植物はその生態によって細かく分類が行われていますが、そのうち木質化しない草のような形態で、一年~数年のうちに枯れる植物を「草本類」と呼びます。
多くの野菜や花、ハーブなどが「草本類」に分けられており、さらに植物が生きる年数ごとに一年草・二年草・多年草という区分が行われます。
簡単に解説すると、
- 一年草 … 芽を出してから1年以内に枯れる
- 二年草 … 芽を出してから2年以内に枯れる
- 多年草 … 数年間は成長する
というもので、栽培する場合には知っていると便利な分類の1つです。
一年草の特徴
- 種をまいたその年に収穫ができる
- 花が咲いた後、種子ができると枯れてしまう
- 成長が早い種類が多い
- 栽培計画を立てやすい
花が咲いた後、種子ができると枯れてしまう
一年草はその年に種をまいた後、花をつけて新しい種ができると枯れてしまいます。
なぜ枯れるのかというと、種子に養分が流れた結果、種子以外の葉や茎、根などの本来なら養分を吸収してくれる部位に栄養が届かなくなり、植物自体が維持できなくなるためなのだそうです。
実際バジルのように、花が咲くと香りが落ちてしまう種類もあるので、花や実をつける前に収穫した方が栄養分の多いハーブが収穫できる可能性が高くなります。
種をまいたその年に収穫ができる
一年草のハーブはある程度育てればすぐに収穫して、調理に使えるものが多いです。特に葉物であれば苗から育てた場合、1~2週間ほどで葉が増えておいしく食べられます。
例えばローズマリーやセージなどのように成長に時間がかかる植物は、種から育てた場合、その年に少ししか収穫できないことも。育てるという観点から見るとどうしても収穫までに時間がかかってしまうので、「早く料理に使いたい!」という人は一年草のハーブがおすすめです。
成長が早い種類が多い
上記で説明した通り、一年草のハーブは成長が速いです。
1週間ほどの期間んでも成長しているのはっきりとわかるので、大きく育てたい時は植える時にそれなりに株間をとり、余裕のあるスペースで育てると良いでしょう。
成長が速い分、茎や葉などが込み合ってくることがあります。茎の間の風通しが悪くなると植物が弱ってしまうことがあるので、増えてきたら剪定を兼ねて収穫するのがベターです。
栽培計画を立てやすい
一年で種まき~収穫まで終わるので、庭やプランターでどんなものを育てたいか考えるうえで計画を立てやすいです。一年で枯れるので寄せ植えにもおすすめ。
また、何年も育ち深く根を張る多年草と異なり、一年草は終わった後は比較的楽に片付けができるというメリットもあります。
二年草とは?
二年草は種をまいた後、2年以内に枯れる植物のことで、その年のうちに終わってしまう一年草と異なり、一度だけ冬を越すことができる場合が多いです。
また、二年草は1年目に葉や茎が生育し、冬にいったん葉が枯れたのち、2年目以降に花や種を付ける場合が多いようです。
ハーブの中では、パセリやスープセロリが二年草として扱われます。
多年草の特徴
多年草とは、一年を通して枯れずに常緑の状態を保つ植物のことをいいます。
・・・というのが一般的な多年草の意味合いですが、例外もあります。
例えば、バジルのケース。原産地では多年草でも、日本では耐寒性が低いために冬を越せず枯れてしまうため、一年草として扱われています。
- 毎年収穫できる
- 丈夫な種類が多い
- 冬は休眠する(宿根草)
- 育つまでに時間がかかることがある
- 土替えが必要
- 地植えにする場合は計画をたててから
①毎年収穫できる
野菜など収穫目的で育てる場合、基本的に毎年収穫できることが一番のメリットではないでしょうか。
毎年同じ株から新たに新芽が生えてくるので、いちいち種を植えたり苗を買いなおしたりする必要がありません。好きな野菜やハーブなどがあれば、自家栽培で育ててみるのもいいですよ。
②丈夫な種類が多い
数年かけて地中に根を広げる多年草は、丈夫な種類が多いです。繁殖力が強い種類も多く、適切な環境下に置くとどんどん育っていきます。
茎が茶色く木質化する場合もあり、その場合は茎もかなり固くなります。長い期間生き延びるために、植物も様々な工夫を凝らしているわけですね。
③冬は休眠する(宿根草)
必ずしも冬とは限りませんが、宿根草と呼ばれる種類は秋以降、寒さを感じる時期になると枯れてしまいます。
見た目的にも寿命が来てしまったように見え心配になるかもしれませんが、多年草の場合は休眠期間に入っただけの場合が多く、春に温かくなるとまた根の近くから新芽を出します。
実際、根などは見えない場所でゆっくりと成長しており、意外な場所から芽が出てくることも。また、冬の間はあまり水をあげなくても平気なケースが多いようです。
多年草を育てる時の注意点
①育つまでに時間がかかることがある
種まきから収穫までを一年で終える一年草に比べると、多年草は成長のスピードが遅いです。
一年目は育つための時期に当てられることもあり、植えたその年に収穫できないこともあります。
そのため、すぐに使いたい植物はある程度育った苗を購入するのがおすすめです。オリーブやローズマリー、ローレルなど木質のハーブは大きめに育ったものも販売されているので、そちらを購入しても良いかもしれません。
②土替えが必要
何年も同じ場所で育てていると、だんだん養分が減って株が弱ってきてしまいます。それを避けるため、1年~2年ごとに土替えをする必要があります。
鉢植えの場合も同様で、長く同じ鉢で育てていると根が伸びて根詰まりしてしまうことがあります。根詰まりすると排水性が悪くなりうまく育たなくなってくるので、根の状態も適度にみてあげてください。
③地植えにする場合は計画的に
多年草を地植えにする場合は、育つにつれ深く根を張り移植が難しくなるため、植える場所には注意が必要です。
植物は初めは小さな苗でも、時間が経つごとに増えて大きくなってくるので、植える前には将来的にどのくらいのスペースが必要になるのかイメージしておく必要があります。
植えた後も適度に剪定をするなどして、株の形を整えていくことで適切な管理が行えます。
まとめ
一年草は成長が速く、春に植えれば夏~秋にかけて葉や果実が収穫できます。野菜だとトマトやキュウリが一年草ですね。
多年草は丈夫で、何年も収穫できるといった特徴があります。一年草に比べるとやや成長が遅めなので、気長に育てていくとよさそうです。
多年草は一年中緑色の葉が付く常緑性のもの、冬に葉が枯れるもの(宿根草)など様々ですが、ローズマリーやセージのように冬でも常緑な種類は、冬に花が枯れて寂しくなりがちなお庭のガーデニングにおすすめです。