ショウガの特徴
ショウガは日本の台所でもよく使われるハーブ・スパイスで、冬に人気の「生姜湯」が良く知られていますね。ピリッとした独特の刺激が特徴ですが、これはショウガに含まれる辛み成分のショウガオールとジンゲロンによるもので、血液の流れを良くし体を温める作用があります。
通常8月頃に地下茎を収穫したものを生姜と呼び、8~9月に出荷するものを新生姜といいます。薬味や下味付けにおすすめで、生・乾燥・葉ショウガ・新ショウガなど種類によって使い方が異なります。
ショウガの種類
新ショウガ | 老成ショウガよりも刺激が少ないのでそのまま食べられる。皮の色が白くて、茎のつけ根部分は紅色。甘酢漬け(ガリ)にして寿司、カレー度に添える。 |
老成(ひね)ショウガ(またはショウガ) | 日本で最も流通している。収穫後にしばらく貯蔵し、秋になってから販売される。硬く繊維質で、辛味や芳香が強いため肉や魚の臭い消しによい。 |
葉ショウガ | 6月頃の初夏から夏にかけてに流通する。根茎に葉が付いた状態で、やわらかい。甘酢に漬けたりして食べる。 |
ショウガの味・香り
シャープな辛みと刺激があり、若干土臭さがある風味。
料理での活用方法
伝統的にはアジア圏やインドの料理では主に生のショウガが、ヨーロッパや中東では乾燥のものが使われてきました。
主な活用法としては魚や肉の臭い消し、辛みを使って下味付けや薬味に、香りを引き出すため料理と一緒に行ったり煮込んだりするなどの方法があります。
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ショウガを使う時の基本
皮が良く乾燥して硬いものが良い
ショウガは栄養素が豊富で食物繊維、カリウム、亜鉛、銅、マグネシウムなど人体では作り出せない成分もたくさん含まれています。これらの有効成分ショウガの皮の部分に多く含まれているため、皮がパリッと乾いていて硬いものが上質とされています。
通常調理時に皮をむくことが多いですが、皮のすぐ下に香り成分が含まれるため、強い香りを引き出したい時は皮つきのまま調理するとショウガの風味が強くなります。食べる前に取り除けば料理の味が落ちることもありません。
抗菌作用があり食材の劣化を抑える
ジンゲロール・ジンゲロンには抗菌作用があり、食材の劣化を抑えてくれます。傷みやすい肉・魚に使うことで料理の味が落ちるのを防ぎ、保存を良くします。
ショウガが良く使われる料理
生ショウガを使った料理
生のショウガはスライスしたり、すりおろしてカレーや煮込みの下味付けをするのにおすすめ。チューブのショウガも便利ですが、新鮮なものが手に入ったらあれこれ活用してみてください。
肉や魚の臭み消しに
生のショウガは中国、日本を中心にアジア料理のレシピによく登場するスパイスで、ニンニクと合わせやすい食材です。
生のショウガが持つ辛味成分ショウガオールやトリメチルアミン、ピペリジンは、肉に含まれるタンパク質と結びつき肉や魚の臭いを抑える効果を持ちます。また、ショウガには清涼剤にも使われる精油成分のシネオールなどが含まれるため、食材に含まれる臭いを打ち消します。
豚を生姜焼きするのはこの効果を活用したもので、ショウガをみじん切りやすりおろしにしたものを、食材と和えてから調理を始めると風味が良くなります。
野菜料理
キャベツなどの葉物野菜と相性が良く、野菜を使ったスープやソース、ドレッシングなどに活用すると刺激のある味わいになります。マリネ、キムチなどの漬け物にもよく、日本では生の新ショウガのピクルス(酢漬け)は人気があります。中華料理の炒め物にもおすすめです。
カレー
主にニンニクと一緒にして味付けのベースにします。野菜(特にタマネギ)を炒める時に加えるため味がなじみ、料理全体の香りが良くなります。
インドやパキスタンの料理ではショウガと酢、植物油などで作ったペーストを使い、香りのもとにします。
その他
ショウガは風味に清涼感があるので、油を使った料理にも合わせやすい食材です。すりおろしたものは、てんぷらのつけ汁やそばつゆなどに加えて辛味をつけるのに便利です。
乾燥ショウガを使った料理
スパイスミックス
