ハーブの種類によっては、肌荒れや傷口に当てると回復効果を高める「湿布」が作れます。
よくあるバップ剤ではなくハーブティーにタオルを浸して作る簡単なものですが、ハーブの植物成分が肌から浸透して体に癒しを与えます。
さらに、温かいお湯で作ると、その熱で血行促進効果も得られるというメリットもあります。
今回は肌ケアにおすすめな湿布の作り方と、ハーブについて紹介します。
ハーブで作る湿布とは?
ハーブに含まれる有効成分は主に、水に浸すと抽出される水溶性の成分と、油で抽出できる脂溶性の成分に分かれます。
ハーブを使ってつくる湿布剤は上の2つのうち、水溶性成分を用いて患部をケアする方法のひとつ。通常のハーブティーをつくり、ガーゼなどの布に浸してから直接肌にあてるのが特徴です。
皮膚からハーブの成分が浸透するため肌の炎症や、関節の痛み、筋肉痛など軽度の症状に対して穏やかに働きかけてくれます。
温湿布・冷湿布科の違いや、使うハーブの種類によっては血行促進、保湿や収れんなど美容目的でも利用できます。
温湿布と冷湿布
湿布剤には温湿布と冷湿布の2種類があります。
温湿布は主に筋肉痛や肩こりなど、血液循環を良くすることによって症状の改善が目指せる場合に使用します。一方、冷湿布は打撲などの急な痛みがあるとき、風邪などの発熱があるときに体を冷やす目的で用います。
- 温湿布 … 筋肉痛、関節痛、血液循環の改善、慢性的な症状、炎症
- 冷湿布 … 打撲、発熱、急性の炎症
皮膚から有効成分が浸透して作用するという働きはどちらも同じなので、症状に合わせて使い分けを行います。
湿布の効果
①皮膚に直接作用する
湿布剤は肌に直接当てるため、患部の痛みやつらいコリにピンポイントに作用します。
ハーブティーが体全体に作用をもたらし緩やかなケアを行うのに対して、気になる部分だけをケアするため、症状の速やかな改善が期待できます。
②目的の作用以外も同時に利用できる
1種類のハーブに含まれる成分は1つだけではなく、様々な作用を持ちます。
そのため、使用するハーブやブレンドによっては「消炎作用で炎症を抑えた後に、粘膜保護作用で肌を保護する、収れん作用で肌を引き締める」など複数の効果が得られます。
湿布を作る前に(注意点)
- 容器やガーゼ類は清潔なものを使用します。
- ひび・あかぎれなど肌トラブルがある場合は刺激を感じやすいため、注意が必要です。
湿布のつくり方
必要な道具・材料
- 蓋つき鍋
- ざる
- 洗面器またはボウル
- ガーゼ
- 好きなハーブ … 10g
- 熱湯 … 500ml
温湿布
作りかた
- 鍋に水を入れ、沸騰させます。
- 火を止めてから細かくしたハーブを入れます。蓋をして約10分間抽出します。
- ざるを使って漉し、洗面器などに移します。
- 抽出液が温かいうちにガーゼなどの布を浸し、軽く絞って患部にあてます。
- 5分~10分くらいして冷えてきたら布を肌から離します。
ポイント
お湯が適温(少し熱めに感じるくらいの温度)になるまで成分をじっくり抽出します。
冷湿布
温浸剤(または冷浸剤)を冷やしてから湿布する方法。捻挫や打撲の直後、軽いやけど等患部を冷やしたい急性症状に適しています。
- 鍋に水を入れて沸騰させます。
- 沸騰したら火を止めて、細かくしたハーブを入れます。蓋をして湯が冷めるまで抽出します。
- ざるを使って漉し、洗面器などに移します。
- 冷蔵庫に入れてしばらく冷やします。
- 抽出液にガーゼなどを浸して軽く絞り、患部にあてます。
ポイント
布が冷たくなったら取り換え、再度浸して湿布を数回繰り返します。
精油を用いる場合
湿布剤に精油を加えることもできます。この場合は、漉した抽出液に精油を1滴~2滴加え良く混ぜてから布を浸します。
※精油の原液が肌につかないよう注意。
湿布におすすめのハーブ
温湿布には血行促進作用、鎮痙作用、冷湿布には消炎作用、鎮痛作用、鎮痙作用などの作用を持つハーブを選ぶと効果が期待できます。
ローズマリー | 筋肉痛や関節痛があるときにおすすめのハーブ。血行促進効果があるため、温湿布を当てれば患部を温め痛みをやわらげてくれます。 |
ラベンダー | 神経の緊張による血液の収縮を緩和させる働きがあるため、結果的に血行促進に役立つ効果があります。抗菌作用もあり。 |
カレンデュラ | 皮膚炎や肌荒れなどの肌トラブルによく使われるハーブ。消炎作用で皮膚にある細胞の修復を促すほか、抗菌作用により患部の殺菌を行います。 |
ジャーマンカモミール | 鎮痙・鎮痛・消炎作用などがあるので、胃けいれんなど胃腸の痛みがある時におすすめです。作用が穏やかで子供にも使えます。 |
ウスベニアオイ | 豊富な粘液質が細胞を保護し修復を助けます。皮膚炎、湿疹、傷のある場所に当てることで症状を緩和するといわれます。 |
改善したい症状がはっきりしている時はシングルハーブティーでも良いですが、複数のハーブをブレンドしたハーブティーを使うことでより多くの効果を得やすくなります。