山椒|料理への活用法・組み合わせやすい食材について【料理用ハーブ&スパイス】

山椒|料理への活用法・効果・効能について【料理用ハーブ&スパイス】
目次

山椒の特徴

山椒はミカン科の植物で、しびれるような辛さと柑橘類のよい香りを持つのが特徴。英語ではジャパニーズペッパーと呼ぶ日本原産のスパイスでもあります。粉山椒の原料になる果皮がスパイスとして有名ですが、「木の芽」と呼ばれる若葉、花、果実も食用できます。

果皮(以下山椒と書きます)は日本のスパイスミックス・七味唐辛子やウナギの蒲焼などで使われる、和食で重要な香辛料のひとつ。5月から6月にかけて旬が訪れます。

山椒独特の辛味のもとになるのはサンショオールとサンショウアミドという成分で、辛味性健胃の働きがあり胃腸の働きを良くするといわれます。

山椒・花椒の味・香り

ミカンに似た爽やかな芳香。ピリリとした辛みとしびれ。清涼感のある香りと、ピリッとした辛み

料理での活用方法

山椒|料理への活用法・効果・効能について【料理用ハーブ&スパイス】

山椒は粉末にすると香りが失われやすいので、ホールのまま保存し使う時にミルなどで細かく砕いて利用します。冷凍保存すれば長持ちさせることも可能です。

生の山椒を収穫するときは、まず良く熟した果実を選び、天日干しさせた後に叩いて種子を取り出しましょう。残った果皮を乾燥させてスパイスにします。中国のスパイス花椒の代わりとして中華料理に使うこともできます。

山椒が良く使われる料理

山椒煮や山椒のつくだ煮に

ウナギの蒲焼に振りかけるのが定番的な使い方ですが、ホールの山椒を使って山椒煮が作れます。

山椒煮は魚(いわし、たらなど)または肉(鶏肉、豚肉、牛肉)と、しょうゆ・酒・みりんなどの調味料、山椒を煮込んで作る料理。

ピリッとからい食べ物ですが、砂糖を加えると甘辛風味に。山椒には消臭効果があるので、肉や魚特有の臭いを減らしてくれます。

山椒を使った料理には、ちりめんじゃこを使った「ちりめん山椒」、サンショウの佃煮と調味料、昆布を煮詰めて作る「山椒昆布」などがあります。

醤油や味噌と相性が良い

山椒は味噌やお醤油とよく合う調味料です。そのためみそ汁やお吸い物、味噌煮、魚の照り焼き、和え物などに振りかけてもおいしくいただけます。濃い目の味付けの時に使うと、爽やかな風味によりさっぱりした味わいに。

普段の炒め物や焼き物に使ってもOK

普通の野菜炒め物やきんぴら、焼き鳥、海鮮丼、ぬか漬け、刺身など和食的な味付けがあるものなら比較的どんな料理にも活用できます。

和菓子

日本で古くから使われてきた山椒は和菓子作りにも使われます。切り山椒や山椒餅、ピリリと辛いおせんべいやあられの風味づけでも活躍します。

七味唐辛子など調味料

山椒は七味唐辛子の原料に加えられることも。陳皮やユズの皮と一緒に入れると柑橘系の風味になります。

お屠蘇

山椒は正月に飲む飲料・お屠蘇の原料の1つです。山椒は中国で体を温め悪い気から体を守ると考えられ、厄除けや病除けの効果があると信じられていました。日本でも一年の無病息災を願って作る飲み物です。

若葉(木の芽)の使い道

山菜の一種で「木の芽」と呼ばれる若葉はちぎると爽やかな香りがあり、和食で薬味や料理の彩として使われます。3~4月頃にかけて収穫でき、同じ時期に旬を迎えるタケノコなどと一緒にして「木の芽和え」が作れます。

若葉はつくだ煮にしてもOK。他にも刺身のツマや汁物の具、魚や肉と一緒に煮込んでスパイシーな香り付けに活用できます。

葉付きの茎を料理に飾るといい感じに仕上がります。

花・果実の使い道

山椒の黄色~黄緑色をしたお花も食用可能。山椒よりも辛みが少なく食べやすいのが特徴です。花山椒鍋、つくだ煮、しゃぶしゃぶ、オイル漬けなどによく、特に肉と一緒に食べると柔らかな食感と清涼感がいい味出してくれます。

熟す前の実は「若山椒」や「青山椒」と呼ばれ、塩漬け、醤油漬け、ハチミツ漬けにできます。

山椒を使った主な料理と合わせやすい食材

山椒|料理への活用法・効果・効能について【料理用ハーブ&スパイス】
山椒が使われる主な料理

ウナギの蒲焼、山椒煮、佃煮、ちりめん山椒、山椒昆布、切り山椒、山椒餅、花山椒鍋、七味唐辛子、お屠蘇など

組み合わせやすい素材

食材

白菜、キャベツ、ごぼう、キュウリ、カボチャ、タケノコ、鶏肉、豚肉、牛肉、ウナギ、サバ、イワシ、しらす、ちりめんじゃこ、豆腐、味噌、醤油など

ハーブ・スパイス

陳皮、柚子、唐辛子、黒ゴマ、白ゴマ、シソ、ショウガ、朝の実、ケシの実など

効能・効果

山椒の辛味成分サンショオールが胃に働きかけて消化を促します。また、胃を含む内臓の粘膜を強化したり、腹痛を改善させる働きもあるとされます。

辛味が体を温めるので、冷え性や肩こりなどがある時にも〇。柑橘系の香りのもとになるリモネンにも血行促進効果があります。

  • 抗酸化作用
  • 健胃作用
  • 消化促進作用
  • 血行促進作用

使用時の注意点

しびれるような辛味があるので辛味が苦手な人、子供は注意。

山椒の基本情報

学名Zanthoxylum piperitum
英名Japanese pepper、Japanese prickly ash
別名サンショウペッパー、ハジカミ
科名・属名ミカン科サンショウ属
原産地日本、朝鮮半島南部
使用部位種、花、茎、葉

山椒はミカン科の落葉低木で、全草から爽やかな香りが漂います。野生では3~5mほどに育ち、トゲのある枝に羽状複葉の葉が互生。葉全体の長さは15㎝ほどありますが、小葉は楕円形で縁がギザギザです。

雌雄異株で4~5月頃に花が咲いた後、雌株に5㎜ほどの果実が実ります。果実は初め緑色で次第に熟して赤くなってきます。

歴史・エピソード

山椒は昔「椒(はじかみ)」という名でよばれていました。椒は「香りが良い」という意味もあり、山椒=「山にある香りが良いもの」を示しています。

中国では漢の時代以前から同じミカン科サンショウ属の花椒が使われてきましたが、日本にはなかったので代わりに山椒が使われてきました。3世紀に書かれた『魏志倭人伝』にも日本のスパイスとして山椒が登場します。

ハーブ・スパイス類の過剰摂取は避けましょう。

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