家庭菜園でよく使うハーブや気に入ってるハーブは、もっと増やしてみたくなったりしませんか?
「株を増やす」といったときに、まず思い浮かべるのが
- 新しい苗を買う
- 種から育てる
といったルートなのですが、新しい苗を買うとお金がかかる、種から育てるのは時間がかかりすぎるというデメリットがありますよね。
しかし、種類によっては費用をかけずに株の数を増やすこともできます。
株の殖やし方にはいくつかの方法があり、料理でよく使われるバジル、ハーブティーなどに活用されるミントなどは「挿し木」と呼ばれる方法が使われます。
今回はこの「挿し木」のやり方についてざっくり紹介します。
基本的な挿し木の方法
- 植物から葉の付いた茎を切り取る
- 茎をカップなどに入れた水に1週間ほど浸す
- 浸している間は毎日水を取り替えること
- カットした茎から根が出てきたら、小さめのポットなどに土を入れて茎を移す
- 根が十分に伸びるまで、室内の半日陰で管理
- 根が伸びたら地植え・鉢・プランターなどに移して完了
鉢植えや地植えができるようになるまで1週間~2週間ほどの時間がかかります。が、土を変えたり水をあげる以外はほぼ放置でOK。
一度やり方を覚えれば、どんどん数を増やしていくことができるようになります。
挿し木のポイント
カットした後、根が十分に伸びていないまま外のプランターなどに移すと、水分をうまく吸収できずに枯れてしまうことがあります。(特に夏は要注意)
室内で管理するときは、土に水を与えてなるべく水分を切らさないようにします。一方で与えすぎると根腐れのリスクもあるので、その点にも注意が必要です。
実践
アップルミントを育てていたところ、強風が吹く日に根元近くから茎が一本ボキッと折れてしまいました…。
ミントはすぐ増えるしあまり気にしなくてもいいかなあと思ったりもしましたが、やっぱり良く育っていた部分を捨てるのはもったいないような気がして、再生させるために挿し木をしてみました。
まず、カットした茎の下の方にある葉は、あとあと土を植えるときにやりにくくなるので取り除きます。
葉を取り除いたらコップや瓶に水を入れて、茎の切り口がしっかり水に浸かるようにします。水は毎日取り換えましょう。
茎から新しい根が出てくるまで、室内のあまり日差しの強くない場所に置いて管理します。
↑1週間ほどでだいぶ伸びてきました。このままではまだ風の吹く外では植物が安定しないので、もう少し根を伸ばす必要があります。
新しい根はまだ弱く、水が切れるとすぐにしなびてしまうので、水分管理には気をつけたいところ。よく見ると実は葉脈や根の近くから新芽が出ています。
↑小さめのポットに移したところ。根が伸びるまでは茎がぐらつくので、根元に土を寄せたり、簡単な支えを作って倒れないようにするのがベター。
強い直射日光が当たらない、半日蔭で養生させます。何日くらいで根が十分に伸びるのかは植物や状態によるので、何とも言えないのですが、今回1種間ほどはポットで根が伸びるのを待ちました。
挿し木用の土について
土については挿し木・種まき専用の土が市販されているので、それを使うのが一番無難です。
自分で配合する場合は、バーミキュライトを入れると保湿・抗菌効果で挿し木がうまくいきやすいといわれます。
↓ここでは土はこちらを使用しています。
根が伸びてきたら移し替え
↑根がポットの底まで出てきたので、外のプランターに移し替え。挿し木用に使った土も混ぜて、植物が倒れないよう安定させます。
↑外に出してから2週間ほどでかなり成長しました。古い葉は落ちたりもしますが、まずまず元気そう。
これで無事、挿し木の一連の流れが終わったことになります。
水挿しと土挿し
今回実践した方法は挿し木の「水挿し」と呼ばれる方法です。
水に浸してから植えるためそのように呼ばれていますが、それとは別に土に直接さして増やす「土挿し」というやり方もあります。
土挿しは挿し木用土に、直接茎を挿しこむ方法です。水に浸す過程が省かれるので、やり方としては水挿しよりも簡単。
ただし、茎のカット部分から雑菌が入ると痛むことがあるので、パーライトやバーミキュライトを含む土や、余分な肥料の入っていない土を用いる必要があります。
上記に加えて水はけが良く、清潔な土を用いることで成功率が高まります。
土挿しのやり方
- 植物から葉の付いた茎を切り取る
- カットした茎から根が出てきたら、小さめのポットなどに土を入れて茎を移す
- 倒れないようにしっかり土を寄せる
- 根が十分に伸びるまで、室内の半日陰で管理
- 根が伸びたら地植え・鉢・プランターなどに移して完了
水挿し・土挿し別
水挿しで増やしやすいのはミント、バジル、レモンバームなど。
土挿しで増やしやすいのはオレガノ、タイム、ローズマリー、ラベンダー、ヤロウ、セージ、ヒソップなどです。
挿し木によく使われる土
パーライト
火山岩や珪藻土を高熱で焼いて作られる土。通気性や排水性に優れ、土壌の改良剤として使われる。
バーミキュライト
苦土蛭石(くどひるいし)と呼ばれる鉱物を高熱で焼いて作られる。とても軽く、通気性や保湿性に優れる。無菌のため、挿し木や育苗に使われる。
ピートモス
ミズゴケ類などの蘚苔類が堆積たものを粉砕して作られる。保水性が良いが、成分が調整されていないものは基本的に酸性のため、弱アルカリ性を好むハーブに使用する場合は調整した方が良い。
鹿沼土
栃木県鹿沼市にある土の層(関東ローム層)から採れる軽石。厳密には土ではないが、通気性、排水性に優れる。腐葉土とは異なるため、雑菌が繁殖しにくい。
赤玉土
関東ローム層の赤土から採れる。弱酸性で、通気性、保水性、保肥性に優れる。腐葉土とは異なるため、雑菌が繁殖しにくい。
まとめ
植物を単に増やしたい場合だけでなく、再生したい場合にも挿し木の方法が役に立つことがあります。
挿し木がしやすいのは、茎が太めでしっかりした植物。一方で植物の構造上、挿し木ができない種類もあります。
また、初めて挿し木を行う場合は、挿し木がうまくいきやすいよう配合された専用土を使うと上手くいく可能性が高まると思います。
専用つホームセンター・ネット通販などで普通に入手できるので、種まき用土と兼ねて用意するのもおすすめ。
植物の増やし方は挿し木以外にも色々あって、株を穂節ながら分ける「株分け」、地面近くまで伸びている枝を土の上に置いて根を出させる「取り木」などの方法が使われています。