自宅で栽培でき、ある程度の年数、毎年収穫できる「多年草」のハーブ。比較的丈夫な種類が多く、育てやすいのも魅力です。
ここでは野菜としてサラダなどに加えたり、肉や魚料理の香り付けに役立つ多年草ハーブをざっくり紹介します。
春~秋にかけて苗が多く出回るので、キッチンハーブの栽培に挑戦してみては。
料理に使える多年草のハーブの種類
クレソン
和名を「オランダガラシ」というからし菜の仲間で、辛味と爽やかさのある独特の風味を持ちます。
味の濃い料理や油分の多い料理に添えられることが多いですが、サラダや和え物にも良く、お浸しなどの火を通さない料理でも活躍してくれます。
クレソンを育てる
苗や種から植える場合は、春温かくなってくる4月~5月頃、または9月~10月頃に植え付けを行います。また、残り物のクレソンを水につけておくと根が出るので、そのまま鉢などに移植すれば育つことがあるのだそう。
20℃以上の暑い環境は苦手で、やや涼しい場所を好みます。また、もともと水辺を好む植物なので、水を切らさないようにする必要があります。
フェンネル
黄色く小さな散形花序の花が特徴で、大きく育つと2m近くに生長するハーブです。爽やかな香りが魚料理と組み合わせやすいため、「魚のハーブ」と呼ばれます。
同じセリ科で近縁種のディルは一年草ですが、フェンネルは多年草。大きく分けて株元が肥大しないスイートフェンネルと、肥大するフローレンスフェンネルの2種類があります。
どちらも香味野菜として、同じように使うことができます。
フェンネルを育てる
種まきは春3月~5月頃、または9~10月頃、気温が20℃くらいになると発芽します。茎が伸びて大きく育つので、株間を広く取ってあげると良いでしょう。細かな葉をたくさんつけるので、風通しが悪くならないよう適時収穫を兼ねてカットします。
チャイブ
チャイブはネギの一種で、日本のアサツキによく似ています。草丈30㎝ほどと、ネギの仲間では最も小さな種類で、サラダやスープに加えたり、薬味などに用いられてきました。
フランス料理とかかわりが深く、「シブレット(Ciboulette)」と呼ばれて、フランスのスパイスミックス「フィーヌゼルブ」に加えられることがあります。
卵料理と相性が良いので、オムレツや卵焼きなどに加えると繊細な風味が加わります。細かくカットしたチャイブを、ハーブバターやクリームチーズに加えるのもアリ。
チャイブを育てる
春4月~5月頃に苗が出回ります。種まきは同様の時期か、秋9月~10月頃が適切な時期。2年目以降は薄紫色の花が咲きます。
レモングラス
東南アジア原産のハーブで、タイ料理のトムヤムクンのトッピングとしてよく見かけます。イネ科の植物ですがレモンに似た香りを持つのが特徴。葉の筋に沿って細長くカットしてから使うのが一般的です。
また、ハーブティーにすることもでき、その香りがリフレッシュ効果をもたらし胃の不調を整えてくれます。
レモングラスを育てる
苗は初夏以降に植え付けを行い、ある程度育てばすぐに葉を収穫してもOK。
寒さには弱いので、冬になると地上部が枯れてしまいます。気温が下がってきたら外でそのままにせず、株上げをして室内に入れることで、また次の年も同じように栽培することができます。
サラダバーネット
緑茶などが持つ成分・タンニンが含まれるため、やや渋味があります。キュウリのような香りがあり、栄養素の中ではビタミンAやビタミンCが豊富。
サラダに加えられることが多いですが、柔らかい葉はソースやスープに加えてもおいしく食べられます。
サラダバーネットを育てる
春4月頃に種をまけば、初夏から秋まで長く収穫を行うことができます。風通しが良く、乾燥気味の土壌を好みます。
料理の香り付けにおすすめ
オレガノ
ラベンダーやミントなど多くのハーブが所属するシソ科ハーブの中で、最も香りが強い(スパイス)といわれるのがオレガノ。
「ワイルドマジョラム」と呼ばれることもあり、通常は紫色の花が咲きますが、ケントビューティー種のように美しいグラデーションを描く品種もあります。
イタリア料理でよく使われるハーブの1つで、トマトとの相性が抜群。やや苦みがありますが、この苦味が健胃に役立ち、消化促進や食欲増進に良い効果をもたらします。
オレガノを育てる
繁殖力が強く、株がどんどん広がっていくので、葉を収穫しやすいというのもおすすめポイントの1つ。春3月頃~5月頃、9月頃が苗の植え付け、種まきに良い時期です。
セージ
セージは「長生きのハーブ」と呼ばれ、抗菌や浄化に使われてきたハーブです。ざらざらした葉っぱと独特の芳香が特徴で、ブーケガルニやピクルスに加えて香りづけを行うことができます。
生・乾燥の葉をハーブティーに加えても〇。セージは抗酸化作用を持つ成分が含まれるので、体の老化(酸化)を遅らせる働きがあるといわれます。
セージ育てる
苗は3月~6月頃に植え、種の場合は4月~5月頃に蒔くのが良いです。冬になると葉が枯れがちですが、春になるとまた新しい新芽が生えてきます。
地中海沿岸が原産地なので乾燥した気候を好み、多湿を嫌います。水のあげすぎや梅雨の時期に注意して、大きく育ててあげると良いでしょう。
ローズマリー
ローズマリーは清涼感のある香りが特徴で、植物全体から爽やかな芳香が漂います。
この香りは料理にも活用でき、他のハーブと一緒にブーケガルニにすれば風味づけや肉・魚の臭みけしに役立ちます。また、乾燥させた葉はハーブティーに使うこともできますし、細かく砕いてスパイスミックスにすることも可能。
メディカルハーブとしては抗酸化作用が有名で、他にも血行促進や抗菌にも良い効果を持つことで知られています。
ハーバルバスや芳香浴、フラワーアレンジメントなど多彩な使い方ができるので、ハーバルライフに興味があれば実際に育ててみてもよいでしょう。
ローズマリーを育てる
春の3月~5月頃、秋9月~10月頃に苗を植えます。種の場合は、春暖かくなってきてから。ある程度枝が増えてきたら収穫もできるようになります。
風通しが良く乾燥した場所を好むので、水は土が乾燥したときにたっぷり与える程度にします。
ローズマリーの生長について
ローズマリーは木立性・匍匐性・半匍匐性の3種類があり、植物学的には同種ですがそれぞれで生育の仕方が異なります。
- 木立性 … 茎が上に向かってまっすぐ伸びる
- 匍匐性 … 茎が地を這うように広がる
- 半匍匐性 … 木立性と匍匐性が混じっている
また、環境や土壌によって成分が異なる「ケモタイプ」と呼ばれる種類も見受けられます。
精油を摂ることを目的に栽培する場合は、香りが大きく異なることがあるため、あらかじめ詳しく調べておいた方が良いです。
まとめ
料理に使われるハーブは大きく分けて、
- 生で直接食べられる種類
- 香りづけに活躍する種類
の2つに分けられます。
生で食べられるものはサラダやお浸しに、香りを活かすものは煮込み料理や肉・魚の臭み消しにおすすめです。
別の使い方として、乾燥させてから細かく砕けばスパイス的に振りかけて使うこともできるので、洋風の料理などに取り入れてみると香りが引き立ちます。
ハーブは種類ごとによってその香りや味わいが異なるので、一度栽培~料理までできるようになると、色々植えてみたくなるはず。 スーパーで手に入りにくい種類は自宅で育ててみてもいいかもしれませんね。