メディカルハーブとはいわゆる「薬草」のことで、ハーブティーなどで体内に取り入れると体の不調を改善して体内を整える働きがあります。
ハーブに含まれる植物成分が、風邪や感染症、消化不良などの不調を緩和させます。
また、種類によっては日々の栄養補給やアンチエイジングに役立つことも。デトックス効果のあるハーブもあり、体の中から美しくなりたい時に役立ってくれます。
ここではメディカルハーブが持つとされる機能6つについて、まとめてみました。
メディカルハーブが持つ機能
メディカルハーブは大きく分けて6つの機能を持っています。生物が生きるうえで必要な身体活動のサポートから、美容に役立つ作用まで種類は様々です。
①細胞の参加を抑えて老化を防ぐ働き
人の身体にある細胞は60兆個もの数で構成されており、細胞が健康な状態であることは体が正しく機能するうえでとても大切なことです。
体外から吸収された酸素は体内でエネルギーに変換される際に「活性酸素」という物質を生み出します。この活性酸素が増えすぎると体内の細胞や核を傷つけ、細胞が酸化(=老化)してしまいます。
酸化が進むとがん、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病にかかるリスクが増えるなど様々なトラブルを引き起こします。
この酸化を防ぐ働きを「抗酸化作用」といい、数あるハーブの一部にはこの抗酸化作用を持つ種類があります。
ハーブなどの植物は紫外線から身を守るため、防御機能として抗酸化作用のある植物化学成分(フィトケミカル)を自ら作り出します。
②体の機能を活性化させる働き
傷ができた時などに、消毒してしばらくたつといつの間にか傷口が修復されていることがありますよね。
これは人間や動物に本来備わっている力「自然治癒力」によるものです。
自然治癒力には二種類あり、メディカルハーブはこの働きを活性化させる働きを持ちます。
- 「生体防御機能」… ウイルスや細菌などから体を守ろうとする働きのこと
- 「自己治癒力」… ケガや病気をした時に回復させようとする働きによる働きのこと
恒常性(ホメオスターシス)の働きを整える
また、メディカルハーブには自律神経系・内分泌系・免疫系という3つの組織系からなる「恒常性(ホメオスターシス)」の状態を調節する働きがあります。
この3つの組織系はホルモンの分泌や免疫力、ストレスに対する抵抗力などに密接に関わっており、3つのバランスが崩れると様々な心や体に不調が現れてきます。
そのため、この働きを正常に保つことが心身の健康につながります。
③痛みや炎症を抑えて鎮める働き
メディカルハーブの多くには体の痛みや炎症を抑え、けいれんを収めたりするなど薬に似た作用が含まれます。
この働きを「薬理作用」といい、薬理作用を持つ成分は現在用いられている医薬品にも使われていることがあります。
具体的には消炎、抗炎症、鎮痛、鎮静、鎮痙などの作用が挙げられます。
医薬品のような強力な働きはありませんが、これらの作用を持つ成分がハーブに含まれる他の成分と組み合わさって相乗効果を発揮し、患部の症状を穏やかに鎮めてくれます。
④病原菌の脅威から身を守る働き
植物はその場から動くことができないので、害虫や害鳥、病気から身を守るすべを持つ必要があります。
そこで作り出されるのが抗菌・抗真菌、抗ウイルス作用などを持つ成分です。
これらの作用を持った香り(精油成分)を漂わせて虫よけにしたり、苦味や辛味を持つことで食べられるのを防ぎます。
本来は植物のための働きですが人間にとっても有用で、合成された医薬品よりも体内に対する影響が少ないとされています。
緑茶に含まれる渋み成分のカテキンなども抗菌作用があることで知られています。
⑤ビタミン・ミネラルなどの栄養素を補給する働き
ハーブの多くにはビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノール類、必須脂肪酸などの有益な栄養素が含まれています。
これらの栄養素は人の体内で作り出すことはできず、食べ物からの摂取が必要になります。
含まれる栄養素はハーブによって異なりますが、手軽な栄養補給としても活用できます。
⑥代謝力を上げて体内の環境を良くする働き
生物の身体では、食べ物を食べて体内で消化した後、体外に排出するという代謝の繰り返しが行われていますが、この働きが滞ると様々な不調が起こります。
人間の場合であれば便秘や冷え性、免疫力の低下といった不調につながります。
また、メディカルハーブは排便・排尿・発汗・消化などの代謝を整え、体内部の環境を整える力を持つとされます。
種類によって、血をきれいにしたり、血管を広げて体の隅々まで栄養がいきわたるよう働きかけるハーブなどがあり、軽い補助に活用されます。
その他の働き(作用)
メディカルハーブの基本的な機能は上記の6種類ですが、これ以外にもハーブの種類によって様々な作用がもたらされます。
活用する人も多いメディカルハーブの代表的な作用をいくつか紹介します。
神経を鎮めてリラックス効果をもたらす
神経の緊張状態が続くと、イライラや不眠、不安などの状態になりやすくなります。
この場合は交感神経を鎮め、副交感神経を優位にする「鎮静作用」のあるハーブを用いると、リラックス効果が得られます。
いい香りを嗅ぐと、気分が良くなりますよね。
有名なラベンダーにも鎮静作用があり、寝る前に香りをかぐだけでも心が落ち着きます。
胃腸の調子を整えて不快感や便秘などの症状を改善する
食べ過ぎなどによる消化不良や胃もたれ、ストレスからくる胃炎などに対応するハーブもあります。
胃腸の調子が悪くなると便秘や腹部の痛みだけでなく、肌にも不調が現れてきます。
気分的にも落ち着かなくなってくるので、食後、少し時間を空けてから「健胃作用」や「消化機能促進作用」のあるハーブティーを飲んで解消させると良いでしょう。
ハーブティーでよく飲まれるジャーマンカモミールにも胃腸の働きを整える作用があり、胃炎など胃の痙攣にも良い効果をもたらします。
ミルクとよく合うので、加えるとおいしく飲めます。
アレルギーによる症状を改善する
毎年苦労する人も多い花粉症などのアレルギー。
その人の体質によるもので簡単に治すことができませんが、メディカルハーブの中には血液の浄化を促すなど体質改善に役立てられているハーブもあります。
ドイツで春季療法に使われるネトルなどがその代表例で、花粉症のシーズンが始まる1ヵ月ほど前からハーブティーを飲むと、くしゃみや鼻水といった花粉症の症状が軽くなったり、出にくくなったりします。
私も以前は花粉症がひどかったのですが、ハーブを取り入れてから、近年は目のかゆみだけで済むようになりました。
まとめ
メディカルハーブには6つの機能があります。
いずれの機能も体に対して良い働きをもたらすので、心身のバランスが気になる時はハーブティーなどで取り入れてみると良いでしょう。
- 細胞の参加を抑えて老化を防ぐ働き
- 体の機能を活性化させる働き
- 痛みや炎症を抑えて鎮める働き
- 病原菌の脅威から身を守る働き
- 代謝力を上げて体内の環境を良くする働き
- ビタミン・ミネラルなどの栄養素を補給する働き
6つの機能はすべてのハーブに含まれるものではないですが、基本的にこれらの性質があると考えられています。
含まれる成分や栄養素に違いはあるものの、野菜や果物も同じような効果を持つため、植物性の食品を積極的に摂ることで心身の健康につながります。