どうやって科目を見分けるのかという話ですが、花や葉の形など見た目を確認するのが一番簡単な気がします。

キク科やセリ科、アブラナ科なら花の形を見ると判断しやすくなりますね。

その他、ショウガ科のように使用部位で確認することもできますし、シソ科など香りが特徴的な場合もあります。

ハーブのサブ知識として、科名と合わせて原産地などを知っておくと、より適切に栽培・管理・保存ができるようになるはずです。

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