一年の中で種まきから収穫まで終えるハーブは、野菜のように使うことができる種類が多く、サラダやマリネなどに使われる種類ばかりです。
「朝に庭先やベランダで収穫してすぐに料理に活用できる」というのが、ハーブ料理の醍醐味のひとつ。
今回は初心者でも育てやすい種類を中心に、料理に使える一年草~二年草のハーブをまとめました。
野菜としておすすめな一年草・二年草のハーブ
バジル
東南アジアの原産で本来は多年草ですが、日本の気候では冬になると枯れてしまいます。半面、夏の高温や多湿に強いので春に育て始めれば、夏にはたくさん収穫ができるでしょう。
料理としてはイタリア料理のピザやパスタ、ドリアなどと相性が良く、バジル料理で有名なものとしてはバジルペースト(ジェノベーゼソース)やナポリピザなどがあります。
バジルはガパオライスなどの東南アジア系料理でも必須のハーブ。現地では近縁種のホーリーバジルが使われますが、代用品として日本でポピュラーなスイートバジルを使うこともできます。乾燥させてハーブミックスに加えるのもおすすめです。
サラダ・パスタ・ピザ・ソース・炒め物・和え物・ハーブオイル・ハーブソースなど
ルッコラ
ルッコラは「ロケット」と呼ばれる丸みのある葉っぱが特徴的なハーブ。やや辛み・苦味があるのですが、栄養素は豊富でβ-カロテンの他、ビタミンC、ビタミンE、ビタミン、ミネラル類などが豊富に含まれています。
春に植えれば大きく育ちますが、それなりに場所を取る印象なので、植える時はやや広めにスペースをとった方が良いかもしれません。
ピザやパスタに使われるほか、サラダやマリネ、お浸しなど火を通さない料理にも多くの適性があるのがうれしいところ。レタスのような使い方ができるので、サンドイッチなどに加えてもOKです。
サラダ・サンドイッチ・炒め物・和え物・マリネ・お浸しなど
パクチー(コリアンダー)
タイ料理などでよく見かける独特の香りがする香草です。好き嫌いの分かれる強い芳香で、生の葉はドレッシングなどをかけても噛むとしっかり風味を感じられます。
苗は早くから出回ることが多いので、3~4月頃に植えれば寒くなるまでずっと収穫できます。高温多湿にも良く耐えてぐんぐん伸びます。一つの株からたくさん収穫できるので、「パクチーはたまに食べるくらいでいい」という人はスーパーなどで適時購入した方が良いかもしれません。
サラダ・炒め物・和え物・お浸し・トムヤムクン・ガパオライス・生春巻き・カレーなど
イタリアンパセリ・モスカールドパセリ
葉がフラットな方がイタリアンパセリ、葉が縮れてブロッコリーのように見える方がモスカールドパセリです。やや苦みがあるものの、お菓子、パン以外ならほとんどの料理に使えます。
生葉・乾燥どちらも香りがよく、グラタンやオムレツ、スープ、ポテトサラダといった料理に加えると料理がおいしくなるでしょう。生のパセリが大量に余った時は、オリーブオイル、松の実やパルメザンチーズを使って「パセリソース」が作れます。
ハーブバター、ハーブチーズ、ソースを作る時の材料にもおすすめです。
サラダ・パスタ・スープ・タルタルソース・付け合わせなど
スープセロリ
「スープ」と名のつく通り、スープに入れると味わい深くなるハーブです。中国語名の「芹菜」という名で呼ばれることもあり、中華系スープにも加えられることがあります。
セリ科の植物でセロリの仲間ですが、三つ葉に似てるのが特徴。香りが強く風味づけに活躍するので、カットしてスープの具にするとよいでしょう。肉料理や内臓系料理の臭み消し、炒め物、サラダにも使えます。
4月以降が種まきに適しており、ある程度育ったら茎の根元から刈り取って収穫します。葉っぱだけ先に収穫して料理に使うこともできるので、料理に合わせて摘んでいくといいです。
スープ・炒め物・サラダなど
チャービル
フランス料理の定番ハーブで、甘いような繊細な香りが特徴です。タイムやバジルなどに加えるとやや高価なため、スーパーなどでは見つけられない場合が多め。使う機会が多いようなら栽培してみても良いかもしれません。
フランス料理の調味料・フィーヌゼルブに加えられることもあるので、収穫後に余ったら乾燥させて他のハーブと一緒にミックスを作れます。
牛乳や卵を使った料理と相性が良いので、シチューなど牛乳を使ったスープやオムレツ、スクランブルエッグに加えると高級感が出てきます。
サラダ・シチュー・卵料理・マリネ・炒め物・ハーブミックスなど
シソ
シンガポールやミャンマー、中国南部などアジア南部が原産ですが、「日本のバジル」と呼ばれるほど日本はなじみ深いハーブです。シソ(紫蘇)の名はもともと中国から伝わったもので、「蘇」という名がつく通り、中国でも疲労回復や元気を取り戻したい時の民間療法に使われてきました。
β-カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、食物繊維、ミネラル(カルシウム、鉄、カリウムなど)が豊富に含まれているため、栄養補給にも役立ってくれます。
鶏のつくねや、豚肉の炒め物、天ぷらなどによく、大量に収穫で来たときにはシソジュースなどを作ると、夏バテ対策にもなります。
サラダ・炒め物・お浸し・天ぷら・春まき・餃子・漬け物・シソジュースなど
ディル
魚料理と相性が良く、炒め物、焼き物、カルパッチョほか様々な料理に使えることから「魚のハーブ」と呼ばれます。魚の臭みを消したい時に一緒に使うと、味に爽やかさが出てきます。
葉は生食できるのでサラダに加えてもOK。酢と相性が良く、根菜類やキャベツ、カリフラワー、キュウリなどお酢と一緒に食べられる料理と組み合わせることもできます。
よく似たハーブにフェンネルがありますが、フェンネルは多年草でディルは一年草。2m近くまで育つことのあるフェンネルに比べると、ディルの方は60㎝~1mほどのサイズ感なので、自宅でも育てやすいでしょう。
サラダ・炒め物・焼き物・マリネ・カルパッチョ・ピクルス・ソースなど
その他の一年草ハーブ
ズッキーニ、ゴーヤ、マイクロトマト、フェネグリーク、アニスなど
まとめ
おいしく食べられる一年草についてのまとめでした。
ほとんどが植えてからあまり時間をおかずに収穫できるので、好きなハーブは多めに植えておくとたくさん摘むことができるはず。
農家の方が作ったものがしっかりしていておいしいですが、自家栽培でも慣れてくればそれなりのものが作れるようになるのでハーブ栽培を始めてみたいな~という時は、一年草おすすめです。
個人的に育てやすいと感じるのはバジル、パセリ、パクチー、シソあたりです。