ディルの特徴
ディルは地上部のほとんどの部位を食べることが出来るハーブで、中でも細くて繊細な葉を持つ茎と種子が良く活用されています。全草から爽やかな甘い香りがするのが特徴で、その香りはピクルスやマリネの風味づけに役立ちます。
刻んでスープやシチューの材料にすることもでき、ハーブ系料理では定番のディル。新鮮な葉を入手したい時は家庭菜園で育てるのもおすすめです。種子はハーブティーに使えば、リラックスや腸内ガスの排出効果が得られます。
ディルの味・香り
ディルの葉はレモンのような爽やかな香りがあります。精油成分による甘さがあり、マイルドな風味で後味があります。
料理での活用方法
料理では魚と相性が良く「魚のハーブ」として有名。鮭やニシンなどの魚料理に添えて飾り付けに使われるだけでなく、スープやシチュー、ピクルスなどの野菜系料理にも合わせやすい性質があります。
葉からは甘さのある良い香りがしますが、乾燥すると香りが失われてしまいます。なるべく生で新鮮なうちに使用しましょう。
ディルが良く使われる料理
魚介類の料理
ディルはマリネなど加熱しない魚料理に用いられることも多く、鮭のカルパッチョやニシンの塩漬けなどに生の葉が使われます。
生のディル葉をそのまま飾りに使う他、カニやエビ、ホタテなどを使った料理にディルを使ったソース(ディルとマスタードやサワークリームを使ったソース)が添えられることがあります。
野菜料理
ディルは酢と相性が良く、根菜類やキャベツ、カリフラワー、キュウリなど酢と組み合わせやすい野菜と一緒に使われます。
葉は生食できるので、サラダやドレッシングを作る時に加えてもOK。イランではエシャロットやほうれん草と一緒に調理されるそう。独特の香りですがジャガイモ料理に加えられることも多いので、色々な使い道が見つかるでしょう。
ディルピクルス
ディルの花とキュウリを漬け込んだピクルスは「ディルピクルス」と呼ばれます。
加える食材によりますがさっぱりした味になることも多く、甘みのないピクルスが好きな人からは好評。葉や種子もピクルスの風味づけに活用できます。
スープ・シチュー
細かく刻んでスープに加えるのもおすすめ。魚介類のスープの他、ロシア料理のボルシチに加えられることもあります。
その他
刻んだディルの葉をクリームチーズにやヨーグルトに加える場合も。ディルの種子はパンやケーキなどのお菓子類の風味づけに活用できます。
部位ごとの使い方
種子(ホール)
種子は苦味と爽やかさを併せ持つ独特の香りと味わいがあり、スパイス扱いされます。
明るい茶色で扁平な楕円形。「ディルシード」とも呼ばれ、種に葉5本の脈が入っています。葉よりも香りが強く、カレー粉やピクルス、ハーブビネガー、お菓子の材料に〇。
葉(ディルウィード)
生の葉は爽やかな香りがあり、魚の他、ジャガイモなどの野菜、卵や肉類など幅広い食材に対応します。鮭との組み合わせが定番です。
ディルを使った主な料理
ディルピクルス、カルパッチョ、サーモンのマリネ、グラブラックス、ポテトサラダ、クリームチーズなど
組み合わせやすい素材
食材
葉 | ビーツ、ソラマメ、ニンジン、根セロリ、ズッキーニ、キュウリ、卵、魚介類、ジャガイモ、米、ホウレンソウなど |
種子 | キャベツ、タマネギ、ジャガイモ、カボチャ、ビネガーなど |
ハーブ・スパイス
葉 | バジル、ガーリック、マスタード、ホースラディッシュ、パプリカ、パセリ |
種子 | チリ、コリアンダーシード、クミン、ガーリック、ショウガ、マスタード、ターメリック |
効能・効果
- 抗酸化作用
- 抗菌作用
- 利尿作用
- 駆風作用
- 鎮静作用
- 鎮痙作用
- 通経作用
- 催眠作用
使用時の注意点
- 妊娠中の使用は避けるようにします。
- 種子を多量摂取すると、胸やけや逆流性食道炎の原因になることがあります。
ディルの基本情報
学名 | Anethum graveolens |
英名 | dill、Indian dill |
別名 | イノンド(伊乃牟止)、ヒメウイキョウ(姫茴香)、ジラ(蒔蘿)、ジラシ(蒔蘿子) |
科名・属名 | セリ科イノンド属 |
原産地 | ヨーロッパ南部、アジア西部 |
使用部位 | 全草、種子 |
ディルはセリ科イノンド属の一年草または二年草で、古くから薬用・食用に活用されてきたハーブです。原産地は南ヨーロッパ、地中海沿岸、西南アジアから中央アジアにかけての地域ですが、現在では世界各地で自生しています。
ディルは草丈80~120㎝に育つハーブで、羽状をした線のような細長い葉を持ちます。繊細さがあり、同じセリ科のフェンネルに似ていますが小さいのが特徴。5月~7月頃になると茎先に複散形花序の黄色い花が咲きます。
歴史・エピソード
北欧で人気の高いハーブで、ディル(dill)という名前は「なだめる」という意味の古代バイキング語「ディラ(dylla)」に由来。
ディルには神経を落ち着かせ気分を穏やかにする働きや消化器系を整える働きがあるため、昔は赤ちゃんの夜泣きを落ち着かせる時や腹痛がある時に使われたといいます。