ショウガはインドのマサラ、フランスのカトルエピスなどスパイスミックスに使われます。クローブやナツメグ、コリアンダーやガランガルといったスパイスと組み合わせやすく、辛めのスパイスミックスを作りたい時に重宝します。乾燥ショウガもピクルスの風味づけに使えます。
菓子類・デザート
ショウガ(ジンジャー)の名がつく料理は多く、ジンジャーマンクッキー、ジンジャーケーキ、ジンジャーブレッドなどが有名。
乾燥したショウガの粉末を混ぜ込むことで、砂糖の甘さを抑えてピリッとした刺激がある大人の味に変化!日本では生姜糖や生姜せんべいが良く知られていますね。
クッキーやビスケット、プディングなど使える範囲は広いので、乾燥のショウガがあればお菓子にも使ってみると良いかもしれません。その他、日本ではあまり見かけませんがクリスタルジンジャーという砂糖菓子もあり、新芽を濃いシロップで煮詰め乾燥させてから砂糖でまぶして作ります。
フルーツではバナナやオレンジと相性が良く、ジャムにも入れることができます。
ドリンク
辛味のあるお酒を作る時によく使われており、日本でも人気のジンジャーエールのほか、ジンジャーワイン、ジンジャービールなどが販売されています。
また、ショウガでつくったお茶は風邪に効果的です。すりおろしたショウガや粉末のショウガは、緑茶や紅茶など他のお茶に入れて楽しむこともでき、保温効果をもたらしてくれます。
その他
その他の料理としては、葉ショウガの甘酢漬け、ショウガのシロップ漬け、付け合わせの紅ショウガなどが知られており、料理に風味と彩を与えてくれます。
外国の料理ではタジンやクスクスなどに使えますが、万能スパイスの1つなので、国籍を問わない創作料理のアレンジにも活躍してくれるはずです。
形状による違い
生の根茎 | 根茎には独特の節くれがあり、皮をむくと淡い黄色またはオフホワイト色になる。日本では高知県産のものが多く、「金時生姜」「谷中生姜」「三州生姜」などの品種がある。 |
乾燥ショウガ | 根茎を乾燥させて割ったもの。つぶしてから使用する。 |
粉末(パウダー) | ヨーロッパでよく用いられ、お菓子やグリル料理に使われる。インドやアジアではミックススパイスに加えられることが多い。 |
オイル | みじん切りにしたショウガと植物油で作る。強壮酒に加えらられることがあり、消化を助ける働きがあるとされる。 |
ショウガを使った主な料理と合わせやすい食材
豚の生姜焼き、葉ショウガの甘酢漬け、紅ショウガ、カレー、クッキー、ジンジャーケーキ、ジンジャーブレッド、カトルエピス、マサラ、五香粉、ジンジャーエールなど
組み合わせやすい素材
食材
牛肉、鶏肉、キャベツ、魚、カニ、カボチャ、タマネギ、ブロッコリー、サヤマメ、ビーツ、醤油など
ハーブ・スパイス
フレッシュ:バジル、チリ、コリアンダー、ガランガル、ガーリック、マックルライム、ガランガル、ガーリック、レモングラス、ミント、タマリンド、ターメリックなど
乾燥:クローブ、カルダモン、シナモン、ナツメグ、パプリカ、ペッパー、サフランなど
効能・効果
ショウガには体を温めて血行を良くする働きがあります。殺菌効果もあり冬場の感染症対策や冷え性に役立てられるスパイスです。また、胃腸の調子を整えて消化を助ける効果もあるので、消化不良や胃のむかつきなどがある時にも〇。
香り成分のシネオールには、疲労回復、夏バテ解消などの効果があるとされています。
- 殺菌作用
- 健胃作用
- 矯味・矯臭作用
- 食欲増進作用
- 鎮吐作用
- 血行促進作用
- 発汗作用
ショウガの基本情報
学名 | Zingiber officinale |
英名 | Ginger |
別名 | 生薑、薑 |
科名・属名 | ショウガ科ショウガ属 |
原産地 | 熱帯アジア |
使用部位 | 根茎 |
基本的に使用部位は独特の形をした根茎で、皮は茶色、中身は薄黄色で繊維質をしています。
歴史・エピソード
主に中国やインドで3000年以上も前から活用されていたハーブで、中国の古典『論語』には孔子がショウガ類を食べていたという記述があります。
日本には3世紀ごろに伝わり、古くは「生薑(せいきょう)」「はじかみ」という名で奈良時代ごろに栽培が始まったといいます。アーユルヴェーダではショウガは料理に刺激を与え、毒素を排出する「万能薬」と位置付けています。